らいぶらりぃ
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東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

第4回東京国際フォーラム定期演奏会〜Four Seasons「冬」

●日 時1998年1月20日(火)19時開演
●会 場東京国際フォーラム・ホールC
●出 演阪哲朗指揮東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
チェロ:長谷川陽子
●曲 目ドヴォルザーク/チェロ協奏曲ロ短調Op.104
ドヴォルザーク/交響曲第2番ト長調Op.88

 え、何だって神戸の人間が、こんな平日の晩の東京での演奏会に行ってるんだ、っ て?そりゃ、もちろん、ファンの阪哲朗さんが指揮をなさるからです。その上、独奏 者は、チェロの長谷川陽子さん! 陽子さんのファンでもありますので、私にとりま しては、例えどんなことをしようとも、絶対に聴きたい、いや、聴かなければならな い(?)演奏会なのです。(^^;) ちょうど、仕事も一段落ついたところでしたので、 昼から休みをいただきまして、東京へと飛んだのでした。(ちなみに、東京に着いた のは、午後4時過ぎ。そこから、秋葉原へと繰り出して、ショップ巡りをして遊んで いました…^^;)

 国際フォーラムは、昨年の6月にスーパー・オペラを聴いて以来です。いや、あの 時はホールAだったから、ホールCは、今回が初めてですね。東京駅から歩いてどれ くらいやったかいな…と早足で向かいましたが、改札を出て10分もすれば着いてし まうんですね。近いもんです。(←帰りのことを心配している…^^;)で、初めて入っ たホールC、素敵なホールですね。タテの空間が随分と広いように感じられて、ゆっ たりと過ごすことができそうですね。反響板が、よくある、吊ってある形状のもので ないのが、また新鮮に見えました。

 今回のプログラムはドヴォルザークづくし。最初は長谷川陽子さん登場!のチェ ロ・コンチェルト。第1楽章が始まると、シティ・フィルの奏するテーマに、思わ ず、背筋がぞくっとしてきます。音が、関西のオケとちゃうんです。弦の音はクリア だし、金管もまたクリアな音で、パンチをきかせて鳴らしてくるし、思わず、う〜ん と唸ってしまいました。どうして、こんなに違うの? あるアマ・オケの知り合いが 曰く、「関西のオケ言うたって、関西弁で話ながら、音楽してるから、どうしても音 楽も関西弁になってまうやん、そこにいくと、東京のんは全然ちゃうで。」と。こ れって、やっぱり当たってるんかな〜と思ってしまうのでした。

 さて、やがて、テーマがチェロに現われてきます。ここでの、陽子さんの歌わせ方 が、また、すっごくいい! ただ単に平面的に音楽を再現していくのでなく、楽譜の 中に書いてある以上のことを読みとって、そういう深みからじっくりと音楽を味わう ように、チェロに歌わせる、こういう、真髄を求めようとする姿勢が、好きなんです よね。(*^^*) 第2テーマの扱い方も、まさにそういう感じでしたし、何より、 おぉぉっと思ったのは、展開部に入って、オケも全てがppになるところ。し〜んと した中に、陽子さんのチェロもごく細い、繊細な線で音を出している、しかも、繊細 な上に芯のある歌わせ方なので、これは、すごい!と感じ入ったのでした。阪さんの 指揮も歌わせ上手なのですが、そこに、陽子さんのような歌い上手のソリスト、これ は、もう極上の音楽がそこから織り出されることは疑いのないことでしょう。そこで 作り出される音楽にすっかり酔ってしまい、ほぉ〜っと思っているうちに、1楽章は 終わり、次は静かな2楽章。この楽章でこそ、陽子さんのその才能は一段と花開きま すね。ただのアダージョじゃないのよ、というばかりに、たっぷりと歌い上げていき ます。楽譜に書いていないであろう、微妙なニュアンスまでもしっかりと出してい て、何か、泣きそうになっちゃいました。(^^;)

 3楽章もその絶妙のアンサンブルは崩れることなく、会場中に泣けと言わんばかり に響いていました。(ちょっとオーバーか…^^;)もひとつ、いいなと思ったのは、 コンマスさんによるソロ・ヴァイオリンが入ってくるところ、ここでは独奏チェロ も、どちらかと言えば、そのVnのための伴奏パートの役割になってくると思うので すが、陽子さん、自分の音楽というものはしっかりと保ったまま、その上で、Vnを 引き立たせてはった、ということ。音楽全体の流れを見失うことなく、あくまでもそ の流れの上に乗せて歌う…っとこれは、阪さんの音楽作りの基本でもありましたね。 やはり、このお2人の作り出す音楽は、素晴らしすぎますわ。最後のクライマックス へ向けて独奏チェロがじわじわっとクレッシェンドしてくるところなんか、ほんま、 ぞくぞくっとしましたし。いやぁ、これだけでも、はるばる来ただけの甲斐はあると いうものです。(^^;)

 なお、陽子さんは、2月にも関西フィルの定期に出てこられるんですよね。指揮は 阪さんと同様、ブザンソン優勝経験者の沼尻竜典さんで、曲はショスタコの1番コン チェルト。こちらも今から楽しみです。(^^)

 休憩時間には、スポンサーの榮川酒造株式会社さん提供で、榮川”吟醸ひたき”の 無料試飲なんてのを、ロビーでやっていたのですが、私は、人と会っていて、ちょっ と行けませんでした。(飲みたかったかも…^^;)

 てなことで(?)、後半は8番交響曲。阪さんの指揮が冴えわたった、素晴らしい 演奏でした。大体、ドヴォルザークの曲って、奇麗なメロディーが多いですよね。そ れらを阪さん、ほんまに美しく歌い上げていくんです。1楽章の牧歌的なメロディー もそうですが、特に3楽章。このワルツのテーマを、割と長いフレージングで、 たぁっぷりと歌わせていました。前に京響の演奏でもこの曲を聴いたことがあります が、こうまでクリアな音で、しかも息を長く保って歌っていたかどうか… オケ側も よく、指揮者に応えていたと思います。2楽章に出てくるppのところなんか、先の Vcコンチェルトと同様、もうこれ以上のppはないってくらいに音を集めていて、 会場中がしぃんと緊張感に包まれた一瞬でした。かと思えば、4楽章に入ると、金管 がまた実にクリアな音で吠えまくり(?)、一気に雰囲気を盛り上げていきますね。 また、急に音量を落とすところがありますが、そこもいやみでなく、あくまでも自然 な流れのうちに作ってはるのが、いいですね。流れを失うことなく、パンチをきかせ ながらのクリアな音、まさに若さあふれる演奏だったと思います。いやぁ、来ただけ の甲斐がありましたぁ。(^^;)

 割れるような拍手の鳴り響く中、さっさと会場を出、後ろ髪を引かれるような思い で、有楽町駅に駆け込んで、山手線で東京へ、そして、最終ののぞみ号で、ひとり、 帰路につくのでした…(夜中0時30分過ぎには無事に家に着きましたとさ。)