らいぶらりぃ
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大阪シンフォニカ−第26回名曲コンサ−ト

●日 時2003年4月13日(日)14時開演
●会 場フェスティバルホール
●出 演曽我大介指揮大阪シンフォニカ−
ソプラノ:並河寿美
アルト:藤井美雪
テノ−ル:松岡重親
バス:井原秀人
河内長野ラブリ−ホ−ル合唱団
●曲 目ヴェルディ/死者のためのミサ曲「レクイエム」

 今年度もシンフォニカ−さんの名曲コンサ−トが始まりました。今年も相も変わらずに聴きに行こうと想ったのは、そのプログラムの面白さにあります。初回の今回は、ヴェルレク。久しぶりにこの大曲を生で聴いてこようと、期待もたっぷりでした。

 で、実際の演奏ですが、その期待に十分に応えるだけのものでした。いつもよりもまして、熱の入った演奏だったと思うのです。それはひょっとしたら、私の勝手な憶測ではありますが、ちょうどイラクの辺りで戦争が行われている今日、その儀牲者の方々への鎮魂という思いも込められているのでは、と思わせるようなものがあったのかもしれません。でも、曽我さんの指揮はいつものように非常に明朗で分かやすく、どれだけの情熱を込めて歌いあげるのかということをはっきりと表現しているようでもあります。歌う側にしても歌いやすいのでしょうね。合唱団の皆さんもよく指揮に反応して歌いこなしていたと思います。「Dies irae」等の部分など、声もよく出ていましたし、しっかりとしたまとまり感のある演奏でした。さすがに最後の方は疲れてがはっきりと見てとれましたけど(特に「Libera me」など)、なかなかパワーのある演奏を聴かせてくれたと思います。

 ソリスト陣ではアルトの藤井さんが印象的です。改めてこの曲を聴いてみて思ったのですが、アルト・ソロってとっても大事なパートを占めているのですね。登場回数も多いですし、音域的にも上にいっったり下にいったりと、結構大変なんじゃないかしらん。でも、藤井さんの声はとっても存在感のある声で、朗々と歌っているのが印象に残ります。それに、他の声部とのデュオになるような部分では、更に丁寧に歌い上げているようで、音楽の要所をきっちりと押さえてはるような感じもします。一方、ソプラノの並河さんもまた素敵です。彼女の声も久しぶりに聴いたような感じなのですが、実にハリのある声で、たっぷりと歌い上げているのがたまりません。最後の方などは、ほんま、まるでオペラ・アリアを歌い上げるヒロインを見るかのような感じもして(実際、ヴェルディのこの曲はオペラ的な感じもしますしね)、妙に感動してしまいます。

 オケの方もさすがに健闘していて、とてもパンチのある演奏を聴かせてくれます。特にラッパがいい音をしています。「Dies irae」の後半に出てくるファンファーレの部分、バンダ部隊が舞台の上手下手両方の花道に登場してきて、実にクリアな音色を聴かせてくれるのです。それらが作り上げる音空間はとっても感動的でもあります。

 バランスのよくとれた見事な演奏で、今年も1年、この名曲コンサートでもたっぷりと素敵な演奏を聴かせてくれそうだと期待できそうです。次回が楽しみです。