らいぶらりぃ
PrevNextto the Index

プロ・カンツィオーネ・アンティクワ

●日 時1997年10月11日(土)15時開演
●会 場京都府立府民ホール”アルティ”
●出 演マーク・ブラウン指揮プロ・カンツィオーネ・アンティクワ
カウンターテナー:ポール・エスウッド/ティモシー・ペンローズ/ロビン・タイソン
テノール:ジョゼフ・コーンウェル/ジェームズ・グリフェット/イアン・パートリッジ
バス:スティーブン・ロバーツ/エイドリアン・ピーコック/デイヴィッド・ベヴァン
●曲 目○中世カスティーリャの単旋律聖歌
栄光と賛美とほまれとは(枝の主日の聖歌)
エレミアの哀歌(聖水曜日の朝課の第1レクツィオ)
われらのために苦しみを受けんとして来たりたまいし主よ
○ルネサンスのポルトガルの巨匠たち − 天使の声
エステーヴァン・ロペス・モラーゴ/しもべらよ、主をたたえよ
ドゥアルテ・ロボ/マニフィカト
マヌエウ・カルドーソ/主よ、ヒソプもてわれに注ぎたまえ
ポルトガル王ジョアン/真実なる十字架
モラーゴ/救い主なるイエスよ
○パレストリーナの「教皇マルチェルスのミサ曲」と聖母マリア被昇天の祝日のミサ固有文聖歌
グレゴリオ聖歌/イントロイトゥス「すべての者よ、主に向かいて喜ばん」
パレストリーナ/「教皇マルチェルスのミサ曲」より キリエとグローリア
グレゴリオ聖歌/グラドゥアーレ「真理と温和と正義によりて」とアレルヤ
グレゴリオ聖歌/オッフェルトリウム「マリアは天に昇らされたまいぬ」
パレストリーナ「教皇マルチェルスのミサ曲」より サンクトゥスとベネディクトゥス
グレゴリオ聖歌/コンムニオ「マリアは最良の部分を自ら選びたまいぬ」
パレストリーナ/「教皇マルチェルスのミサ曲」より アニュス・デイI・II
パレストリーナ/モテトゥス「バビロンの川のほとりに」
パレストリーナ/モテトゥス「おお、慈悲深きイエス」
パレストリーナ/モテトゥス「スターバト・マーテル」
(アンコール)
タリス/God grant with grace(タリス・カノン)
Amon/Beata Viscera


 10年ぶりに来日したプロ・カンツィオーネ・アンティクワ(以下、PCA)の皆 さん、10年前のことは、私は知りませんが(^^;)、今回も素晴らしい演奏を聴かせて くれました。

 前半は、単旋律の聖歌に続いて、ポルトガルのルネサンス期の曲。ロボやカルドー ソなど、有名どころの曲が並んでいます。でも、一番印象に残ったのは、ジョアン王 の曲。初めて聴いたのですが、いい曲ですね。で、これらの曲を、PCAの皆さん、 実に感動的に歌い上げていましたね。テノールのコーンウェルさんやカウンターのペ ンローズさんの表情がまた、とっても豊かで、とても楽しそうに歌ってはるのが、い いな。(^^) もちろん、その声の方も素晴らしく、コーンウェルさんは高音なんかも、 芯のある声で、かぁーん!と頭声で響かせてくるし、ペンローズさんは、どこかお茶 目な感じ(ごめんなさい…)で、自在に歌ってはる、という感じ。他にも、カウン ターのエスウッドさんは凛々しく、タイソンさんは、高音まで澄み切った声で歌って いるのが、印象的です。それぞれの個性というものを見ることができるようで、面白 いですねぇ。それらがまとまって一つのアンサンブルとして、きっちりとまとまって いるのが、またすごいことだと思います。普通の合唱のように、各声部がひとつの音 としてまとまって聴こえてくる、というのではなく、歌い手一人一人の声が確かに はっきりと聴こえてきているのですが、それを全く不自然と思わせないんですね。 ちゃんと曲としてまとまって聴こえてくるから。たまに、あれ、ピッチが…? と思 うようなところも、あったと思うんです。けど、曲としてまとまってさえいれば、後 は、各自の思うように歌っていて、むしろ、そうなるのが自然なんだと。何か、そん なふうに納得したりしてました…(^^;)

 後半は、グレゴリオ聖歌と、パレストリーナの「教皇マルチェルスのミサ曲」とを 交互に演奏していきます。儀式としてのミサがそこに再現されているようで、ちょっ と面白かった。マルチェルスのミサを聴くのも、何か久しぶりだったのですが、改め てパレシトリーナの魅力というのを堪能できたと思います。グロリアで、最後、盛り 上がってきて、アーメンで終るとこなんか、結構、ぞくっときましたねぇ。(^^;)

 アンコールは、タリス・カノンと、とっても静かな「Beata Viscera」。美しいア ンサンブルを最後まで堪能させてくれたのでした。

 なお、東京の公演では、オケゲムのレクイエムをされたとのこと。うーむ、こっち も聴きたかったぞ…(^^;)