らいぶらりぃ
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大阪シンフォニカー交響楽団第27回名曲コンサート

●日 時2003年6月8日(日)14時開演
●会 場フェスティバルホール
●出 演松沼俊彦指揮大阪シンフォニカー交響楽団
ピアノ:山口博明
●曲 目ベートーヴェン/劇音楽「エグモント」序曲Op.84
        ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73「皇帝」
        交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」

 今回のシンフォニカーの名曲コンサートは、オール・ベートーヴェン・プログラム。それも超メジャーな曲ばかり。それだけに、演奏者の方に注目して聴くことができました。

 さて、今回の指揮は松沼さん。この3月までシンフォニカーの副指揮者を務めていらっしゃった方なんだそうです。どうりで、なかなか息のぴたりと合った演奏を聴かせてくれました。それも、何と言うのでしょう、とてもコンパクトに引き締まった感じの演奏なのですね。決して派手に音楽を作るというのではなく、非常に素直な感じで曲を組み立てていて、それが一糸乱れぬまとまりとなっているのです。聴く側も何か素直な気持ちで聴くことができるようで、とても気持ちのいいものです。特に「運命」は、ぎゅっと内容が凝縮されたような感じで、それでいて、コテコテに作ってまっせというのではなく、案外とさらりとした感触の味わいがするのです。全ての楽器の音色が非常にクリアで、これはなかなか素敵な演奏だと思います。3楽章の弱音になる部分や「エグモント」の最後の部分などで、ややテンポがずれそうになったかのような感じもしたのですが、それはご愛敬ということで。これからが楽しみな指揮者です。

 一方、ピアノの山口さんは、割と大柄な感じの人なのですが、そこから弾き出される音というのは、実にやさしい感じの音色なんですね。とっても上品な感じで、ソフトなタッチでふわっとした雰囲気を作り出す「皇帝」の2楽章なんかは最高のものでした。けれど、その反面、力強いところになるとやや力んでしまうのか、どうも音が思うように伸びてこないような感じもするのです。1楽章冒頭の部分でこそ堂々とした雰囲気はたっぷりと出ていたのですが、何か段々と音がこもってしまうようなふうにも聴こえてしまいます。カデンツァはなかなかのものでしたが、3楽章はかなり辛そうでしたかね。力み過ぎって感じで、細かいパッセージの部分の音も滑ってしまっているし、堂々とした「皇帝」の終楽章という感じではなかったのかも、と思います。上品でお洒落な演奏だった、と言うこともできるのかもしれませんが、個人的にはこの曲はもっと堂々とした演奏で聴きたいと思ってしまうので、やや不満が残ります。彼のピアノは、どっちかというとロマン派以後の曲にこそ向いてはるのかもしれませんね。ショパンやラフマニノフのコンチェルトなどで彼の演奏をまた聴いてみたいものです。

 いずれも若手の演奏家の方ですからね、今後も期待していきたいと思います。