らいぶらりぃ
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芦屋交響楽団創立30周年記念演奏会Part2

●日 時1997年10月11日(土)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演飯森範親指揮芦屋交響楽団
メゾ・ソプラノ:郡愛子
合唱:オペラハウス合唱団/ノイエ・フラウエン・コア/ころぽっくる合唱団
●曲 目マーラー/交響曲第3番ニ短調


 「あしきょう」の創立30周年記念演奏会の第2弾です。第1弾の5月の時は、 「英雄の生涯」という大作を見事に演奏していましたが、今回は、何と、マーラーの 3番という、「超」大作! フェスでのVPOのチケットが取れなかった分を、こっ ちで取り返せる(?)というものです。(謎)

 で、当日座席指定だったんですね。京都で別の演奏会を聴いてから、行ったのです が、何気なく交換してもらって、中に入ってから、がぁん! 一番前じゃないです か。うぅ、こういう大作を、一番前なんてとこで聴きたくないぞぉ、と泣きながらも (;_;)、やむなく指定の席に座ります。Vcの真ん前ですね。こりゃ、Vcしか聴こえ てこないんやないか…と不安がよぎります。と、ふと思い出したのが、そういや、6 年程前にここのステージの指揮台に立ったことがあるんでしたっけ、ということ。音 が全部、上の方にすぅっと響いていくのを体験したことを思い出し、そんなんやか ら、確かにVcの音は直接、間近に聴こえるやろうけど、他の楽器の音も、ちゃんと 上に響いて聴こえてくるやろから、そない、泣かなくてもいいかな、と、気を取りな おしたのでした。(^^;)(←そうでも思わないと、聴いてらんない…)

 冒頭のHrが高らかにファンファーレを奏し、そしてTuttiでばちっ!と鳴ら す、ここの何と勢いのあること! 音ももちろん、外すことなく整然とまとまってい ながら、その音に対する集中力というものを、確かに感じることができました。ここ だけでも、今日の演奏の全てを語っている、と言っても、言い過ぎではありますま い。そして、幾度も起伏を越えながら、長大な1楽章が進んでいきます。席の位置の 関係で、いろいろといらんとこまで聴こえてくるんですが、たまに、入りがバラけて いるような部分がありましたな。低音楽器なんかで、休符を置いて入ってくるような ところなど。でも、総じて言えば、緊張感のある、割と引き締まった演奏だったと思 います。最後のわぁ〜ん!とくる盛り上がりは、これでもか、って感じで、ごっつい よかったなぁ。

 第2楽章は軽い感じの曲。Obが、いつもながら、いいですね。しっかりした音程 でいて、表情も豊かで。それも含めて、管楽器の演奏の技術の確かさをはっきりと感 じることのできた楽章でした。管楽器と言えば、第3楽章で聴こえてくるポストホル ン、実に伸びやかに歌い上げていきますね。最高音のとこがちょっと苦しかったみた いですが、なかなかの好演だったと思います。

 第4楽章に入り、待ってました、郡さんが登場、深ぁい響きの声で、聴く者を陶酔 させてくれますね。そしてまた、飯森さんの指揮も、さすがオペラを多く振ってはる だけのこともあって、歌わせ上手なんです。郡さんの歌唱を無理なく引き出してきて ますし、オケの方も歌わせるべきとこ(Vnのソロとか)をきっちりと歌わせている んですね。聴いていて、一番感動深い楽章でした。続く第5楽章で、ようやく、後方 に陣取った女声合唱の皆さんが立ち上がります。この合唱も、響きが豊かで、感動的 でした。アルトがあれだけ、深ぁい響きで、ごぉっと聴こえてくるのが、新鮮な感じ でした。惜しむらくは、この辺りから、金管に疲れが見え(聴こえ)始めてきたこ と。音がちょっと外れてくるんですな。無理もないのかもしれませんが、思わず、頑 張れぇ、って思いながら聴いてました。

 そして、最後の味わい深いアダージョ、弦の響きがしっとりとしていて、いいです ね。最後の盛り上がりへ向けて気合を入れてるのが、はっきりと伝わってきて、なか なか、でした。金管はさすがに疲れてますな。けど、必死に食らいついてきてるよう で、最後の力をふりしぼって、fのとこを吹いているようでした。90分一本勝負 の、堂々とした演奏を終えて、舞台上は、ほっとした安堵感に包まれて、客席から割 れんばかりの拍手が起こったことは、言うまでもありません。

 ますます演奏に磨きをかけた芦屋交響楽団、これからの新しい時代の演奏にも期待 していきたいと思います。