らいぶらりぃ
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伊丹シティフィルハーモニー管弦楽団名曲コンサートVol.12

●日 時2003年1月26日(日)14時開演
●会 場伊丹アイフォニックホール
●出 演加藤完二指揮伊丹シティフィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:別所友希
●曲 目ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番ハ短調Op18
チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調Op.64
(アンコール)
チャイコフスキー/「白鳥の湖」より マズルカ

 今年も伊丹シティフィルの名曲コンサートにやってきました。毎年、オーディションで選ばれた若い人をソリストにするということでも、注目すべき演奏会であります。今回はピアノの別所さんが登場です。どんなラフマニノフを聴かせてくれるか楽しみに聴きに行ってきました。

 その別所さんのラフマニノフ、なかなか堂々としたものです。冒頭の和音からも静けさの中にも力を蓄えていて、その並々ならぬ意気込みというものを感じることができます。ややゆったりとしたテンポで曲は進んでいきますが、まさに大河が滔々と流れるような大らかさを持っていて、雄大な曲のスケールがうまく表現されています。やがてピアノがテーマを奏で始めますが、別所さんのピアノ、この曲のイメージに合わせてか、とてもダイナミックな演奏になっています。実に堂々とした雰囲気を漂わせながら、どこか荘重なふうにも聴こえるような感じ、滔々とピアノを弾いていくのですね。1楽章はそんな雄大さたっぷりな演奏です。これが2楽章なると、またがらりと雰囲気は変わり、しとやかさのようなものが前面に出てきます。静かで美しいこの楽章、彼女のピアノは実に美しく歌いあげていきます。所々、タッチに甘さの残るような箇所も見受けられましたが、でも全体の雰囲気を損ねるようなものではなかったので、良しとしましょう。そして3楽章に入り、再び力強さが戻ってきます。有名な第2主題の歌い上げ方にやや物足りなさを感じましたが、これは逆に力みすぎたんでしょうか。せっかくの美しいメロディがちょっと勿体無かったような気します。でも、最後は渾身の力をこめて弾いてはるようで、なかなかに聴き応えがあります。全体的にはどっしりと構えて自分の音楽を創り出そうとしているのがよく分かり、素敵な演奏であったと思います。別所さんは現在、神戸女学院大学の1回生なんだそうですが、その若さゆえに、これからが楽しみですね。今後の活躍も期待したいと思います。

 後半は私の好きなチャイ5。昨年にも藤岡さん指揮の関西フィルで聴いたのですが、どっちかというと、今日の演奏の方が私の好みには合っています。どっしりとして重厚なサウンド、テンポの揺らし方など、どれもまったく私好みの仕上げ方なんですね。うんうん、これよこれ、って感じでなかなか満足のいく演奏でした。大体、加藤さんの指揮って、結構、私の好みに合うんですよね。毎回、それは思います。見やすい指揮だし、やりたいことも指揮を見ているだけでよく分かるんですよね。オケの方もその指揮にちゃんと食らいついていて、いい音を響かせています。一番目立つ2楽章のホルンもなかなか。最後でちょっと上ずったようですが、とりあえずは許容範囲でしょう。他の管もなかなかクリアな音を鳴らしているし、弦も豊かな響きを保っているし、いい感じなんです。終楽章でこそ、やや粗さも目立ちましたが、それはクライマックスへ向けての高揚ゆえのこと、一気に駆け登るようにして、曲は最後を迎えるのでした。これくらいの演奏をしていただくと、ほんと、とっても満足できます。いいチャイ5でした。

 ロシア音楽を存分に堪能できたという満足感で、今年最初の演奏会からこいつはついてるや、って感じです。さ、今年もいっぱいいい演奏会にめぐり会えますように。