らいぶらりぃ
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第20回フェスティバル名曲コンサート

●日 時2001年10月14日(日)14時開演
●会 場フェスティバルホール
●出 演トーマス・ザンデルリンク指揮大阪シンフォニカー交響楽団
ヴァイオリン:森下幸路
●曲 目モーツァルト/歌劇「劇場支配人」序曲
       ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」
ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」

 今年の大阪シンフォニカーの名曲コンサートも今日が最後です。年間5回の公演でしたが、ほんと、あっという間でした。

 さて、今日の公演には本来ならば、谷本華子さんがソリストとして登場される予定だったのです。ですが、急病とのことで、急遽、森下さんが登場することになったのです。森下さんと言えば、ギターの福田進一さんとデュオを組まれてのアルバムを出されるなど、既に実力派して知られるヴァイオリニストですね。ほぉ、と思いながら演奏を聴いてみると… これがまたとっても素敵な演奏なのです。モーツァルトの「トルコ風」という、割と軽快な感じ曲なのですが、これを実に軽やかに弾いていかれるのですね。男性ヴァイオリニストだから、力のある演奏というイメージがあるのですが、そうではなく、あくまでも軽やかに、華麗に弾いていかれるのです。それは、モーツァルトの当時の雅びやかな雰囲気たっぷりという感じで、とても上品なものでもあります。3楽章など実に優雅で、ロマンティックな演奏でしたし、2楽章の緩やかな楽想もまた美しく歌っていました。代役と言うには、かなりビッグな方を呼んだものだとも思うのですが、森下さんならではの素敵な演奏を聴くことができて、これはこれで良かったのかなとも思います。

 メインは、「展覧会の絵」。6月に児玉桃さんのピアノで聴いたところですが、今回はラヴェル編曲による豪華絢爛たる演奏です。その華やかさをくっきりと出すのが、金管楽器だと思うのですが、ちょっと不満な点もありました。結構、ぶれたりして音が不安定だったり、音自体の響きに深みがなかったり、どうも、精彩に欠けたような感じがしたのです。金管がそのようであったためか、全体的にも、いまひとつぱっとしないような印象は拭えません。ザンデルリンクさんの指揮は、そう変なことをするでもなく、むしろ、楽譜に書かれていることを忠実に再現していくかのようで、非常にどっかりとした、ラヴェルの華やかさだけではない、ムソルグスキーの原曲のどこか土臭い雰囲気をも出していたと思うのです。それだけに、もっとクリアな音が出れば、なお素敵な演奏になったのに、と思ってしまいます。シンフォニカーさんの演奏って、ここ最近、ちょっとマンネリ化してるような気もするのですが、どうなのでしょう? 何と言うか、ちょっと前まであった、若々しくエネルギッシュな中に豊かな表現力が光り、聴く者に対して何かしら訴えてくる力のある演奏、というのでなく、何か最近、力で押して演奏をごまかしてしまっているような… 私の勝手な思い込みかもしれませんが、来年はこんなことのないよう、期待したいと思います。

 ところで、この10月からシンフォニカーのコンマスって、森下さんが就任されているのですね。他にもいくつかのポストでメンバーが入れ替わっているらしいですが、そうなると、これからの演奏にも目が離せなくなりますね。メンバーも替わり、そして、音楽監督の曽我さんも2年目に入る、来年の演奏がまた楽しみです。