らいぶらりぃ
PrevNextto the Index

アン・アキコ・マイヤース

ヴァイオリン・リサイタル

●日 時1997年5月22日(木)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演ヴァイオリン:アン・アキコ・マイヤース
ピアノ:リー・チェン
●曲 目佐藤聡明/Bird in Warped Time II
ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調「雨の歌」
プロコフィエフ/5つのメロディ
ラヴェル/ヴァイオリン・ソナタ
(アンコール)
グノー/アヴェ・マリア
ガーシュイン/サマータイム
ドビュッシー/美しき夕べ


 きれいなお姉さん、系に弱い者としましては、外せない演奏会でしょう。(^^;)

 初めの佐藤さんの曲は、初めて聴く曲です。「現代音楽」という範疇に入るよ うな曲なのかもしれませんが、とっても奇麗な曲でした。流れるようなピアノの 伴奏の上に、琵琶の音を思い出させるような音色でヴァイオリンが現われ、何 か、不思議な感じがします。でも、決して、不快感を与えるような音楽ではな く、聴いていると、ほっと安らいでくるような、そんな雰囲気の曲ですね。で、 アンさんのヴァイオリンがまた、しっとりとした演奏をしてくれるから、仕事の 疲れもどこへやら、と、リラックスすることができました。

 ブラームスの「雨の歌」は、がらりと変わって、軽やかな部分やしっとりと歌 う部分などの歌い分けが、すっごくよかったです。高い音なんかもただ出すので なく、中音域などと同じ響きの延長で響かせてくれるから、自然な感じで聴こえ てくるのです。そ、この「自然さ」が、アンさんの音楽の素晴らしいところだと 思います。ヴァイオリンの音を、素人の私なんかは、細い線の響きか、太い線の 響きか、で聴き分けたりするのですが、アンさんのは、どちらとも言えないよう に思うんです。響きそのものが、すっごく自然で、その音楽のその場面を表現す るのに最も適したように、ごく自然な音楽の流れに従って響いてくる、そんな印 象を持ちました。

 後半のプロコにくると、そのことは、よりはっきりとしてきました。5つの曲 のそれぞれを、全く違う音色で聴かせてくれました。そして、ラヴェル、もう、 最高!でした。2楽章のジャズ風のブルースなんか、とても魅惑的な演奏でした ねぇ。3楽章のクライマックスは、もう、これでもかというくらいに盛り上げて きて、背筋がぞくっとするうちに、終わってしまったのでした。(^^;)

 感動も治まり切らない内に、アンコール。「アヴェ・マリア」も、「サマータ イム」も、「美しき夕べ」も、しっとりとした演奏で、ラヴェルでの興奮を押さ えるのにちょうど良い選曲でした。(^^;) 「サマータイム」なんかは、泣きそう になってしまった… これが聴けただけでも、同じ日にフェスでやっていた、中丸 三千繪さんのリサイタルを蹴って来ただけの甲斐はあるというものです。(??)

 アンさんの魅力にひかれて、思わず、プロコのコンチェルトのCDを、ロビー で買ってしまったのでありました…