らいぶらりぃ
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大阪フィルハーモニー交響楽団

第8回神戸定期演奏会

●日 時1997年3月30日(日)15時開演
●会 場神戸文化ホール・大ホール
●出 演朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団
ヴァイオリン:宗倫匡
●曲 目ブラームス/ヴァイオリン協奏曲二長調Op.77
ブラームス/交響曲第1番ハ短調Op.68


 大フィルさんの年に一度の神戸での演奏会。今年はブラームス没後100年と いうこともあって、朝比奈隆先生の指揮で、お得意のブラームスをたっぷりと聴 かせてくれました。

 ヴァイオリン協奏曲は最初は、数住岸子さんをソリストに迎える予定だったの ですが、都合により、宗さんが替っての出演です。宗さんのヴァイオリンは、細 部まで緻密に作られた、それでいて熱の入った演奏だったと思います。特に第2 楽章の美しさは、なかなかのものだったと思います。第3楽章へ入る時、ちょっ と気合いが入りすぎたのか、宗さん、フライングしはって、もう1回、やり直し てましたけど、それだけ、演奏に熱が入っていたということなのでしょう。この 3楽章の華やかさ・軽やかさもまた、見事に表現してはったと思います。ちょっ とだけ気になったのは、何か、少し調子が悪かったのか、熱の入っているのは分 かるのですが、いまひとつ、音がクリアにのびてこないかなぁ、と思ったことで す。1楽章が終わってから、再度、チューニングしてはったのも、何か、そうい う要素があったからでしょうか…

 後半は、1番交響曲。現在、関西では【在阪オケでブラ1を聴くシリーズ】が 進行中(って、私が勝手にネーミングしているだけですが ^^;)で、今回はその第 2弾というわけです。(第1弾はこの前の関西フィルの定期でした。)やっぱ り、朝比奈さんのブラームスはいいですねぇ。テンポを若干、ゆっくりめにとっ て、たっぷりと歌いはって。出だしのティンパニの連打から、おぉ、これよこ れ! というテンポで、ずるずると、朝比奈さんの世界へと引きずり込まれてい きます。(^^;) ゆっくりと歩くようなテンポですね。普通の演奏でなく、これく らいでの演奏を聴かされると、これが正解(って、そんなものあるわけやないん ですけど)やろな、という気になってきます。特に、このことは4楽章で感じま した。例の歓喜のテーマに似ているという第1テーマも、よく聴くのと比べて ちょっとゆっくりめ、たっぷりと歌わせているのです。それを聴くと、普通の演 奏には戻れないかなぁ、なんてことを思います。(^^;) この前の関西フィルさん の時は、最後のコーダなんか、もう、怒涛のように突き進んでいきましたけど、 朝比奈さんの場合は、こう、accelというのを単に速度を上げるものとだけでな く、気分的な部分での盛り上がり、ということを重視しているのではないかな、 と思うような演奏なのです。この渋さというのは、真似できないでしょうね。

 前半、独奏ヴァイオリンだけでなく、全体的に何かこもって聴こえていたので す(これはホールのせいでしょう)が、後半になると、音の響きがホールに馴染 んできたのか、結構、響いていました。ほんと、重厚、という言葉がぴたっとあ てはまるような、素敵な演奏でした。