らいぶらりぃ
PrevNextto the Index

モーツァルト・フェスティバル・オブ・オーケストラ・スターズ

●日 時2003年4月27日(日)19時開演
●会 場フェスティバルホール
●出 演井上道義指揮モーツァルト・フェスティバル・オブ・オーケストラ・スターズ
クラリネット:高橋知巳
ピアノ:三輪郁/仲道郁代
●曲 目シュニトケ/モズ−アルト・ア・ラ・ハイドン
モーツァルト/ピアノ三重奏曲変ホ長調K.498「ケーゲル・シュタット・トリオ」
       ピアノ協奏曲第24番ハ短調K.491
       交響曲第25番ト短調K.183より 第1楽章
       クラリネット協奏曲イ長調K.622より 第2楽章
       交響曲第40番ト短調K.550

 大阪国際フェスティバルの最後の公演として組まれたのが、今回のモーツァルト・フェスティバル。オーケストラが今回のためだけに特別編成されたもので、企画や構成は井上さんの手によるというもの。ちょっと面白そうかなと思い、行ってきました。

 それにしてもまず出てくる感想は、とにかく時間が長かった、ということ。特に前半、ピアノトリオとピアノコンチェルトが並んでいるのですが、何故、ここでピアノを取り換えないといけないの?と思ってしまいます。こだわりがあるからなのでしょうけれども、これだけで結構な時間が取られてしまい、待たされる時間、疲れてしまいます。その上、この日はプレトークとかいうものを開演前の18時からやっていたとか。そこから聴いてはる人も大勢いたようですが(私は18時30分過ぎ頃に会場に着いたので、あまり聴いてません…)、ちょっと疲れてしまったのではないかしらん。井上さんも結構、はしゃいではるような感じでおしゃべりをしてはりましたから、それなりに楽しかったのだろうとは思うのですが、長時間はやはり、ね。ま、お祭ですから別にいいのかもしれませんけれど…

 でも、演奏の方はさすがなものです。オケは関西のベテランばかりを集めたような編成で、最高の出来と言うてもいいでしょう。変に音を引っ張ったりしないで、ごくごく自然な感じで、とても優雅な雰囲気で演奏しているのです。これこそ、まさに大人の味のモーツァルト、って感じでしょう。また、個人的に注目の仲道さんですが、彼女のモーツァルトはさらに丁寧で、実に優しさに満ちたものでした。ふんわりと優しく音が会場を包み込むようで、彼女ならではの素敵な演奏でした。

 でも、一番印象的だったのは、モーツァルトでなくて、シュニトケの曲だったりします。モーツァルトをテーマにした曲だから選曲されたのでしょうが、これ、とても面白い曲ですね。最初、暗闇の中から音が聴こえてきて、それが段々と増えていき、白のステージコートの指揮者が何かうごめいていると思ったら、照明がぱっとつきます。で、そろっての演奏になるのですが、これもモーツァルトのフレーズを集めながらもすっごく不思議な感じにまとめられているのですね。あちこちでばらばらとやっているようで、案外とまとまっているように聴こえるのが不思議。井上さんが”あれやって!”と言うて始まるのが40番の出だしの部分。でもそれもすぐに崩れて、ばらばらとしていきます。途中で1回、配置換えがあったりして、見ているのも面白いです。それぞれの奏者もそれなりに演技をしているわけで、全体が1つの音楽劇のようにも見えます。やがて、奏者は1人ずつ退場していき、最後はドリフじゃないけど、”だめだ、こりゃ”って感じで終ります。う〜ん、こういうの大好きです。実に面白い舞台でした。これだけでも聴きに来た価値があったというものです。

 後半の40番は、正直なところ、疲れてしまってちょっと辛かったです。でもその後、大阪国際フェスティバル全体の終幕ということで高らかにファンファーレが鳴り響いたのにはびっくり。こんなふうにして大阪国際フェスティバルって、いつも終わっているんですね。無事に終わって、関係者の皆様、どうもお疲れ様でした。毎年来ているわけじゃありませんが、いつもいろんな企画を取り上げているのは素敵なことだと思います。来年以後もまた期待したいですね。