らいぶらりぃ
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第111神戸松蔭チャペルコンサート〜ゼロビート・シリーズ〜

音楽のマニエリスム


●日 時1997年5月10日(土)15時開演
●会 場神戸松蔭女子学院大学チャペル
●出 演オルガン:長谷川美保
ソプラノ:緋田芳江
合唱:アンサンブル・ヴォックス・フマーナ
指揮・チェンバロ:鈴木雅明
●曲 目ガブリエリ/イントナツィオーネ第5旋法
ガブリエリ/「私は満足している」によるフランス風カンツォン
フレスコバルディ/トッカータ第1番
フレスコバルディ/アリエ・ムジカーリより
「そよ風が吹くと」
「そんなに私を軽蔑するのか」
「波のように降りそそぐと」
「おお、私の心よ」
ロッシ/トッカータ第2番・トッカータ第7番
フレスコバルディ/100のパルティータ
フレスコバルディ/フランドルのバスによるカプリッチョ
カプスベルガー/「百合のように花咲き」
「私は色が黒いが美しい」
「最後のため息が」
ジェズアルド/5声のマドリガーレ
「穏やかな明るい瞳」
「燃えるようなあの瞳が現われるとき」
「おまえと少しずつ祈り、解き、消していった」
「ああ、望みなき生よ」
「わたしの心は燃え」
「もし、わたしの悲しみが、あなたを悩ませるなら」
「君が好きだ、わたしの命」
「ああ、苦しくて死にそうだ」


 イタリア後期ルネサンスからバロックの頃の曲がいろいろと演奏された、なか なか楽しい演奏会でした。オルガンのソロがあり、ソプラノのソロが、チェンバ ロのソロが、そして、仕上げはコーラス。充実した内容だったと思います。

 で、何と言っても、目玉は、ジェズアルド。アンサンブル・ヴォックス・フ マーナというのは、バッハ・コレギウム・ジャパンの神戸のメンバーからなる合 唱団だそうですが、奇麗なハーモニーを作り上げていました。特に、「ああ、望 みなき生よ」や、「ああ、苦しくて死にそうだ」なんかの不協和音の美しさ!  私も、ルネサンス期の作曲家の中で誰が好き?と聞かれたら、2番目か3番目に はジェズアルドの名前を上げると思うのですが(1番はヴィクトリア)、その魅 力は、何と言っても、ルネサンスの曲とは思えない、まるで、現代曲のような印 象を与える、不協和音でしょう。各パートとも、よく響いて(特に、低声が響い ていたのが嬉しい)、曲の魅力を十分に表現していたと思います。

 他では、カプスベルガーの、ソプラノのソロの曲。初めて聴いたのですが、な かなか素敵な曲だと思いました。緋田さんの声もしっとりとよく響いていて、 チャペルコンサートというにふさわしい(?)雰囲気を作り出していました。 (ちょっと音程が上ずるような気がしたのが、残念でした。)

 鈴木雅明さんのチェンバロも、いつ聴いても安定していて、いいですね。(^^)

てなことで、充実した2時間でした。