らいぶらりぃ
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アンサンブル神戸第5回定期演奏会

●日 時1997年11月28日(金)19時開演
●会 場神戸新聞松方ホール
●出 演阪哲朗指揮アンサンブル神戸
ピアノ:永井正幸
●曲 目ベートーヴェン/バレエ音楽「プロメテウスの創造物」より序曲Op.43
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番ハ短調Op.37
ベートーヴェン/交響曲第1番ハ長調Op.21


 今年の2月に始めて阪さんの指揮を拝見して以来、すっかり彼のファンになってし まっていますが、その阪さんが音楽監督をしてはるのがアンサンブル神戸。彼が指揮 をするというと、ついチケットを買ってしまいますな。他の人の時の定期(この前の 第3回とか4回とか)は来ないのに。(^^;)

 今回のメインは見ようによっては、ピアノ協奏曲第3番ということになるのでしょ うか。1番シンフォニーって、つい、軽く聴き流してしまいそうになりますし。(っ て、もちろん素敵な作品であるに変わりないのですが。)で、その3番コンチェル ト、なかなかの演奏だったように思います。歌わせ上手の阪さんが、今回もまた、オ ケにたっぷりと歌わせていますし、特にVnの表情はいいなぁ。起伏に満ちた、幅の 広い表現をしていたように思うんです。ごく一部分を除いては、管楽器も安定してい て、とっても安心して聴くことができました。ソロのピアノですが、永井さんって、 まだまだお若い方なんですね。初々しさのようなものを感じ、新鮮な印象を受けまし た。2楽章なんか、ほんま、丹念に弾いてはる、という感じで、繊細な表現がよくで きていたように思います。欲を言うと、3楽章なんか、もう少し、前に向かってくる ようなパワーみたいなものがあってもいいように思います。丹念に弾いてはるからこ そ、それが逆に、おとなしい演奏に聴こえてしまうんですね。ベートーヴェン初期の 頃の作品とはいうても、その後の「傑作の森」にも通ずる、情熱というものは、この 曲の中にも見ることができると思うんです。そういう、ベートーヴェンの、単に美し いだけでなく、激しいくらいのロマンティシズムみたいなものを、もっと表現できた ら、と思うんです…(勝手な個人的な思い込みなんですけどね…)

 さて、後半は1番シンフォニー。これは、もう何も心配することなく、何の不満も なく、ゆったりと聴くことができました。2楽章は、指揮法でもお馴染みの曲です な。ついつい、「しゃくい」を習った時のことを思い出したりしながら聴いてました …(^^;) 1楽章の第1テーマと第2テーマの対比の仕方や、3楽章のスケルツォでの 弦の刻ませ方、4楽章でのあふれる躍動感、どれも素敵でした。阪さんの、相変わら ずの流れるような指揮も、さらに磨きがかかってきたようで、オケと完全一体とな り、その力を最大限に引き出しているように、見えました。

 ただ、演奏は素晴らしかったのですが、客席の雑音が気になりました。後ろの方 で、どっかのおじさんが、鼻をぐすぐすとさせてはるかと思いきや、いきなり 「びぃーん」って鼻をかみ出すし、すっげぇ、うるさかった。(--#)凸 鼻をかむんな ら、外へ出てやってくれ、ってんだよな、まったくもう。おかげで、演奏に十分に集 中できなかったぞ…

 最後は、全員揃って、舞台の前面に一列に並んで、客席に向かって、一礼。演奏す る側も満足のいったような感じで、なかなかの演奏会でした。