らいぶらりぃ
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神戸・アーバンオペラハウス「ラ・ボエーム」

●日 時1997年5月16日(金)18時30分開演
●会 場神戸文化ホール・大ホール
●出 演指揮:阪哲朗
演出:松本重孝
ミミ:多田佳世子
ロドルフォ:田原祥一郎
ムゼッタ:芦原昌子
マルチェロ:伊藤正
ショナール:雁木悟
コリーネ:岡田征士郎
ベノア:青木耕平
アルチェンドロ:西田昭広
パルピニョール:小林仁
管弦楽:大阪センチュリー交響楽団
合唱:神戸市混声合唱団/神戸・アーバンオペラハウス合唱団
須磨ニュータウン少年少女合唱団
●演 目プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」


 神戸市が毎年、行っている「アーバン・オペラハウス」、やたらと「トスカ」 の上演が多い今年は、同じプッチーニの「ラ・ボエーム」です。しかも、指揮は 阪哲朗さん! ファンクラブ会員(自称)としても、行かなきゃいけませんね。 (^^;)

 第1幕、なかなか凝ったセットが目に入ってきます。そして、ロドルフォとマ ルチェロが何やら歌い出すのですが… いまいち、声が響いてこないような…  ま、私の耳がシンフォ慣れしてしまっているから、というのもあるのでしょう が、うむむ、やっぱり、この響きはちょっと悲しいかな。あ、でも、オケの音は ちゃんと、出てきているんです。これって、つまりは、舞台の上の人の問題なん かな… で、ミミの登場。いいですねぇ。なかなか張りのある声で、中音域も しっかり出ているし、もちろん、高音域もちゃんと響いてくるし。この段階で、 ホールの音響のが云々ということは、問題でなくなってしまったような… アリ アが終わったところで、「ブラヴォー!」って拍手が起こっていましたけど、こ れはうなずける。その前のロドルフォのは個人的にはちょっと…(^^;)

 第2幕はやたらと人がぞろぞろと。(^^;) バンダのラッパの響きの奇麗さや、 子供たちの合唱の素直な響きとか、妙なところに感心していた私… 相変わら ず、男声陣はいまいち、なのですが、登場して来たムゼッタが、またいいです ね。妖しい雰囲気を出していて、それでいて、なかなかの声です。いいな。

 第3幕、ロドルフォとミミのやりとりに、筋はとうに知っているのに、何か、 改めて感動してしまって、ちょっと涙ぐんでしまった…

 第4幕、男声陣の愉快なワルツ、う〜む、やっぱり、ちょっと… さっきから 気になっているのは、どうも声が舞台の上でこもってしまっているような印象を 受けるからなのです。ロドルフォにしても、高音がこちらまでしっかりと響いて こないような感じがするのです。マルチェロはまだしも、ショナールも何か、聴 こえてこないような… と、そんなことを考えながらも、舞台はいよいよ、クラ イマックスへ。ミミの最後の歌、しみじみと聴かせてくれました。この辺の演技 がとってもよかったと思います。悲しみの底に沈む、ロドルフォ、見ているこち らも、ちょっとだけ、うるうるっときてしまいました。

 そんなわけで、全体的に、舞台上の声楽がちょっと気になってしまいました。 男声陣が聴こえてこないのは、ちょっと残念でした。でも、女声陣はとっても良 かったです。これくらい、しっかりと声が出ていて、安定していると、こちらも ほっとします。(^^;) でも、何よりもよかったのは、阪さんの指揮でオペラを聴 けたこと。歌わせ上手、という感じで、オケの表情をたっぷりとつけていて、そ れに、舞台上がうまくついてきたところなんかは、素晴しいものがありました。 いつものように、流れるようなきれいな指揮で、それでいて、細部まで緻密に音 楽を作ってはる、ということの分かる演奏でした。

 ちょっと不満は残りましたが、まずまず楽しめた舞台でした。(^^;)