らいぶらりぃ
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秋篠ピアノ物語III

児玉桃ピアノリサイタル

●日 時1997年7月6日(日)14時開演
●会 場秋篠音楽堂
●出 演ピアノ:児玉桃
●曲 目ショパン/バラード第1番Op.23
ショパン/4つのマズルカOp.41
ショパン/スケルツォ第2番変ロ長調Op.31
ショパン/幻想ポロネーズ変イ長調Op.61
ショパン/24の前奏曲Op.28


 4月の大フィルのアルカ公演の時のソリスト、児玉桃さんの、ソロのリサイタルで す。秋篠寺へもついでに行きながら、大和西大寺まで行ってきました。

 最初のバラードは、なかなか力強い演奏でした。頭のごぉ〜んという和音から、 ずっしりと響いてきます。その後の対話的に進んでいく部分、細かいパッセージなん かもしっかりと弾いてはるし、悪くないのですが、もう少しドラマ性みたいなものが 出て来てもいいのではないかしら…とも思いました。ま、最初だから、緊張してはっ たのでしょうけどね。(^^;)

 マズルカはあっという間に終わってしまいましたが、その次のスケルツォ、ちょっ と残念な気がしました。作りが雑だったように思います。ppの不安な動機から始 まって、それを打ち消すかのようなfの和音、この辺の作りにしても、もう少し工夫 があってもいいような気はしましたし、16分の下降音系も、何か強引に引っ張って はるような… 中間部は、割とよく歌ってはっただけに、惜しい気がしました。

 幻想もなかなかきれいにまとめてはったと思います。あと、他の曲でもそうなので すが、気になったのは、ペダルを上げた時に、変にうわんと響きが残ること。調律が 原因なのかもしれませんが、すぱっと切れるべきところで、妙に音が残るものですか ら、聴いていてちょっと気になりました。

 後半は前奏曲。24曲をまとめて一気に生で聴くというのも、そうないことかも。 で、これは完全に自分のモノにしてはるということを感じさせてくれました。1曲1 曲、表情をはっきりと変えて、時に笑い、時に悲しみや憂いをたっぷりと歌ってはり ました。欲張りなことを言えば、さらに細やかな表情というものをつけることができ たらいいのかもしれません。同じテーマを何回か繰り返すような時には、内声部の ハーモニーを浮き上がらせてみる、とかいうような。(これって、カツァリスさんの やり方ですね。)でも、充実した演奏だったと思います。

 オール・ショパンのプログラムだったから、アンコールもショパンかと思いきや、 チャイコの「四季」から3月、と、ドビュッシーの小品(タイトルを忘れた…)でし た。ちょっと意外でした…

 お客さんはちょっと少なめだったかもしれませんが、客席に向かってにっこりと笑 みを投げかけて、ちょこんとお辞儀をする桃さんの姿が印象的でした。(*^^*)

 この秋篠音楽堂って、初めて来たのですが、近鉄百貨店の中というか、そういう複 合施設の中にあるのですね。買い物ついでに演奏会を聴きに来れそうな、いいとこだ と思いました。音響も結構、良かったし。ホール自体、いろんなプログラムを意欲的 に取り上げているので、いいなと思います。でも、神戸からはちょっと遠いかなぁ。 (^^;)