らいぶらりぃ
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大阪センチュリー交響楽団第86回定期演奏会

●日 時2003年6月27日(金)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演ユベール・スダーン指揮大阪センチュリー交響楽団
ピアノ:児玉桃
●曲 目ウェーバー/歌劇「オイリアンテ」序曲
モーツァルト/交響曲第39番変ホ長調K.543
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番変ホ長調Op.73「皇帝」

 児玉桃さんがベートーヴェンの5番コンチェルトを弾く! ずっと以前に4番をオペ管との共演で弾いてはるのは聴いたことがあるのですが、今度は5番ということで、これは聴き逃すわけにはいきません。しっかりと聴いてきました。

 で、この「皇帝」ですが、つい先日もシンフォニカー+山口博明さんの演奏で聴いてきたばかりですね。でも、今回は桃さん。ファンなんで、ついひいき目で見てしまいます。(すみません…)彼女の弾く「皇帝」は、絢爛豪華とまでは言わないかもしれないけれど、非常にきらびやかな印象がします。いかにもドイツ音楽という雰囲気で、ぶ厚い音でどっしりと鳴らすというのではなく、とてもきめの細やかな音で丁寧に音楽を組み立てているという感じなのですね。それは今まで彼女の演奏を聴く度に思うことですが、この丁寧さが彼女の魅力だと思うのです。実に素直に音楽に向かい合っていて、だからこそ丁寧に音楽が作れるのでしょう。それは或はパリに住んでいて養われた感性なのかもしれません。どこかフランスっぽい感じも確かにしましたし。1楽章では多少、それでも力が入ったのでしょうね、ちょっと走り気味になる部分もあって、ちょっと怖かったんですけど、けれど、2楽章のメロディを歌いあげる辺りから完全に彼女のペースになりましたね。しっとりと歌いあげるそのメロディの何とも美しいこと!全体に彼女のピアノ、ちょっと音量が足りないかなと思わせるような感じもしたのですが、逆に言うと、pがしっかりとできるからこそ、fが際立つのだと思うのです。例えば、2楽章末から3楽章へのつなぎなど、ほんとに静寂の中から段々と動めき出して、そしてばぁん!と3楽章テーマが鳴り出す、という流れが見事に描かれていました。この3楽章も、決して変に力むようなこともなく、実に堂々とオーケストラと渡り合っていました。正確なタッチで敢然とベートーヴェンに立ち向かう彼女の姿は実にすがすがしいものです。見事な演奏でした。地元大阪が世界に誇るホールで、堂々と演奏をすることができたという喜びに満ちた笑顔がとても素敵でした。

 ところで、センチュリーの定期ってごっつい久しぶりに来たんですけど、やはり安定していますね。今回の指揮はスダーンさんでしたけど、とっても明確な指揮をする方ですね。見ているだけで何をしたいのか、はっきりと分かるし、また、オケの方もその指揮によく合っていました。実にメリハリのついた音楽で、モーツァルトなど、そのきびきびとした軽快さがとても心地よかったです。いかにも古典派という雰囲気の端麗な演奏が素敵でした。

 最近は、シンフォニカーの名曲コンサートばかりに行ってるのですが、たまにはこういう他のオーケストラの定期も聴きにくるようにしたいものです。