らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 2002年10月13日(日)14時開演 |
●会 場 | フェスティバルホール |
●出 演 | トーマス・ザンデルリンク指揮大阪シンフォニカー交響楽団 |
ピアノ:奈良田朋子 | |
●曲 目 | グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 |
リスト/ピアノ協奏曲第1番変ホ長調S.124 | |
チャイコフスキー/交響曲第4番へ短調Op.36 |
シンフォニカーの名曲コンサート、今回は奈良田さんを迎えてのリストであります。奈良田さんは以前にも登場されたことがありましたね。それだけに今回のリストも期待されたのですが、演奏はまさに期待どおりのものでした。出だしからして、並々ならぬ集中力をもって曲に挑んでいるのがはっきりと分かるのです。その凄まじさと言ったら! ただでさえ技巧的な面でも内容的な面でも聴かせどころのたっぷりとあるこの曲を、さらに濃密な演奏で掘り下げていくようなのです。それはただ単に華麗なというのではなく、絢爛豪華の中に、長い歴史と伝統を誇る寺院建築のような魅力と言うたらいいのでしょうか。リスト自身、後年には宗教心あふれる曲をいくつも書いていますが、奈良田さんのピアノはそういうところまでをも見据えたような、非常にメンタルな演奏であるかのようにも聴こえます。ぐいぐいと聴く者を引きずり込んでいくような、内なるパワーというものをまざまざと感じさせるような演奏なのですね。余りにも充実した演奏で、あっという間に曲が終ってしまったような、そんな感じすらするのでした。後半はチャイコの4番です。…って、この前にバーミンガム市響で聴いたばかりやん、って言いたくもなるのですが、まぁ、ご愛敬ということで。で、今回の指揮はザンデルリンクさんなんですね。彼の指揮って、結構勇ましい感じがして、こういうイケイケな曲にはもってこいなような気もするのですけど、一方で荒っぽさも感じさせるんですよね。まぁ、そのごつごつとした演奏が持ち味なのかもしれませんが、前にオラモ指揮のバーミンガム市響の演奏を聴いてしまっているだけに、その演奏の粗さが目立ってしまいます。音が華やかすぎるんですね。うるさいというのとは違いますが、何か軽い感じで、それでいて音量が大きくて、わんわんと鳴っているという感じ。思わず、う〜んと唸ってしまいます。別に悪いとは思わないのですが、でも私の好みじゃないって感じです。ここはもっとためてよぉ、と思うような部分なんかも、音はコテコテに作っているのに、さらりと流してしまったみたいで、ちょっと残念。終楽章はもう、イケイケの度も過ぎて、超イケイケ。ここまでテンポを上げるかぁ、と言いたくなるくらいな勢いで一気にまくしたてていきます。いやぁ、これはこれでなかなか凄いものです。迫力たっぷりの演奏でした。でも、好みじゃないなぁ(しつこいって^^;)。