らいぶらりぃ
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マルク・ラフォレ ピアノリサイタル

●日 時2001年4月14日(土)16時開演
●会 場神戸新聞松方ホール
●出 演ピアノ:マルク・ラフォレ
●曲 目ブラームス/4つの間奏曲変ロ短調Op.117-2
            イ長調Op.118-2
            変ホ長調Op.118-6
            ハ長調Op.119-3
シューマン/幻想小曲集Op.12
ショパン/幻想曲へ短調Op.49
     3つのマズルカ第36番イ短調Op.59-1
            第37番変イ長調Op.59-2
            第38番嬰ヘ短調Op.59-3
     スケルツォ第2番変ロ短調Op.31

 昨年のルイサダさんのリサイタルに続いて、今度は、マルク・ラフォレさんのピアノを聴いてきました。2人に共通しているのは、1985年のショパン・コンクールで入賞しているということ。この年の入賞者には小山実稚恵さんもいて、彼等の演奏は割と好きなのですが、ラフォレさんのピアノは、まだ聴いたことがなかったのでした。なので、ピアノ好きな妻と2人、また出かけてきたのでした。

 さて、そのラフォレさん、実に素敵なピアノを弾きはりますね。つい先日に、独特の味わいのあるフジ子さんのピアノを聴いてきたからか、とっても素直で美しい響きに聴こえます。それは、言うてみれば、いかにもフランスらしい洗練された、きめの細やかな味わいとでもいうもの。ブラームスの作品にしても、とってもお洒落なんですね。メランコリックな雰囲気に満ちた曲ですが、これを、あまり重々しくならないように、それでいて軽すぎないように、さらっとした感じで弾いていくのです。ブラームス独自の孤独感のようなものを、変に重くはしなくて、ロマン派らしく美しくたっぷりと歌っているのですね。シューマンの曲にしてみても同様で、それぞれの曲をとても丁寧に、かつたっぷりと歌い上げているのが印象的です。特に、「飛翔」や「なぜ」等の曲は、何か、はっとさせられるようなものがあったように思われて、印象に残っています。

 けれど、一番の印象は、やはりショパンでしょう。ショパンの作品を、かなりの主張を持って歌っているのが、分かるような気がするのです。マズルカにしてもそうですが、特にスケルツォ。変に力んだりすることなく、極めて自然に歌っているのです。けれど、そこに、とんでもないくらいの魅力が宿っており、特に中間部で次第に盛り上がっていく部分など、じわぁっとクレッシェンド、盛り上がってくるのが、何とも言えない興奮を聴く者に与えるのです。こんなにもぞくぞくっとするくらいに、曲の中に引きずり込まれるのって、そうそうないことでしょう。これだけでも、おぉぉっ!と感動してしまうのでした。

 この自然な感じで歌いながら、ぐぐっと聴く者の心を捉えてしまうというのが、ラフォレさんの魅力なのでしょうか。何と言うか、変に独特性を出すということはないのですが、逆に、あくまでも自然体で演奏をするからこそ、そこにラフォレさんの呼吸が表れて、つまりはそれがラフォレさんの主張、伝えたいことをはっきりと表現しているのかもしれません。そして、聴く者はそれをはっきりと感じ取ることができて、感動してしまうのかもしれません。素敵な演奏会でした。

 終演後は、妻と2人、しっかりとラフォレさんのサインをいただき、また握手もしてもらってきたのでした。(^^;