らいぶらりぃ
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PMFオーケストラ神戸公演

●日 時1997年8月1日(金)19時開演
●会 場神戸ポートピアホール
●出 演佐渡裕指揮PMFオーケストラ
バリトン:ロバート・シムズ(PMFアカデミーシンガー)
●曲 目高橋悠治/楽器を持った人びとのための「キタラ・カグラ」
バーンスタイン/開幕の祈り
シューベルト/交響曲第5番変ロ長調D.485
チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調Op.64


 佐渡さん指揮のPMFが神戸にやってくる! と言ったら、大ニュースだと思うの ですが、漏れ聞くところによると、売り出し当初の頃は、ほとんど、チケットが売れ てなかったとか… でも、実際の今日の客の入りは、なかなかのものでした。

 ホールの中に入って見ると、舞台にはイスがひとつもない!じゃないですか。一 瞬、合唱の演奏会に来たのかと思ってしまった。(^^;) そ、これが最初の高橋さんの 曲を演奏するための演出なんですね。客電が落ちて暗くなると、2Fの左右の桟敷席 にホルンとトロンボーン奏者が、1Fの客席の通路にはずらりと弦と木管の奏者が並 び、シアターピース(と言うのでしょうか…)の始まりです。佐渡さんが舞台に現わ れ、シンバル(小さなドラ?)をがぁ〜んと鳴らすと、2Fの金管が何やら不思議な 和音を鳴らし出します。佐渡さんも続けてシンバルを鳴らし、と、舞台下手からトラ ンペット奏者たちがやかましく登場、何やら騒ぎ立てているようです。ひとしきり、 騒いだ後、上手へと去って行ったのでした。と、今度は、おぉ、佐渡さんが真ん中で 踊ってはるぅ!???と思っていると、またトランペットが登場、ひとしきり騒い では消えて行くのでした。やがて、1Fの楽器群が音を鳴らし出し、徐々に舞台の方 へと向かって行きます。2Fの金管も扉から外へ出て行ったよう。相変わらず、トラ ンペットは度々、騒ぎに出てきては消えて、を繰り返しています。そして、弦と木管 が全員、舞台上に集合すると、彼等は、何やらお互いに挨拶をしているかのよう。金 管も遅れて舞台に集合、全員が揃ったところで、真っ暗になって、曲は終わり。何や ら、宗教的なものを感じさせるような、儀礼の音楽のようでした。心地いい曲、とい うのんとは違いますが、個人的には、こんなん、好きです。(^^;)

 で、ここで舞台のセッティングが始まります。裏方さんが出てきて、イスを並べ始 めます。ちょっと慣れてないような感じも見受けられ、思わず、手伝いに行きたく なってしまった…(^^;)

 バーンスタインの曲も始めて聴く曲でしたが、あっという間に終わってしまいまし たねぇ。バリトンのソロが付いていたのですが、ほとんど、「語り」のような役割で した。

 次はシューベルト、指揮台を取り払って、佐渡さん、指揮をなさってました。小人 数の編成ですから、そうしはったんでしょうけど、でも、相変わらず、振りはとって も大きかったです。正に古典派的なこの曲を、そこまで振る?と言いたくなるほど。 演奏もちょっと雑な感じがしてしまったのが、残念でした。所々、音も外してはった し、惜しまれますね。

 休憩の後は、おまちかねのチャイ5。昨年から一体、何回、この曲を聴いているん だろう…と思うのですが(^^;)、中でも最高!の出来ではなかったかと思います。第1 楽章の第2テーマを歌っていく中で、ちょっとタメをとったり、第2楽章でホルンを たっぷりと表情豊かに歌わせ、しかし、音量をちょっと抑え気味にしたり、第3楽章 でもそれぞれの楽節ごとにテンポを揺らしてみたり…と、いろんなことをやってはる んです。そして、それをオケの方もしっかりとくらいついてきているようで、実に表 現力のある演奏になっていたと思います。微妙にテンポを揺らすというか、ちょっと したタメが入るんですね。これがほんと、効果的で、聴いている者をぐいぐいと音楽 の中に引きずり込んでいくような感じでした。第4楽章も圧巻で、特に最後の方で金 管が高らかに運命のテーマを歌いあげるところなんか、大音量で、朗々と歌わせてい ましたね。どうして、こんなに音が出るの?と思う程でした。(→このホール、実は あまり音響がよくないんです… それを忘れる程、ということです。)最後はむちゃ くちゃな速さで一気に終結。凄まじいと言ってもいいくらいの演奏に、しばし、我を 忘れて感動してました。(^^;)

 チャイ5を聴いて、ふと思い出したのは、4月に聴いたスヴェトラーノフさんの チャイ5。曲の作り方が何か、似ているんです。タメの取り方とか。あの時もむちゃ くちゃ感動しましたが、今回のもその時に劣らぬほどの感動を与えてくれました。よ かったよぉぉ。(;_;)ウルウル

 実はこのポートピアホールには今回、初めて来たのですが、まだ今年の春に出来た ばかりですから、奇麗なのは当然なのですが、音響が悪いのが気になってしまいまし た。チャイ5はそれを忘れさせるほどの演奏だったから、よかったのですが、前半の 曲の時は、はっきり言って、響いてこないホールやなぁ、とちょっと機嫌ななめで聴 いていたのです…(^^;) シューベルトの演奏に対する不満は、このことも要因になっ ているのかもしれませんね。せっかくのホールなんだから、もうちょっと響いてくる ように作ってくれてもよかったのに、と思います。(ま、もともとはコンベンション 施設というくらいにしか設定してはらへんかったんでしょうけど。)

 アンコールは「キャンディード」の序曲。バス・ドラやシンバルなど、ここで初め て出てきた打楽器奏者たちが思いっきり楽器を叩いていたのが印象的でした。(^^;)