らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 2002年1月20日(日)14時開演 |
●会 場 | 神戸文化ホール・大ホール |
●出 演 | 朝比奈千足指揮神戸フィルハーモニック |
●曲 目 | ロッシーニ/「ウィリアムテル」序曲より 終曲 |
ヴェルディ/歌劇「アイーダ」より 凱旋行進曲 | |
オッフェンバッハ/歌劇「ホフマン物語」より 舟歌 | |
ホルスト/組曲「惑星」より 木星 | |
外山雄三/管弦楽のためのラプソディー | |
スッペ/「軽騎兵」序曲 | |
J.シュトラウスII/加速度ワルツOp.234 | |
ヨゼフ・シュトラウス/ポルカ「おしゃべりなかわいい口」Op.245 | |
ポルカマズルカ「女心」Op.166 | |
ポルカ「憂いもなく」Op.271 | |
J.シュトラウスII/ワルツ「美しく青きドナウ」Op.314 | |
(アンコール) | |
J.シュトラウスI/ラデツキー行進曲 |
今年の神戸フィルのニューイヤーは、干支の馬にかけて”飛翔”とかいうのがテーマなのだそうです。それで、前半にはやたらと元気のいい曲が並んでいます。中でも一番の目玉は、「アイーダ」の凱旋行進曲。何と、市内の中学生・高校生の選抜メンバーをバンダに据えるという大がかりなものなのです。舞台の上手と下手それぞれの花道にずらりと生徒達が並んだ様はなかなか圧巻です。そしてそこから繰り出されるラッパの音の何とも元気のいいこと。オケのラッパよりもずっといい音を出しているんじゃない?というくらいの軽快な響きは、やはり普段からの練習量の違いから生まれてくるのでしょうね。オペラのシーンを想像してもらえたら、とおっしゃっていましたが、なるほど、あの華やかな舞台を想像させるに十分な演奏だったと思います。途中のバレエが入る舞踏の部分がカットされていたのが、ちょっと残念ではありましたが。(ついでに、個人的には、この曲、やはり合唱が入らないとしまらないな、とも思ってしまいますが、あまりないものねだりをするのもよくないですね…)でも、このように若い人達の芽を育むような試みはとてもいいことでしょう。こういう試みは今後も考えていってもいいと思います。他の「ウィリアムテル」や「木星」にしても、なかなか元気だけはいいですね。ただ、ラッパの音が外れてしまうのが、どうしても気になります。ホルンはいつも必ず、期待通りに音を外してくれるのですが、何とかならないものですかね。トランペットもおおむね健闘とは言うても、たまにかすれた音を出して、興奮状態なのを冷ましてくれます。でも、そんなことよりももっと大事なのは、音がつながらないということです。特に「木星」で感じたのですが、楽器ごとに短いフレーズをつないでいくようなところで、音の流れが楽器ごとにぶちっと切れてしまっているのです。もっと大きな流れで、こういう音楽だから、こう音をつないでいく、というものが感じられないのです。威勢のいい部分では勢いだけでごまかせてしまいますが、ちょっと静かな部分になると、それがもろに露見します。音が単なる音でしかなくて、音楽としての流れが聴こえてこないのです。演奏技術は(上述の金管の問題はあるにしても)それなりのレベルにあるのだから、あとはそういう音楽の内容的な部分をもっと詰めていけたらいいのに、と思うのですが、どうなのでしょう…?
後半はいつものごとく、ウィンナワルツ。「女心」というポルカは初めて聴いたのですが、上品な香りの漂う曲ですね。なかなかいい選曲です。「憂いもなく」では、途中で楽員達が大声で笑うというのが聴きどころ、なのですが、あまり笑っていなかったような。演奏に真剣なのは分かりますが、そういうサービス(?)もしてくれないと。でも、全体にうまくまとめていたと思います。
今回の演奏会は、どうして?と思うくらいの超満員御礼の状態。立ち見も出るほどの盛況ぶりでした。そのお客さん達も概ね満足したのではないでしょうか。熱気のある演奏会でした。