らいぶらりぃ
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ジョーンズ&コワルスキー ジョイント・コンサート

●日 時1997年10月2日(木)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演ソプラノ:G.ジョーンズ
カウンターテナー:J.コワルスキー
ハインツ・フリッケ指揮大阪センチュリー交響楽団
●曲 目ウェーバー/歌劇「オベロン」より
 序曲
 レツィアのアリア”海よ、巨大な怪物よ”
ヘンデル/歌劇「ジュリアス・シーザー」より ”抜け目のない狩人は”
グルック/歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」より
 序曲
 オルフェオのアリア”我、エウリディーチェを失えり”
プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」より
 トゥーランドットのアリア ”この御殿の中で”
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」より 第3幕への前奏曲
モンテヴェルディ/歌劇「ポッペアの戴冠」より
 ソローネとポッペアの愛の二重唱”そしてじっとあなたを見つめよう”
J.シュトラウス/オペレッタ「こうもり」より
 序曲
 オルロフスキーのアリア”お客を呼ぶのは私の趣味で”
 <チャルダッシュ>”ふるさとの調べよ”
スッペ/オペレッタ「詩人と農夫」より 序曲
レハール/オペレッタ「ジュディッタ」より ”唇に熱いくちづけを”
レハール/オペレッタ「フラスキータ」より ”ねぇ、今晩ちょっと来てよ”
スッペ/オペレッタ「軽騎兵」より 序曲
スッペ/オペレッタ「ボッカッチョ」より ”私のかわいいフィレンツェ娘”
(アンコール)
ロッシーニ/「二匹の猫のこっけいな二重唱」


 「摩訶不思議な夕べ」というサブタイトルのついた演奏会、まず不思議だったの は、何故、こんなにお客さんが少ない? ということです。ほとんど、がらがらでし たもんね。ほんまの、自由席状態ってなもんで、ま、私は最初から2階席正面の一番 前のセンター、という、最高の場所だったので、特に移動はしませんでしたけど、他 の人達(特にバックステージに座ってはった人達)は、曲間にぞろぞろと移動しては りましたね。こんなにお客さんの少ないシンフォニーホールというのは、初めて見ま した。(@@)

 しかし、演奏会の中身の方は、すっごく充実したものでした。「オベロン」の序曲 に続いて、ジョーンズさんが登場、最初っから聴かせてくれますね。持ち前の豊かな 声量で、聴く者をぐいぐいとオペラの世界へと導いていきます。続いて、コワルス キーさんが登場し、「ジュリアス・シーザー」。ジョーンズさんの後に聴くせいか、 その美しい、細い線の声が、とってもか細く聴こえてしまいます。(^^;) でも、その 美声は、やはり、惚れぼれとしちゃいますね。次の「オルフェオのアリア」なんか、 よかったなぁ。そして、お待たせしました、ジョーンズさんと言えば、やっぱりこ れ! 「トゥーランドット」であります! ハリのある、凛とした声で、たっぷりと 歌い上げるアリアは、やっぱり、ジョーンズさんでなくちゃ、という感じですね。そ して、前半最後は、ポッペアの2重唱、目を閉じて聴いてると、どっちが男や?とい うふうに聴こえてまいそうになったりして、というのは、冗談ですが、ぴたりと息が 合ってましたねぇ。コワルスキーさんが、演奏に際して、ジョーンズさんにとっても 気配りをしてはる、というようにも見えましたが、そんなとこからも、お人柄が伺い 知ることができるようで、何か、いいなぁ、と思いました。

 後半はオペレッタ特集。「こうもり」の序曲に次いで、オルロフスキー侯のコワル スキーさんが…出てこない? いかにも侯爵然とした態度で、舞台下手に突っ立った まま。やむなく指揮のフリッケさんが棒を振り始めると、そこからオケのメンバーの 間を抜って、舞台上を動き回りながら、歌いはるんです。それも、侯爵さまになり きって。指揮者に喧嘩を売ってるようなとこが、妙に面白かった。続いて、ジョーン ズさんの「チャルダッシュ」、黒のドレスを着て、扇を手に、何か、魅惑的でした な。「ジュディッタ」でも、その魅惑さは変わらず、2階正面最前列で見ていると、 ほんと、素敵ですねぇ。(*^^*) そして、コワルスキーさんは「フラスキータ」で、 これまた魅惑的なアリアを。お2人とも、その持ってはる魅力を十分に出し切っては るのが、聴いていて、嬉しいですね。お人柄もそれぞれ、歌ににじみ出ていて、改め て惚れ直しちゃいます。最後は、「ボッカッチョ」の2重唱。ジョーンズさんにコワ ルスキーさんが寄り添うよい、ささやくように歌いかける、その様が、見ていて、い いなぁ〜と思いました。雰囲気たっぷり、でしたなぁ。

 けど、今宵一番の聴きどころは、何といっても、アンコールの「猫の2重唱」で しょう。コワルスキーさんの小っちゃな猫が、ジョーンズさんの奇麗なシャム猫か何 かに語りかける、といった風で、とってもコミカルな感じがいいですね。最後は2 匹、じゃない、2人、手を取り合って、舞台ソデへ引っ込んで行かれて、一番、客席 が湧いたのでした。サービス精神旺盛なお人柄を見たような気がしました。

 終演後、楽屋口へ行って、お2人のサインをいただけたのは、ラッキーでした。そ れに、ジョーンズさんのサイン入り写真までいただいちゃって、ちょっと幸せ。(^^*)

 なお、後半のプログラムの中で、スッペの序曲をいろいろと聴けたのが、また、嬉 しかったです。「軽騎兵」や「詩人と農夫」など、何年ぶりかで聴くようなものばか りでしたから。そして、センチュリーの持ち味を出しながら、お2人の歌の魅力を最 大限に引き出していた、指揮のフリッケさんにも拍手を贈りたいと思います。