らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 2002年8月31日(土)14時30分開演 |
●会 場 | NHK大阪ホール |
●出 演 | 下野竜也指揮大阪フィルハーモニー交響楽団 |
●曲 目 | フンパーディング/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲 |
グリーグ/劇音楽「ペール・ギュント」より | |
第1幕への前奏曲 | |
第2幕への前奏曲「イングリッドの嘆き」 | |
山の上の宮殿で | |
オーセの死 | |
第4幕への前奏曲「朝」 | |
アラビアの踊り | |
第5幕への前奏曲「ペール・ギュントの帰郷」 | |
ソルヴェイグの歌 | |
シューマン/交響曲第3板変ホ長調「ライン」 |
ほとんど1か月ぶりの大阪・げんき・クラシックであります。第1クール最後を締めるのは、下野さん指揮の大フィル。下野さんは故朝比奈先生の下で研鑚を積まれて、その後の活躍の目覚ましい方ですね。私もずっと気にはしていたのですが、なかなかその演奏を聴きに行く機会に恵まれませんでした。それが今回、このシリーズの中で聴けるというのは、とても嬉しいことです。さて、前半は「ヘンデルとグレーテル」序曲で始まります。そういえば大フィルの演奏も生で聴くのは久しぶりですが、なかなか奇麗にまとめていますね。下野さんの指揮は派手さはありませんが、ツボをうまく捉えたもので、この曲=お伽話の世界を非常に優しい感じで、しかしややドラマティックに描いているようです。最初の方でこそ金管の音色にやや難がありましたが、それ以外は全体的にとても素敵な演奏であったと思います。そして、続いては「ペール・ギュント」。学校の音楽の授業でも聴くようなこの曲、夏休み最後の子供達にとっては、より親しみをもって聴けたことでしょう。この曲の演奏の前に下野さんがマイクをとり、簡単にお話をされました。「…ぺール・ギュントがどういう人かはあえて説明しません。演奏を聴きながら、どういう人なのかな?とか、どういう場面なんだろう?と想像しながら聴いてみてください。」というようなことです。実際、演奏の方もいろいろと想像できるように、実にドラマティックなものでした。前奏曲の特徴のあるメロディーや、山の上の宮殿のおどろおどろしさ、オーゼの死での深い哀しみ(これが実に情緒深くて素晴らしかった!)、朝でのすがすがしさ等々、曲自体の魅力をさらに引き立てるように、演奏は進んでいきます。その盛り上がりというのは、非常に集中力を感じさせるのですね。全ての音が下野さんの頭の上でぎゅっと1つにまとまって、そこからぱぁっと会場全体に響いていくという感じなのです。下野さんご自身も大フィルとはずっとつき合いがあることですから、お互いに気心は知れているのでしょう、それが音楽を見事に1つにまとめ上げているように思うのです。素敵な演奏でした。
後半はシューマンの「ライン」。この大曲に下野さんは真正面から立ち向かっていきます。たっぷりとした音量で、堂々とラインの流れを描いていくかのようです。同じような旋律が何度も繰り返されていきますが、その辺の組み立てが、多少荒いように感じないでもないです。が、それが逆に、前半までのどこか上品な感じを押しやり、自由奔放にロマン派の情熱が奔流していくかのようなものを感じさせます。緻密に、というのとはちょっと違うような気もしますが、なかなかよく考えられて組み立てられている演奏だという感じはします。音の鳴らし方とか、なかなか素敵なものですね。何か安心して聴くことができました。
大フィルも新しい音楽監督に大植さんを迎えることが既に決定しているようですが、ずっと朝比奈さんの下で修行をされて、これだけの音楽を作り上げることのできる下野さんもまた、ずっと大フィルに関っていっていただきたいものですね。