らいぶらりぃ
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Super Concert in Osaka Dome

●日 時1997年3月4日(火)19時開演
●会 場大阪ドーム
●出 演ホセ・カレーラス
プラシド・ドミンゴ
ダイアナ・ロス
ユージン・コーン指揮ハンガリー国立交響楽団
オペラハウス合唱団
●曲 目マイアベーア/歌劇「アフリカの女」より「おお海より現われた楽園よ」(カレーラス)
マスネ/歌劇「ル・シッド」より「統べたまい、裁きたもう御父よ」(ドミンゴ)
ピエトリ/喜歌劇「マリステッラ」より「私はある庭を知っている」(カレーラス)
ソロサーバル/サルスエラ「港の酒場女」より「そんなことはあり得ない」(ドミンゴ)
ガスタルドン/「禁じられた音楽」(カレーラス)
レオンカヴァッロ/「マッティナータ(朝の歌)」(ドミンゴ)
ナポリタン・プレリュード(コーラス)
「アマネ・エ・コラーレ」〜「レジネッタ・カンパニャーラ」〜「忘れな草」
カルディッロ/「カタリ」(カレーラス&ドミンゴ&コーラス)
(休憩)
ソロセット(ダイアナ・ロス)
「イフ・ウイ・ホールド・オン・トゥゲザー」
「ドゥ・ユー・ノウ」
「ラヴ・ウィル・コンカー・オール」
「ユー・アー・ノット・アローン」
「我が心に歌えば」(カレーラス)
「インポッシブル・ドリーム」(ドミンゴ)
「エンドレス・ラヴ」(ロス&ドミンゴ)
「恋のプレリュード」(ロス&カレーラス)
「イン・ザ・ワンズ・ユー・ラヴ」(ダイアナ・ロス)
映画音楽メドレー(ロス&カレーラス&ドミンゴ)
「虹の彼方」〜「ムーン・リヴァー」〜「ビー・マイ・ラヴ」〜「ヴォラーレ」〜「ニューヨーク、ニューヨーク」
(アンコール)
ララ/グラナダ(カレーラス&ドミンゴ)
If We Hold On Together(ダイアナ・ロス)
Bella Enanorada(ドミンゴ)
クルティス/Tu Cha nun Chiagne「君を求めて」(カレーラス)
「川の流れのように」(ロス&カレーラス&ドミンゴ)
映画音楽メドレー(ロス&カレーラス&ドミンゴ)

 昨年11月にチケットを購入して以来、ずっと楽しみに待っていた、世紀の スーパーコンサートです。どれだけ、この日の来ることを待ち望んでいたことで しょう。期待で胸いっぱいです。(^^)

 当日、JR大正駅が最寄りなのですが、この駅で下車した途端、もう、ぐっ ちゃぐっちゃの人混みで、待ち合せをしていた友人を探すのに、一苦労でした。 (んなところで待ち合せするなって。)地下鉄が開通すれば、この混雑も緩和さ れるのでしょうが、ちょっと…と思います。でも、逆に、これだけの人間を集め る、今日のコンサートって、どんなんになるんやろ、という期待で、ますます胸 がはずんできます。(^^)

 やっとの思いで、大阪ドームに到着。普段から、あまり野球場に行きなれない こともあって、どこから入るんやぁ、と一瞬、悩んでしまった。1塁側スタンド 席とか、3塁側アリーナ席とかの席の場所の区分で、入り口も分かれてるんです ね。人混みをかきわけて、自分の入るべき入り口を見つけるのに、必死でした。 (^^;) やっと中に入ったと思ったら、今度は、自分の席を探さなあかん、とい う… (ちなみに、私の席は、3塁側スタンドのA席でした。)でもさすが、野 球場ですね。ごっつい広い会場で、既にスタンド席も7割方、埋まっているよう でしたし、グラウンドの上にもしっかりとシートを敷き詰めて、そこの席も、ほ ぼ、人で埋まっていました。とにかく、広い! 人が蟻のように見えます。こん なとこで演奏して、ちゃんと聴こえるのかしら… 舞台はというと、バックスク リーンの下んとこに設けてあって、そこで演奏するようになっているのですが、 しまった、オペラグラスを忘れてしまった。でも、ちゃんとスコアボードんとこ のモニタと、舞台の左右にそれぞれあるモニタで、大っきく見ることはできるだ ろうから、いいか、とひとり納得。どさくさに紛れて買ったプログラムに目を通 しながら、開演の時間を待ちます。

 やがて、合唱団のメンバーがぞろぞろと段の上に現われて来、続いて、オケの メンバーも出て来る。やっぱり、席から見ると、蟻さん状態。「まもなく開演で す」アナウンスがあって、おぉ、やっとか、と思うと、いきなりモニタに流れ る、協賛各社のCM。おいおい、映画やないんやから、と突っ込みを入れてし まった。(^^;) それが終わると、さぁ、いよいよ開演だぁ!

 指揮のコーンさんを従えて、まずは、カレーラスさんの登場。さっそうとして 出てきましたが、演奏が始まると、ちょっと歌いづらそうな感じが… マイア ベーアの曲も素敵なのですが、何か物足りないような感じが… PAで声を拾っ ているにしては、あれぇ?という気がしてなりませんでした。十分に聞こえてこ ないのは、こういう会場だから?とか思って、何か、不安な感じでコンサートが 始まってしまいました。

 でも、次のドミンゴさん、その美声がごっつい、響いてくるんです。何年か前 にフェスティバルホールで聴いた時の感動がよみがえってきて、思わず、じ〜ん ときてしまいました。でも、ドミンゴさんの声がこれだけ響いてくるってこと は、ひょっとして、カレーラスさん、調子が良くないのかしら、とますます不安 になってしまいます…

 ピエトリの曲は初めて聴いたのですが、やはり、カレーラスさんの調子の悪さ みたいなものが気になってしまって、おやぁ?という感じでしか聴けませんでし た。う〜ん、ちょっと悲しい…

 「港の酒場女」からのドミンゴさんの歌、とっても情熱のこもった演奏でし た。そうそう、これがドミンゴよねぇ、というような熱の入れようで、最後、す ぱっと曲を終えるところは、すぐには拍手ができないくらい、余韻を残してい て、じ〜んと、というか、ほわっとした感じで満たされました。

 カレーラスさんの3曲目の「禁じられた音楽」、おや? 声が聴こえるように なったかしら? 1、2曲目とちょっと感じが違うのです。カレーラスさんの繊 細さを持った声が、響くようになってきたのです。おぉ! こうでなくちゃ。思 わず、頑張れぇ〜、って気持ちで聴いてしまった。(^^;)(←なんて、失礼な。)

 そして、ドミンゴさんの3曲目、「マッティナータ」、当り前のことですが、 曲ごとに表情を、ほんと、よく使い分けてはるのが分かって、ますます、いい なぁ〜と思いながら、聴き惚れてしまいます。それぞれの曲ごとに、それぞれの 役を完全に演じきってますよね。

 その後はお二人にちょっと休みを、ということなのか、合唱のステージ。オペ ラハウス合唱団は、大阪音楽大学の「ザ・カレッジ・オペラハウス」の専属のプ ロの合唱団。メンバーを見たら、何人か、知った名前の人が。ソリスト級の人た ちが集まってきているので、それなりの演奏をしていた…とは思うのです。が、 何か、これまた響いてこないのです。何を歌ってるのか分からないぞぉ。PAを つけているのに、どうして? それにオケの方もいまいち、聴こえてこないし。 ハンガリー国立交響楽団なんて、名門でしょ? Vnが高い音を流しているよう なところなんかも、もっと響かせてもいいのにぃ、と言い出したら、キリがなく なりそうなのですが、とにかく、もっとPAをうまく使えないのかしら、という 思いになってきます。それで、さっきのカレーラスさんも聴こえなかったので は? とつい、勘繰ってしまいます…

 第一部最後の「カタリ」、もう、最高!でした。カレーラスさんとドミンゴさ んのデュオです。これだけ、朗々と二人で歌ってくれたら、もう、何もいらな い、って感じです。思わず、一緒に歌詞を口ずさんでしまった…(^^;)

 20分間の休憩をはさんで、第二部は、ロスさんのソロ・ステージから。最初 に「If We Hold On Together」とは、何と嬉しいことか! ついこの前、友人 の結婚披露宴の席でピアノを弾くために暗譜をした曲なので、個人的に思い入れ も強くなってしまうのです。しっとりと歌ってくれて、もう、私のために歌って くれてはる、みたいな感じで(何と勝手な…)聴き入ってました。もちろん、他 の曲も素敵でした。演奏が終わると、前半のテノール二人の時よりも盛大?と思 われる拍手を浴びてはりました。(ロスさん目当ての客が多かったのかな…)

 そして、再びカレーラスさんの登場。前半で見せたような不安さは、もうない ですね。ほんと、素敵です。それに、カレーラスさんの声って、何か細い、とい うか、繊細な線というものを感じさせるものなんですよね。それが、この曲にも よくあっていたと思います。また、次のドミンゴさんの演奏も、また、前半のオ ペラ・アリアとは違うジャンルの曲ですが、熱の入った演奏で、そのレパート リーの広さというものを感じながら聴いてました。

 さあ、お楽しみはここからです。まずは、ロスさんとドミンゴさんのデュオで 「Endless Love」。これもまた、この前の友人の結婚披露宴のために暗譜した 曲なので、思い込みはかなりあります。そして、ロスさんとドミンゴさんの何と 息の合った演奏! ドミンゴさんにはちょっと音域的に低いのかもしれません が、それでも、表情たっぷりに歌っていました。そこにロスさんの甘い声。ほん と、もう、たまりませんね。お二人の表情がほんと、良くって、まるで何かのオ ペラの一場面を見ているかのような気にもなりました。そして、つい、うるう るってきてしまいました。終わると、割れるような拍手。お互いに見つめ合って いるお二人、ロスさんがドミンゴさんにキスをしています。ほんと、いいなぁ。 (もっとも、この後、ドミンゴさんがロスさんにキスをしようとすると、「ダメ よ」が入るという、オチがあるのですが。^^;)

 お次は、ロスさんとカレーラスさんのデュオ。「恋のプレリュード」、これま た素敵な演奏でしたね。カレーラスさんの声はもうすっかり良くて、それに、ロ スさんの声とすっごくよく合いますね。あの細い線の声って、女声とよく合うよ うですね。うっとりと聴き惚れてました…

 そして、も一つ、ロスさんのソロ。プログラムとちょっと順番が変わったよう で、ここで「Do You Know」を歌ってくれました。語りかけるように始まる、こ の曲、これもロスさんの甘い声にぴったりですね。盛り上がるところで、また、 うるうるってきてしまいました。

 プログラム最後は、映画音楽のメドレー。三人がそろって出てきます。1曲目 は「Over The Rainbow」。カレーラスさんから入り、次に「Somewhere over the Rainbow…」とロスさんが入ります。あれ?ちょっと入りの音が高す ぎたみたい? 苦笑しながら歌ってはりました。そして、ドミンゴさんも入って きて盛り上がると、もう、これが聴けただけでもいい!って満足感に満たされて きます。「Moon River」も、最初がロスさん、それを受けてカレーラスさんが 次に入ってくる、カレーラスさんの声がやっぱり、ロスさんのとよく合うから、 全く違和感なく聴けるのがいいですね。そして、ノリが変わっての「Be My Love」と「Volare」、テノールのお二人とも、ノリノリの演奏でした。そし て、「New York, New York」。前奏の後でロスさんが入るのですが、ここも ちょっとフライングをしはったようで、カレーラスさんに「まだやでぇ」(って もちろん、大阪弁ちゃいますが)と突っ込まれてました。(^^;)(前奏で同じパ ターンを2回繰り返すから、無理もないのでしょうけど。)ちょっと笑いを買い ながら、それでも、十分、満足のいく演奏でした。会場いっぱいの割れるような 拍手の嵐が起こったのは、言うまでもありません。

 もちろん、これで終わるわけはなく、アンコールもしっかりありました。上に 書いてますが、「グラナダ」は確か、昨年の3大テノールの時も歌ってはるので すよね。お決まりの曲を演奏してくれて、最高!でした。また、お色直しをして のロスさんの再度の「If We Hold On Together」。今度はロスさん、会場の 我々にも一緒に歌うようにと促してくれます。しまった、歌詞まではきっちりと 暗譜してなかったぁ〜、とちょっと悔しかった… 続いてのドミンゴさん、カ レーラスさんのソロもすっごくよかった。カレーラスさん、最初の頃の不安なん かもう、ぶっとんで、とっても安心して聴けました。ここまで状態をもって来る なんて、さすが、世界のテノール歌手! そして、昨年の東京と同じパターン で、「川の流れのように」。ようもまあ、日本語を覚えはったもんですねぇ。会 場も一緒に歌ってました。最後に「One more time!」というロスさんの声に、 もう一回、映画音楽メドレーです。(それでも、「New York, New York」の入 りは間違ってはってた…^^;)

 あっという間に過ぎた3時間弱でした。「今までの人生で最高!」に幸せな気 分になれた一時でした。(^^)