らいぶらりぃ
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第112回神戸松蔭チャペルコンサート

ヴァイマール時代のカンタータIV

●日 時1997年6月7日(土)15時開演
●会 場神戸松蔭女子大学チャペル
●出 演鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン
ソプラノ:緋田芳江/鈴木美登里/柳沢亜紀
アルト:米良美一
テノール:ゲルト・テュルク
バス:ペーター・コーイ
オーボエ:マルセル・ポンセール
トランペット:島田俊雄/小林好夫/長田吉充
●曲 目J.S.バッハ/カンタータ第31番「天は笑い、地は歓呼す」BWV31
カンタータ第172番「鳴り響け、汝らの歌声」BWV172
カンタータ第21番「わが心に憂い多かりき」BWV21


 すっかりお馴染みのB.C.J.のカンタータ・シリーズ。今回は、大編成の曲が 3つ。ティンパニやトランペットが加わるという、大がかりなものです。ま、ソリス ト陣もいつものメンバーですから、安心して聴くことができました。(^^)

 最初の31番は、まずは器楽の楽章から。おぉ、トランペットが3本、華やかに鳴 り、また、ティンパニが加わり、明るさに満ちた音楽、という印象が強くします。そ の後の合唱、う〜ん、いつ聴いてもいいですねぇ。チャペルで聴いているからかもし れませんが、響きをよく一つにまとめていると思います。それに、表情がいいです。 まさに、「天は笑い、地は歓呼す」というにふさわしい、明るい表情で歌ってはるか ら、音楽にもそういう表情が出てきてますね。そして、バスのレチタティーヴォにア リア、説得力のある歌で、たっぷりと聴かせていただきました。8曲目のソプラノの アリアは、ちょっとだけ声が固いような気がしましたが、終曲の合唱は、やはり、迫 力のある演奏で、しっかりと曲全体を締めていました。

 次の172番はやはり、冒頭のトランペットでしょう。輝かしい音を聴かせてくれ てます。こういうバロック期のトランペットって、音量よりは、響きでもって、音楽 を盛り上げていくような楽器だと思うのですが、今日の演奏も、そういう感じをうま く出していたと思います。特に2曲目〜3曲目のバスのレチタティーヴォ〜アリアに おけるトランペットはなかなかよかった、と思います。歌の邪魔になることなく、そ れでいて、三位一体を説くアリアのオブリガートとして、曲の雰囲気を盛り上げてい たと思います。4曲目のテノールのアリア、このテノールもまた、朗々と歌い上げて いて、おぉ、と思うものでした。その次のソプラノとアルトの二重唱が、ちょっと… という感じがしました。もちろん、演奏そのものは悪くないのですが、何か、うまく かみ合ってないというか、あれ、アルトの米良さん、調子悪いんかなぁ、なんて思わ せるような…

 後半は一番の大曲、21番です。この最初のシンフォニアの何とも悲しい響き!  B.C.J.の器楽アンサンブルの方も、いつものことながら、ほんと、深い音色の 美しい響きを作り出してますね。続く合唱のフーガも、おぁ、と思わせるような演奏 で、ヴィヴァルディを思わせるような、細かいパッセージなんかもしっかりと歌って はりました。テノールのレチタティーヴォとアリアがこの前半のメインになるので しょうが、その前のソプラノのアリアが、切々と悲しみを訴えかけてきて、印象的で した。後半はソプラノとバスのレチタティーヴォとアリア。段々と曲の雰囲気が明る くなってきて、希望の光が輝き始める、みたいな様をよく表現していたと思います。 そして、合唱、中にセミ・コーラスを組み込んでおり、ここでは、それぞれのソリス トの声がうまく溶け合っていたと思います。(さっきの米良さんのも、気のせいだっ たんかな。)これで、終わり?と思わせておいて、始まるのが、テノールのアリア。 これまた明るい感じで、朗々と歌ってました。そして、最後の合唱。「Alleluja!」で 終わるのですが、力強く、神々しいフーガだったと思います。

 しかし、B.C.J.のカンタータ・シリーズの時だけ、異様に客が多いような気 がする… 他の時はあまり、お客さん、来ないのにぃ…(^^;)