らいぶらりぃ
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華麗なる四季の宴

●日 時2001年9月21日(金)18時30分開演
●会 場兵庫県公館(迎賓館)
●出 演金関環とラ・ストラーダ
●曲 目ヴィヴァルディ/「四季」

 ヴァイオリンの金関さんのことは、ずっと以前からお名前は知っていたのですが、なかなかその演奏を直に聴く機会に恵まれませんでした。この5月に、アンサンブル神戸の定期に、ゲスト・コンマスとして出ていられたのを聴いたのが、初めてだったのです。で、その時に、結構、いい音楽を作る人やんか、と思い、今回も出かけてきました。

 さて、今回の曲は、「四季」。何を今さら、という気もしないでもないのですが、全曲を通じて聴いてみるのも、改めてこの曲の魅力を見直すことができていいものです。金関さん率いるラ・ストラーダの皆さんの演奏は、なかなかよく練り上げられた音楽を聴かせてくれます。各楽器とも、1〜3人くらいずつのごく小さな編成であるからかもしれませんが、音が見事に1つに溶け合っているのですね。そして、その音色がとても艶やかなのです。或は、女性が多いからなのかもしれませんが、何か、色気のある演奏なのです。そこに乗って、金関さんのヴァイオリンもまた、実に伸びやかに旋律を歌っています。自由奔放という感じで、自在に動き回るその演奏は、相当の腕の持ち主であることを十分に語っています。それに、表情がいいですね。アンサンブル全体もそうなのですが、実にはっきりとした表情がついていて、聴いていて飽きない演奏なのです。それが、四季それぞれの季節の色彩というものをくっきりと浮かび上がらせていて、とてもメリハリのある素敵な演奏になっていたと思うのです。

 ただ、金関さんのヴァイオリン、よく聴いていると、ややピッチに狂い(?)があるようにも聴こえるのです。全部がそうというわけではありませんが、特に、夏の部分、あのけだるい音楽を弾いてはる時には、何か、バックのアンサンブルとピッチが合ってないような感じがしたのです。もっとも、けだるさを出すためにわざとしてはったのかもしれないのですが。たまたま今日が、気温も急に下がり、夕方から雨も降り出してくるなどしてたから、気候の変化に楽器がついていけなかった、ということも十分に考えられるのですけれど、ちょっと残念な気もしました。でも、そういうことを加味しても、十分に素敵な演奏であったことに違いはありません。何か、表現しようという確たるモノがあって、それをまさに自分の演奏で、はっきりと表現しよう、そういう明確な意思みたいなものが伝わってくるのですね。素敵なヴァイオリンでした。

 ところで、今日の演奏会は、曲の解説がいちいちつけられてのものでした。司会の方が、金関さんとおしゃべりをしながら、曲のあらましを、四季それぞれの部分ごとにしていくのです。そして、この曲のベースになったソネットを紹介しながら、こういうシーンを表わす音楽はこういうもの、とその一部だけを初めに聴かせてくれて、一応の理解をさせてくれてから、本番の演奏、という流れだったのです。これ、分かってる(つもりの)人間には何かくどい気もしましたけど(^^;、いいですね。特に初めて聴くという人にとっては、曲に対する理解というものが深まっていいことだと思います。ただ、個人的には、正直なところ、やや白々しい司会には、ちょっとうんざりではありました。(^^;

 それにしましても、県の公館って初めて来ましたけど、素敵なところですね。会場は大広間といった感じのところでしたけど、シャンデリアがあったりして、さすが迎賓館なわけです。ここって、県のされる「のじぎくコンサート」の時くらいしか開けてくれないと記憶しているのですが、もう少し多くの機会に、こうして開けてくれるといいのに、と思ってしまうのでした…