らいぶらりぃ
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関西フィルハーモニー管弦楽団第120回定期演奏会

●日 時1997年3月11日(火)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演田中良和指揮関西フィルハーモニー管弦楽団
●曲 目モーツァルト/交響曲第36番ハ長調K425「リンツ」
吉松隆/鳥と虹の雅歌(関西初演)
ブラームス/交響曲第1番ハ短調Op.68

 今日のお目当ては、吉松さんの「鳥と虹の雅歌」。関西初演!となれば、どう いう曲なんやろ、とわくわくしてきます。曲は4つの部分に分かれており、最初 は、弦楽器主体の「序」の部分。何か不思議な音空間が表れてきます。不況和音 の鳴る中、ピアノが不思議な旋律を奏で、とっても神秘的な感じになってきま す。やがて、「序」の部分はすぐに終わり、鳥の鳴き声が聴こえてきます。Fl に表れるその鳴き声は、高く空を飛ぶ鳥の様を見事に表わしているようです。そ して、弦が空にかかる虹を表わし、辺りは何か、光に満たされてくるようです。 輝かしい光が見えてきた時、私の脳裏に映った風景は、先週の金曜日にTVで やっていた、「天空の城・ラピュタ」の、一シーン。(何のこっちゃ。^^;)何か こう、平和な、光に満ちあふれた青い空に、虹の橋がかかり、そこを愛らしい鳥 たちが飛び支う、そういうイメージが浮かぶんです。思わず、背筋がぞくっとき ました。そして、曲は中間部の「聖歌」へ。ピアノが主体となり、弦の各パート の主席を連れて、賛美歌のような曲を演奏します。この曲は、吉松さんが、亡く なられた妹さんに捧げるというかたちで書かれた曲なんだそうです。必ずしも、 鎮魂の曲ではない、とプログラムには作曲者の言葉として書いてありましたが、 でも、そういう、魂に安らぎが与えられる、というか、魂が天の導きにより、昇 天していく、というような、絵が頭の中に浮かんできました。また、この部分、 とってもきれいなんです。またまた背筋がぞくぞくっときました。賛美歌が終わ ると、低弦がピチカートで何やらリズムを刻み始め、また、タンバリンなんかも 加わって、じわじわ〜っと盛り上がってきます。辺り一面、眩いばかりの光に満 ち溢れて、天国を表わしているかのような。鳥たちはまた歌い、虹の輝きはさら に増し、たまらなく、いい気持ちになってきます。そして、最後は平和のうちに 静かに余韻を残して、曲を終えるのでした。いやぁ、とっても心を揺さぶられる ような曲でした。よかったぁ。(^^)

 後半はブラ1。熱演!でした。が、それだけに何か、アラも目だってしまった ように思います。ま、滑らかに流れるように演奏するよりは、多少はごつごつと した感じがあってもいい、とは個人的に思っているのですが、それでも、ちょっ と…というような部分はありました。中でも、一番、残っているのが、4楽章の 頭の部分で、第1テーマの提示の直前、Hrに出てくる、きれいなメロディー (個人的には「クララのテーマ」なんて、勝手に呼んでいます。)のとこ。Hr の音量が大きすぎる! それに、音が不安定! 思わず、う〜んと唸ってしまっ た… それ以外の場所でも、音をぽろぽろと外してたりして、ちょっと…という 感じでした。それでも、最後のコーダ、ここの何という速さ! 私が今まで聴い た中で、一番速いんちゃうかというような速さで一気に最後まで駆け抜けまし た。すごい! それに団員の方もよくもまぁ、あの速さについていったもので す。コンマスさんなんか、もう、体をひねって演奏してはりました。ほんま、熱 演でした。(^^)

 ま、熱演と言うても、ちょっと「?」という場所はいくつかありましたし、う 〜んと考えさせられるところもありました。でも、そんなことよりも、こういう ふうにしたい、とかいう、曲に対する思い入れなんかはとってもよく伝わってき ました。その意味では、素晴しい演奏会だったと言えるでしょう。よかったぁ。