らいぶらりぃ
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第16回フェスティバル名曲コンサート

●日 時2001年1月28日(日)14時開演
●会 場フェスティバルホール
●出 演曽我大介指揮大阪シンフォニカー交響楽団
ソプラノ:六車智香
●曲 目J.シュトラウスII/喜歌劇「こうもり」序曲
         ピツィカート・ポルカ
レハール/ワルツ「金と銀」
     喜歌劇「メリー・ウィドウ」より ヴィリアの歌
J.シュトラウスII/ポルカ「観光列車」
         ワルツ「春の声」
         ワルツ「ウィーンの森の物語」
         トリッチ・トラッチ・ポルカ
         喜歌劇「こうもり」より 侯爵様、あなたのようなお方は
ジーツィンスキー/我が夢の街ウィーン
J.シュトラウスII/ポルカ「狩り」
        ワルツ「美しく青きドナウ」
(アンコール)
J.シュトラウスI/ラデツキー行進曲

 1998年、朝日新聞の創刊120周年を記念して始まった、名曲コンサート、その後もずっと続いていて、今年で4年目になります。名前からは朝日新聞の名称はなくなりましたが、オーケストラは変わらずにシンフォニカーさん。低価格で良い演奏をというコンセプトのもと、活動を展開されているのは、素敵なことだと思います。久しぶりに、私もこの演奏会に出かけてきました。

 さて、今回の目玉は、この1月から大阪シンフォニカー交響楽団(楽団も名前を変更されたのですね)の音楽監督に就任された、曽我大介さんの指揮であります。失礼ながら、それまではそのお名前も存じ上げなかったのですが、今度、ザンデルリンクさんの後を受けて新しい指揮者になられた方って、どんな指揮をするのだろう、ととても楽しみにしていたのです。で、実際、指揮台に立たれた曽我さんを拝見すると、…やっぱりお若い方ですね。音楽の作り方もとっても若々しいです。実に元気がいいという感じで、確かに今回のプログラムは元気な曲ばかりではあるのですが、実に軽快にワルツ・ポルカのリズムを刻んでいきます。「観光列車」などは、実にスピーディな演奏でしたし、「トリッチ・トラッチ」や「狩り」なども実に明るく元気な演奏で、素敵でした。ちょっと独特のフォームの指揮から繰り出される音楽は、とても明解で分かりやすい、そう思わせるようなものがありますね。オーケストラの方も、その指揮によく食らい付いていて、熱のある演奏をするのは、シンフォニカーの特徴でもありますが、熱演と言うてもいいような演奏を聴かせてくれます。ただ、惜しまれるのは、指揮者とオケの双方の情熱がぶつかり合うせいか、所々、テンポが合わなくなっている部分があったことです。しかし、今回が、曽我さんが音楽監督に就任されて、まさに一番最初のステージであるということを考えると、ある程度は仕方のないことなのかもしれません。この2日後には自分達の定期もあるそうですから、むしろ、そちらの方に照準を合わせていたのかもしれませんし。でも、見た感じは、オケとの仲も良さそうで、これからもずっといい感じで音楽をつくり出していけるのではないかと思います。なかなか、いい感じでした。

 プログラムの中で一番面白かったのは、後半最初の「ウィーンの森の物語」。チューニングが終わって、さぁ、演奏に、とコンマスが見ると、指揮者が舞台袖から出てこない… と思ったら、曽我さん、何故かちょこんとコントラバスの席に座っているじゃありませんか。促されて、そこから何と、コントラバスを持って、指揮台に向かいます。え?と思っていると、そのまま、弦の主席奏者達とのカルテットが始まります。あの、ツィターで演奏される、メランコリックなメロディーの部分ですね。ほぉ、と思ってしまうのですが、実は曽我さん、学生時代はコントラバスを弾いていらっしゃったのですね。プロフィールを拝見すると、桐朋学園時代とルーマニア留学時代にずっとコントラバスを専攻されて、その後、ウィーン国立音楽大で指揮を専攻されるようになったということですから、コントラバスもかなりの腕なのでしょうね。指揮台の所にコントラバスが立つなんて光景は初めて見たのですが、なかなか、お洒落の演出だとも思います。でも、さすがにコントラバスを抱えての指揮は辛そうでしたけど…

 ところで、今回のプログラムに花を添えていた六車さんですが、彼女もすっかり、このコンサート・シリーズではお馴染みですね。ついにファンクラブもできたそうで、ますます活躍に期待が持たれます。でも、今回の演奏は、ちょっと体調の調整が不十分だったのか、声にあまりハリがないようにも感じました。たまたま、私の座っていた席が2Fの右側後方の辺りだったから、聴こえづらかっただけなのかもしれませんが、もうちょっと声量もなかったかしらん、と思ってしまうのです。どうも、オケの音に声が消されてしまいがちで、ちょっと残念な気もしてしまうのです。でも、「春の声」などという難しそうな曲にも果敢に挑戦されていて、その姿勢はさすがだと思います。「ウィーン我が夢の街」もなかなか情感溢れる演奏で、素敵でした。

 ちょっと遅ればせのニューイヤーコンサートという感じの演奏会でしたが、なかなか楽しい演奏会でした。次回の5月も楽しみです。