らいぶらりぃ
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京都大学交響楽団第160回定期演奏会

●日 時1997年1月14日(火)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演円光寺雅彦指揮京都大学交響楽団
●曲 目モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
ラヴェル/ラ・ヴァルス
ラフマニノフ/交響曲第2番ホ短調Op.27

 特に京都大学と何か関係があるというわけでもないのに、京都大学交響楽団の 定期に行こうと思ったのは、先月の神戸大学交響楽団の定期に行った時。例の、 火災にもめげずに、ちゃんと定期演奏会を開く、そして、しかも80周年記念。 そのチラシを見たら、特に縁がなくても、行って見ようと思うのは人情というも の(?)。ということで、ラフマニノフ2番というエサにも惹かれて、定時に、 そそくさと職場を出たのでした。(^^;)

 最初に、演奏に先がけて、部長さんからの挨拶というのがありました。80周 年を迎えたということはもちろんですが、例の部室の火災のことについてもおっ しゃっていました。火事のあったその日の晩に、緊急総会を開いて、今回の演奏 会をどうするか討議の上、開催することに決定。次の日から団員一同、必死に なって楽器を調達、借りに回り、又、練習会場も何とか確保し、そして、11月 下旬から練習を再開して、今日の演奏会至る、という物語は涙なしでは聞けませ ん。よくぞ、ここまでもっていらっしゃった、と演奏を聴く前から感動している わたし…(^^;)

 「フィガロ」の出だしを聴いただけで何か、ぞくっときました。京大オケの演 奏って、初めて聴いたのですが、かなりのレベルの演奏なんじゃないかというこ とが、その出だしだけでも分かります。また、fの部分にしても、いかにもモー ツァルトという感じの上品なfで、とっても聴きやすい演奏でした。

 ラ・ヴァルス、モーツァルトとがらりと変わっての演奏です。美しいメロ ディーのワルツを、とってもよく歌っていました。特に弦の表情がいいですね。 コンマスさんも体全体を使って音楽を表現してはるし、それだけでも何をやりた いのかが分かるような気がします。あと、金管もfのところでは素晴しく出てく るのですが、それだけでなく、pのところでは、変に主張しすぎないようにして いて、それもなかなか、と感じました。

 お目当てのラフマニノフ、なかなかこれだけの演奏って、聴くことができない のではないでしょうか。特に3楽章のいかにもラフマニノフらしい、美しいメロ ディーを、情感豊かに歌われると、思わず涙が出てきてしまいました。又、2楽 章のスケルツォや4楽章の行進曲も、実にパンチのきいた演奏でした。所々、入 りがちょっとばらけたり、とかいうこともあったのですが、そんなことを気にさ せないほどの演奏だったと思います。弦パートの他、FlやOb、イングリッ シュホルン等、木管パートに出てくるソロ的な部分なんかも、各人、なかなかの 技術を持っているように聴き受けられました。これが80年の伝統の音かぁ、と 感動しながら、聴き入っていました。

 客演指揮の円光寺さんの指導もあってのことなのかもしれませんが、素晴しい 演奏会でした。また、火災云々を外して聴いても、十分に感動できる演奏だった と思います。