らいぶらりぃ
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関西学生混声合唱連盟第34回定期演奏会

●日 時2003年6月10日(火)18時開演
●会 場フェスティバルホール
●出演&曲目1.同志社学生混声合唱団C.C.D.
 Mocnik小品集
 Christus est natus
 Diptychon in honorem tolerantibus
 Verbum supernum prodiens
 指揮:小俣輝明
2.立命館大学混声合唱団メディックス
 信長貴富/混声合唱とピアノのための「もし鳥だったなら」より
 I.もし鳥だったなら/III.唄/IV.南国の空青けれど
 指揮:伊藤久泰/ピアノ:平林知子
3.神戸大学混声合唱団アポロン
 遠藤雅夫/無伴奏混声合唱組曲「今でも…ローセキは魔法の杖」より
 I.溢れる泉は日々を巡り
 II.道路は巨大なキャンパス
 III.深い眠りに包まれて
 指揮:大須賀孝周
4.関西大学混声合唱団ひびき
 荻久保和明/混声合唱組曲「IN TERRA PAX 地に平和を」より
 I.知った/IV.ほうけた母の子守歌/V.IN TERRA PAX 地に平和を
 指揮:玉橋定臣/ピアノ:坂田佳央理
5.関西学院大学混声合唱団エゴラド
 フォーレ合唱曲集より
 Cantique de Jean Racine
 Madrigal
 Pavane
 指揮:横田圭司/ピアノ:上野順子
6.大阪大学混声合唱団
 北欧の現代宗教音楽
 Holmboe/LAUDATE DOMINUM
 Kostiainen/In Dep salutare meum
 Nystedt/I WILL PRAISE THEE, O LORD
 指揮:清水浩光
7.合同演奏
 ドヴォルザーク/レクイエムより Requiem aeternam
 モーツァルト/レクイエムより Dies irae/Lacrymosa
 ブルックナー/ミサ曲第2番より Credo
 客演指揮:松浦周吉
 客演ピアノ:宮崎剛

 今年の関混連の定期の案内をもらった時、思わず、え?と思ってしまいました。合同の選曲の主旨がよく分からなかったからです。ドヴォルザークとモーツァルトのレクイエムにブルックナーのミサからの抜粋。何かちぐはぐな感じがしてならないような気がしたのです。そして、それは実際に演奏を聴いてみて、まさにそのとおりになったのです。考えてみたら、いくら同じミサ曲からの抜粋やと言うても、作曲家が違えば当然に曲の個性も違うでしょう。それを無理矢理に一緒に演奏するというのは、良く言えば、いろんな味を一度に味わえていいのでしょうけれど、悪く言えば、全くの無思想なごちゃ混ぜ、単なる混沌とした音の塊に過ぎなくなるのではないかと思ってしまうのです。まぁ、合同演奏の特権で、大人数のパワーで曲の細かな部分などはごまかせてしまえるのですが、それでも、実際、演奏としてどうなんでしょう。松浦先生の指揮は、私達も昔歌わせていただいたことはあるのですが、相変わらず、何だかよく分からない振りですね。入りのタイミングとか合っているような合っていないような、何だかよく分からないですし、宮崎さんのピアノもとりあえず気合は入っているようですが、やはりオケの感じを再現するには至らず、どうも物足りなさが残ります。それに、やっぱり「Credo」で終わるのって、何かとっても中途半端な感じがするのですね。そりゃ、信仰宣言という、ミサの中の中核を成す曲ですから、これでもいいのかもしれないんですけれど、どうしてもこの後に「Sanctus」が始まりそうな気がしてならない。だったら、「Agnus Dei」とかで静かに「Dona nobis pacem」と終わる方が締めとしてはいいのではないかしらん。何だかとっても中途半端な感じで終わってしまい、消化不良を起こしそうな感じなのでした。

 でも、各団の単独演奏の方はそれなりに聴けるものもありました。阪混の北欧ものは個人的にはちょっと嬉しい選曲ですね。スウェーデンにフィンランド、ノルウェーのそれぞれの作曲家の小品、どれもシンプルながら味わいの深い曲で、演奏もそれなりにしっかりとしたもので、なかなか素敵でした。中でも、ニーステッドの曲が一番印象的ですね。純朴な感じで神に対する信仰心を歌ったもので、北欧の民の純粋さというものがよく表れた曲だと思います。エゴラドのフォーレも、少ない人数と曲のサイズとかがうまく合っていて、小じんまりとしながらまとまった演奏だったですかね。メディックスも、選曲は私の好きな詩人、立原道造の詩に信長さんが曲をつけたものという、ちょっと期待感を持たせるものだったのですが、実際の演奏はちょっと…でしたかね。

 で、我が後輩のアポロンであります。「ローセキ…」は私達が卒業した次の年の定期で後輩達が演奏した曲なだけに、個人的にも思い入れは強いのです。その期待に、まあまあ応えてくれる演奏でした。日本語が他の団に比べるとはっきりと聞こえてきたというのが一番いいなと思うのですが(もっとも、私が歌詞を知っているからなのかもしれませんが…)、声も割と出ていて、素敵な演奏でした。惜しむらくは、ややテンポが速めで、案外とさらりとした感じの演奏であったこと。作りようによっては、もっと思いをこめて味わい深い演奏にすることもできると思うのです。私の好きな「深い眠りに包まれて」なんか、特にそう。少年時代の遠い日を思いながら、明日へ向かい羽ばたき、世界を開けていこうという、とても希望とか愛に満ちた曲だと思うのです。そういう思いをもっと表現できれば、なおさら素敵な演奏になるでしょう。12月の定期が楽しみです。

 もうちょっとまともな合同演奏をしてほしいなと思いながらも、でも、とにかく「ローセキ…」は懐かしかったでした。これだけでも聴きに来た甲斐があったというものです。よかったよかった。