らいぶらりぃ
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Hennessy Opera Series IX

モーツァルト:歌劇「魔笛」

●日 時1997年5月29日(木)18時30分開演
●会 場尼崎アルカイックホール
●出 演指揮:小澤征爾
演出:デイヴィッド・ニース
パミーナ:バーバラ・ボニー
タミーノ:フランク・ロバルド
夜の女王:スミ・ジョー
ザラストロ:ポール・プリシュカ
パパゲーナ:ベリンダ・セイヤー・オズワルド
パパゲーノ:マーク・オズワルド
弁者、第1の僧:ベンジャミン・ラクソン
モノスタトス:ジョゼフ・フランク
第1の侍女:クリスティン・ゲールク
第2の侍女:キット・ロイター・フォス
第3の侍女:ソンドラ・ケリー
第2の僧:真野郁夫
第1の武士:松永国和
第2の武士:彭康亮
合唱:東京オペラ・シンガーズ
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
●演 目モーツァルト/歌劇「魔笛」(全2幕:原語上演・字幕付)


 このヘネシーのシリーズのオペラを見に来るのは、今回が初めてなんです。前 までは、オペラを生で見たことがなかったのですが、最近、友人に誘われるま ま、この前の広上さんの「トスカ」に、阪さんの「ボエーム」ときて、そして、 今回、と、すっかりオペラづいております。(^^;)

 行ってみて驚いたのは、とにかく人が多い|ことでした。アルカにこれだけの 人が入るのなんて、今まで見たことがない… 「魔笛」がそれだけ人気があるの か、小澤さん見たさで皆さん、来たのか、分かりませんが、とにかくすごい人出 でした。始まってみて分かったのですが、立ち見が出ていたような… で、ロ ビーには、ヘネシーのウィスキーが並んでる… うぅ、臭いで、そこにいるだけ で酔ってしまいそ…(@@)

 で、開演。おぉっ、世界の小澤さんが目の前にいるぅ! それだけでも感動的 なのに、更にオケもいいですね。やっぱり、東京のオケは、大阪のオケとは違う というか。(^^;) 最初の3回鳴る和音の響きからして、違います。さらりと澄ん だ清流のよう、というか。(普段、聴き慣れているのは、きれいなんだけど、何 か混じってそうな、べたっとした感じの流れ、かな。>ごめんなさい)そういう 音作りを小澤さんがしてはるんでしょうけど、う〜む、やっぱり、いいなぁ。

 そして、幕が上がると、タミーノが逃げてきます。で、出てくるのが… おい おい、この怪獣、すっごくちゃちくない? と文句を言いたくなるような。(^^;) ま、こんなもんなんでしょう、ということで、やがて、パパゲーノの登場。バリ トンのオズワルドがなかなか、いい感じを出していますね。そして、舞台中央の 岩が割れて、そこから夜の女王が登場。待ってました、スミ・ジョー!って感じ なんですが、ここのアリアはちょっと期待外れだったかな… ジョーさんの声っ て、結構、細いんですよね。高音までしっかりと出てはるんですけど、何か、物 足りなさを感じてしまう… 後半に期待がかかります。(^^;) そして、いざ、お 姫様救出へ出発!というところで出てくる、少年3人。天井から吊った雲の上 で、ちょっと怖そうにしているように見えたのは、気のせいかしら…

 場が変わって、パミーナが出てきます。救出の先方隊として入り込んできたパ パゲーノとの二重唱が、よかったですねぇ。バーバラ・ボニーは、なかなか素敵 な声でした。芯のある、しっかりした声で、こんなんで愛の尊さなんて歌われた 日にゃ、何とも… という感じです。

 門の前では、タミーノがやっとたどり着いたところ。先導の少年3人ですが、 今回は大阪すみよし少年少女合唱団からの出演なんだそうです。だいぶ、緊張し てはりましたね。正直、言って、ちょと声量がなさすぎるかな。大丈夫なん?と 言いたくなるような。(^^;)

 そして、タミーノが笛を吹くところ、動物たちが現れてきて、踊りだし、会場 の笑いを買ってましたね。何故か手足のある蛇(?)が滑稽さを出してました。 どうせなら、もっと思いっきりウケをねらっても… っと、これは関西的な発想 ですね。(^^;)

 続いて、パパゲーノとモノスタトスとの戦い。「魔法の鈴」のテーマが流れ て、モノスタトスらが踊り出して退散、というところは、やっぱり、吉本新喜劇 的なものを感じてしまう…(←違うって ^^;)そうこうしていると、オケピットが 何やらごそごそと。金管の人たちが舞台ソデへ移動しているのでした。(どこを 見てるんやぁ、と一緒に行った友人に言われてしまった…)ファンファーレが鳴 り響き、さあ、ザラストロ様の登場!ここの合唱が、すっごく力強くて、いいで すね。おぉ!と感動してしまった。プリシュカさんのザラストロは、やはり、説 得力のある歌い方で、いいですね。ただ、音が低くなると、何か苦しそう… 実 際、音もとんでもなく低いのでしょうけど、何か、気になってしまった… そう して、タミーノが寝返ったところで、1幕は終わり。あ、カーテンコールがな かったぁ…(;_;)

 25分の休憩の間も、ロビーは、人混みの熱気とヘネシーの臭いでいっぱい で、いたたまれなかったです。何だかなぁ。

 2幕は、ほとんどRPGの世界。(←違うだろって ^^;)タミーノとパパゲーノ の性格の違いというものがはっきりと出てますね。試練にまじめに立ち向かおう とするタミーノと、おしゃべりばかりのパパゲーノ、台詞のやりとりなんか、 やっぱり、漫才になるような気がする…(いかん、こんなんばっかですね。 ^^;)

 再び、パミーナの寝室(?)。モノスタトスが立ち去ると、待ってました、夜 の女王様ぁ! 復讐のアリア、やはり、線が細いだけに、物足りなさも残ってし まうのですが、まぁ、それなりにいい感じを出してはったと思います。もう少 し、怨念込めて、という表情が強く出てきてもいいような気もしました。

 そして、試練を受けている2人のところへ、パミーナ。切々と想いを歌うとこ ろは、よかったぁ|です。ボニーさんのパミーナって、まさに当り役!という気 がします。いいなぁ。(^^) そうしていると、変身前のパパゲーナが現われて、パ パゲーノと台詞のやりとりが。いかん、どうしても、こういう部分になると、吉 本を連想してまう…(^^;)

 庭の場面になると、タミーナに別れを告げたパミーナが死のうとしているとこ ろ。さっきの3人の少年たちが現われて、タミーノの本心を打ち明け、自殺を止 めようとしているのですが… やっぱり、声量が気になるぅ。説得力に欠けるよ うな感じで、これで、ほんまに自殺を止めることができるん?と言いたくなって しまう… お子さんだから、ある程度は仕方のないことなのでしょうけど、う〜 む、ちょっと…

 そして、最後の試練、タミーノとパミーナが結ばれて、共に試練をパスし、見 事、ゴールイン。2人をたたえる合唱が、やはり、いいなぁ。

 一方、パパガーノとパパゲーナもめでたく、結ばれて、2人で歌うアリア(こ れが、私、一番好きなんです)、息もうまく合っていて、よかったぁ。

 最後の大団円。合唱の迫力に圧倒されながら、感動のうちに、幕は降りたので した。割れるような拍手が起きたのは言うまでもないこと。カーテンコールもそ の熱狂のうちに行われ、最後には、オールキャスト、例の、ヘビ君までも小澤さ んと手を取り合って拍手に応えていました。

 ま、なかなかきびきびとした展開で見せてくれて、特にボニーさんの声など、 しっかり聴かせてくれた、いい公演だったと思います。オケもよかったし。さ、 来年は「ペレアスとメリザント」。どうしようかなぁ。(^^;)