らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 2001年9月17日(月)19時開演 |
●会 場 | ファミリアホール |
●出 演 | SAWA QUARTET |
ヴァイオリン:澤和樹/大関博明 | |
ヴィオラ:市坪俊彦 | |
チェロ:林俊昭 | |
●曲 目 | モーツァルト/弦楽四重奏曲第18番イ長調K.464 |
ドビュッシー/弦楽四重奏曲ト短調 | |
ブラームス/弦楽四重奏曲第3番変ロ長調 |
かつて、阪神淡路大震災の時、いち早く応援に駆けつけてくれたアーティストが、この「SAWA QUARTET」の皆さん。今回は、それに対する感謝の意を込めて、元町ミュージックウィークへお招きした、ということらしいです。それが、タイトルの「励ましをありがとう」ということなのですね。会場はファミリアホール。私も初めて行ったのですが、なかなかいい感じのところです。一部が大理石の大広間という感じのホールなのですが、昔ながらの音楽ホールといった雰囲気で、何とも言えないお洒落な雰囲気が漂っています。こういうところで、そういう趣旨での演奏会、何ともお洒落なものです。会場全体も和やかな感じに包まれていました。さて、「SAWA QUARTET」の皆さんの演奏です。さすが、日本を代表する皆さんだけのことはありますね。実に見事なアンサンブルを聴かせてくれます。端正のとれたハーモニーに、ダイナミックなまでに豊かな表情に、説得力のある表現。聴く者の心をぐっと捉える何かがあります。ちょうど、会場もまた、とても音が響くところなのですね。その残響もあいまって、とっても演奏がひきたって聴こえるのです。特にモーツァルトは、そういう残響効果もあってか、さながらモーツァルトの当時の宮廷のサロンで演奏を聴いているかのよう。当時もこんな感じで、貴族達は音楽を楽しんでいたのかしらん、と思います。澤さん達の演奏も、あくまでも優雅に、非常に雅びやかな感じで、とても心地のいいものでした。
が、次のドビュッシーになるとちょっと様相は変わります。それまでの優雅さとは違う、何か大きな力のようなものを感じるのですね。1楽章はまさにそうで、音がいくつにも不思議な感じに重なり合い、それがとてつもないくらいに大きなうねりとなって、会場中に響き渡るのです。それはもう、雅びやかさとは違った、非常にシリアスな世界です。その大きな音のうねりの中に、私達もただ翻弄されていくようです。2楽章は、ピチカートが、水滴がしたたるような感じにも聴こえて、やや軽快でお洒落な感じ。そして、3楽章、この美しさは何?というくらいに、とっても美しい楽章ですね。静かな雰囲気の中、まるで祈りを捧げるかのような旋律がゆったりと、切々と歌われていきます。澤さんのヴァイオリンが、高音までをもとてもクリアに響かせていることもあり、それはまさに天上の響きとでもいうもの。ただでさえよく響くこの会場いっぱいに、その祈りの音楽がふわぁっと広がると、何故か泣けてしまいます。そして、ふと、TVで見た、アメリカのテロ事件での犠牲者の皆さんに対する追悼式が行われていた教会の風景が、思い出されてしまい、余計に切なくなってしまいます。もちろん、澤さん達が何を考えて演奏してはったのかは分かりませんが、私にはどうも、この事件に対する祈りの気持ちの表れであったように思われてならないのでした。…ちょっと思い込みが強すぎるかしらん。(^^; そして、4楽章もまた、たっぷりと歌い上げていきます。息をつく間もないくらいに、盛り上がっていく様はまさに圧巻です。素晴らしい演奏でした。
後半はブラームス。これまた渋い選曲ですね。ブラームスらしい(?)渋さがよく出ていて、澤さん達の演奏も、たっぷりと響かせながら、見事に歌い上げていきます。印象的なのは、3楽章。低弦が活躍して、特にヴィオラの市坪さんの演奏が光ります。ヴィオラ・ソロのメロディがたまらなくいいんですね。渋めの感じのするメロディですが、その内に秘められた、ブラームスのロマンというものが切々と歌われていくようで、その音色には、うっとりとしてしまいます。これぞブラームス、という感じです。また、1楽章は、どこか寂しげな感じで、これからの秋風吹く季節にぴったり、という感じの曲ですね。その寂しさを歌いながら、次の2楽章ではまた、静かな祈りになります。こういう静かな部分をどれだけ印象的に演奏できるかが、或は聴きどころなのかもしれませんが、澤さん達の演奏はほんと、見事なまでにしっとりと、切々と訴えかけてくるように歌っています。何かしみじみとしてしまうのでした… 4楽章もロマンティックいっぱいに歌い上げていて、ほんと、ブラームスを堪能できました。
素敵な会場で、素敵な演奏、いやぁ、優雅なひとときを過ごすことができました。これだけの演奏会なのに、お客さんがやや少なかったのが、ちょっと残念な気もします。(もっとも、あまり多くの人数が入る会場でもないのですが…)「元町ミュージックウィーク」というイベントの中の1つの演奏会なのだから、もうちょっと盛り上がってもいいのに、と思ってしまうのでした。