らいぶらりぃ
PrevNextto the Index

Dr.ヒロシのおもしろ音楽室

●日 時2001年2月10日(土)14時開演
●会 場神戸新聞松方ホール
●出 演ピアニスター:ヒロシ
司会:山田裕佳
●曲 目【第1時限】
メイプリルリーフ・ラグ
【第2時限】〜右脳と左脳の分離独立講座
まいごのまいごの子猫ちゃん踏んじゃった
ロンドンばち
メリーさんのハチ
ドレミ炭坑に月が出た
ピンクの鬼太郎
ゲゲゲのカンパネラ
都はるみの主題によるショパン、ん?
【第3時限】〜日本のピアノ音楽史”ヒロシ”登場まで
ショパンの前奏曲第7番
お座敷体操第一
ピアノ協”象”曲
ピアノソナタ「悲愴゛」
沖縄の象さん/カエルの歌
アラビアのカエルの歌
ロックンロールな象さん
【第4時限】〜朗読の時間/香り高い名文を、格調高い音楽にのせて
 ブリっ子の松田聖子風
 NHK「今日の料理」風
 格調高き大奥風
 岩下志麻の極道の妻風
 お昼のメロドラマ風
オリジナル:50年目のラブレター
【第5時限】〜水戸黄門の諸国漫遊・愛の音楽奇行
人生楽ありゃ苦もあるさによる各国風変奏
【第6時限】〜ヒロシの超絶技巧
ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」より バーバヤーガの小屋&キエフの大門
リクエストによる即興メドレー
  別れのブルース/スーダラ節/舌切りスズメ/知りたくないの
  ノクターン第2番/タイタニックのテーマ/くるみ割り人形
  宇宙戦艦ヤマト/となりのトトロ/ローレライ/イエスタディ/イマジン
クマンバチの曲芸飛行
オリジナル:ごめんね
演奏会用ディズニー組曲〜超絶技巧
(アンコール)
アイネ・クライネ・スーダラ節
愛するあなたに贈るショパン

 久しぶりに、ピアニスターのHIROSHIさんの演奏会に行ってきました。相変わらずのユニークな音楽で私達を楽しませてくれました。

 何が面白いって、やはり、彼独自のアレンジの妙技がすごいんですね。第2部では、右手と左手とでそれぞれが別の曲を弾くという妙技を披露してくれます。「猫踏んじゃった」と「犬のおまわりさん」とを一緒にしてみたり、「ロンドン橋」と「ブンブンブン」を一緒にしたり、「ドレミの歌」と「炭坑節」、果ては「ゲゲゲの鬼太郎」と「ラ・カンパネラ」を一緒にしてみたり、と、まさに奇想天外なことをしてのけてくれます。そして、第3部では、具体的なアレンジの仕方ということで、前に聴いた時(1998年9月2日)と同じように、長調を短調にしてみたり、沖縄音階、アラビア音階にしてみるということを実践してくれています。…この辺のネタは、前とあまり変わってないのですね。今や、すっかり、彼流の持ちネタみたいになっているのでしょう。話術の方も巧みで、十分に楽しませてくれます。

 しかし、今回、一番、おお!と思ったのは、第4部です。HIROSHIさんがピアノを弾きながら、司会もやっている山田さんに朗読(しかも、読む文章は「ユンケル皇帝液」の説明書!)してもらうというものなのですが、ピアノが音によってその情景を描き分けていくのに合わせて、朗読の方も読み方を変えていく、というのです。つまり、HIROSHIさんが、ピアノで、それぞれ、”ブリっ子の松田聖子風”、”NHK「今日の料理」風”、”格調高き大奥風”、”岩下志麻の極道の妻風”、”お昼のメロドマラ風”と5つの情景を描き分けていき、それに合わせて、山田さんの方も表情を変えていく、というものなのです。これは、実に面白く、またすごいと思うのです。ピアノで弾き分けていくということは、割とすぐにできそうなものですが、それにあわせる方がすごいんですね。山田さんの”熱演”が光っていて、松田聖子から岩下志麻、料理の先生に、メロドラマのヒロインン、大奥の御台所(又はお部屋さま、それとも女官?)という役を難なくこなしているのです。ピアノの方が順不同で、音楽を変えていくのですが、それにきっちりと合わせて、はっと役を転じさせていて、見ていてこれほど面白いものはないですし、また、それだけのことをこなしてしまうことを、凄いと思ってしまうのです。結構、きわどい台詞なんかも喋っていましたけど、それはま、ご愛嬌ということで。(^^;

 また、第5部での「人生楽ありゃ苦もあるさ」による変奏も面白いものです。水戸黄門さまが、何故か中国に渡り、そこからロシアまで行ってしまう、という途方もないストーリー(?)に乗せて、水戸黄門のテーマを各国風にアレンジしていくのです。へぇ、こんな風にもなるものなのか、というものばかりで、楽しいものです。

 そして、お待ちかね、第6部での、リクエストによる即興演奏です。お客さんからリクエストを集めてのメドレー演奏ですが、その場で集めたリクエストにすぐにその場で応えて、メドレーにアレンジをしてしまい、さっと演奏するというのは、やはりさすが、HIROSHIさんならではですね。出てきたリクエストも、ショパンからビートルズ、映画音楽にアニメ音楽という、全くジャンルの違うものばかり。よくもまぁ、こんなにもばらばらなものを一緒にすることができるなぁ、と感心してしまいます。さすがです。

 オリジナルの曲も2曲演奏されましたが、これは、前の時も弾かれていたのですね。でも、そのきれいなメロディーはやはり、素敵です。こんな曲を書く才能も持ち合わせていらっしゃるというのが、またすごいものです。もっと他にもオリジナルの曲をどんどん、出されたらいいのに、と思います。

 ネタ的には、前回のと同じような感じで、新鮮さのようなものは、前ほど感じませんでしたが、でも、やはり、たまには、こういう演奏会でほっとリラックスしながら、思いっきり楽しんでみるのもいいものです。妻と2人で、とても楽しめた演奏会でした。