らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 2002年1月27日(日)14時開演 |
●会 場 | 伊丹アイフォニックホール |
●出 演 | 加藤完二指揮伊丹シティフィルハーモニー |
ピアノ:谷川秀美 | |
●曲 目 | モーツァルト/歌劇「後宮からの誘拐」より 序曲K.384 |
ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466 | |
プロコフィエフ/バレエ組曲「ロメオとジュリエット」第1組曲・第2組曲より抜粋 | |
モンタギュー家とキャプレット家 | |
踊り | |
情景 | |
メヌエット | |
マドリガル | |
アンティーヌの踊り | |
タイボルトの死 | |
(アンコール) | |
マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 間奏曲 |
久しぶりに伊丹シティフィルの演奏を聴いてきました。プロとアマの混成という編成のオーケストラとして活動を始めて10周年になるのですね。その実力は着実に向上してきていると言うてよいのでしょう。ところで、毎回、この名曲コンサートのソリストというのはオーディションで選ぶのだようで、今回は谷川さんが登場です。一昨年にリサイタルをされるなど、徐々に活動の輪を広げていこうという、期待の若手でいらっしゃいますね。今回の曲は、個人的にはモーツァルトのコンチェルトの中でも一番好きな20番。この悲劇性を漂わせながら切々と哀愁を帯びて歌うピアノ、これを、谷川さんは、とても1つ1つの音を丁寧に弾いていきます。それは、女性的な優しさというのでしょうか、とてもやわらかな感じで音をつないでいくのです。そのやわらかさが大いに生かされるのが、2楽章。この静かで温もりの感じられる曲において、谷川さんのピアノはとても情感たっぷりに歌い上げていきます。出だしのピアノだけの部分だけでも、その温もりがはっきりと伝わってくるようで、なかなか好感が持てます。他方、1楽章や3楽章は、どちらかというと悲劇性が強く出てくる楽章。彼女のピアノは、この悲劇性をも優しさの中に覆うかのようです。個人的な好みでは、もうちょっと悲劇性が出てきてもいいようにも思うのですが、これはこれで、女性的な優しさにあふれていていいのではないでしょうか。ただ、カデンツァの部分はもう少し大胆になってもいいような気はしました。でも、概ね、好感の持てる演奏でした。これからのご活躍が楽しみですね。
さて、メインの曲は、プロコのロメジュリ。超ド派手な曲でありますが、なかなか切れ味よくまとめています。「モンタギュー家とキャプレット家」など、弦はうねるは、管は吠えるは、太鼓は響くは、と、もう、ホール全体が割れるくらいの大音響。(大体、このホールって、丸くて小さなホールだから、響きがわぁっと全体に広がりやすいんだろうと思う…)これを興奮なしで聴くことなどできません。おぉぉっと、オケの大音量に圧倒されてしまいます。でも、その次の「踊り」や「情景」など、小じんまりとした曲になると、やや粗削りなような印象も少し受けます。全体的に音は割とシャープで、きりっと引き締まった演奏なので、音のブレなどは、少々のものだと余り気にはならないのですが、でも、管楽器など、力みすぎているのか、音がぶれるような箇所はいくつかありました。それでも、一番最初のモーツァルトの序曲では、割と上品な感じでややおとなしめに演奏していたのが、この曲になると、がらりと変わって、常に前へ前へという積極的な姿勢になっていますね。気合たっぷりというのがはっきりと分かります。大体、指揮者の加藤さんの指揮というものが、とても明解でかつ表情豊かなものであるから、オケも乗るのでしょうね。とても演奏しやすそうな指揮です。そんなノリノリのまま最後の「タイボルトの死」へ。一番の山場であるティンパニの連打へ向けて疾走していく部分など、無茶苦茶にとんでもないくらいに速くて、それでも弦がしっかりと食らいついていくのです。その気迫に、こちらも嫌でも気持ちが高揚してしまいます。おぉぉっと感心している間に、一気に終結へなだれ込んでいくのでした。この曲自体は、私はずっと前に芦屋交響楽団の演奏でも聴いたことがあるのですが、あの時の演奏に負けないくらいの素晴らしい演奏であったと思います。いやぁ、すごいものです。
文化都市として成長しつつある伊丹の街の誇るオケとして、これからの活躍にも大いに期待したいと思います。