らいぶらりぃ
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おおさか・元気・クラシック

●日 時2002年9月5日(木)19時開演
●会 場NHK大阪ホール
●出 演曽我大介指揮大阪シンフォニカー交響楽団
ヴァイオリン:高木和弘
●曲 目モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調Op.64
モーツァルト/交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
(アンコール)
バッハ/アンダンテ
モーツァルト/交響曲第36番「リンツ」より 第3楽章

 好評の「おおさか・元気・クラシック」も、遂に第2クールを迎えることとなりました。9月から12月までの毎月1回、「関西の若手バイオリニスト」ということで、関西で活躍するヴァイオリニストが次々と登場するというわけです。神尾さんとか木嶋さんとか梁さんとかの名前がないのはちょっと残念だったりしますが、それでも確かにじっくりと聴いてみたいと思う方々の名前があがっていて、楽しみであります。

 さて、今回は高木和弘さんの登場です。彼の演奏は前にも1回、聴いたことがあり、なかなか素敵な演奏をする人だな、という印象はありました。今回はメンコンです。誰でもが知っているこの名曲をどう弾かれるのだろうと思っていました。演奏が始まってすぐに感じたのは、とっても余裕を持って、構えすぎないでゆったりと弾いてはる、ということです。音自体もとても繊細でかつクリアで伸びやかなものなのですが、決して力まずに、非常にゆとりのある感じで弾いてはるのですね。それが不思議なくらいに、この曲の魅力というものを前面に押し出してくるようで、この曲ってこんなに美しい曲だったんだ、ということを改めて実感させてくれるのでした。この曲って、大きなフルオーケストラをバックに可憐な女性ヴァイオリニストが弾くっていうイメージがあるのですが(?)、それとは違って、とても大人の感じの上品でおしゃれな演奏だと思うのです。カデンツァも力みすぎてないから、実にたっぷりとした感じで素敵でしたし、2楽章がこの上なく美しかったのも言うまでもないこと。もっと印象的なのが3楽章です。終楽章ということで、たいていは結構、力の入った演奏になると思うのです。でも高木さんはあくまでもマイペース、上品さを決して失うことなく、実に軽やかに音を転がしていくのです。こんなに軽快な3楽章は聴いたことがないってくらいです。オケの方も弦楽パートにしても各2〜4プルト編成という割と小ぶりな編成だったのですが、そのこともあってか、音が非常に緻密に集まっているような感じがするのです。それが演奏の上品さを保たせているのかもしれません。高木さんご自身も最近は室内楽にも力を入れてはるということで、そのこともあってか、室内楽のような響きに聴こえた一瞬があったのも事実です。まさにソリストとオケとが完全に一体となっていると言うていいのでしょう。おしゃれで軽やかな演奏で、メンデルスゾーンを満喫できたのでした。

 ところで、オーケストラの方の曲はモーツァルト。前回のシンフォニカーさんの出番の時も、オール・モーツァルトで25番や40番をやっていましたが、今回は41番。どうも、すっかりモーツァルトづいているようですね。今回も実にノリノリの快活この上ないくらいの演奏でした。これだけメリハリのある、勢いのあるモーツァルトが聴けるのもシンフォニカーさんならではです。素敵な演奏会でした。