らいぶらりぃ
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ガラコンサート〜歌の饗宴〜

●日 時1998年1月25日(日)18時30分開演
●会 場フェスティバルホール
●出 演ソプラノ:塩田美奈子/足立さつき/緑川まり
メゾソプラノ:郡愛子
テノール:川上洋司
バリトン:田中勉
金聖響指揮大阪シンフォニカー
●曲 目<第1部>
ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」より 「私は町のなんでも屋」(田中)
グノー/歌劇「ファウスト」より「宝石の歌」(足立)
ビゼー/歌劇「カルメン」より「ハバネラ」(郡)
ビゼー/歌劇「カルメン」より間奏曲
プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」より「ある晴れた日に」(塩田)
プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」より 「私の大好きなお父様」(足立)
プッチーニ/歌劇「ラ・ボエーム」より「冷たき手」(川上)
プッチーニ/歌劇「ラ・ボエーム」より「私の名はミミ」(緑川)
プッチーニ/歌劇「ラ・ボエーム」より「愛らしい乙女」(川上・緑川)
<第2部>
ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
ヴェルディ/歌劇「運命の力」より「神よ、平和を与えたまえ」(緑川)
ヴェルディ/歌劇「椿姫」より 「ああ、そは彼の人か〜花から花へ」(塩田)
ヴェルディ/歌劇「椿姫」より「プロヴァンスの海と陸」(田中)
ヴェルディ/歌劇「椿姫」より「さようなら、過ぎ去った日よ」(足立)
マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 「ママも知る通り」(郡)
マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
ヴェルディ/歌劇「リゴレット」より「愛する美しい乙女よ」(塩田・郡・川上・田中)
プッチーニ/歌劇「トスカ」より「星は光りぬ」(川上)
(アンコール)
ビゼー/歌劇「カルメン」序曲
プッチーニ/歌劇「椿姫」より「乾杯の歌」

 朝日新聞の創立100年を記念しての、ガラコンサートです。「歌の饗宴」という にふさわしい、華やかなコンサートでした。

 第一部は、「セビリアの理髪士」から。序曲に続いて、田中さんの「私は町のなん でも屋」。下手のの花道から、歌いながらの登場です。実に朗々と歌い上げていて、 これから展開していく演奏に期待を抱かせてくれます。続いて足立さんの「ファウス ト」、丁寧に歌ってはるのが、いいですね。そして、郡さんの「カルメン」、郡さん の深い響きの声も好きなのですが、「カルメン」には、ちょっとどうかな…という感 じはしました。でも、バラの花を口にくわえたりして、素敵な演出は楽しめました。 間奏曲でしんみりとしたところで、私の大好きな(!)塩田さんの「蝶々婦人」。豊 かな声量で、想いを切々と歌いあげていく、これにはもう、聴きほれちゃいました。 (*^^*) そして、再び足立さんで「ジャンニ・スキッキ」。昨年もいろんな人たちの 演奏で聴きましたが、何回聞いても、いい曲ですよねぇ。足立さんの情感こもった歌 唱に聴きほれました。最後は、「ラ・ボエーム」の第1幕後半の場面。緑川さんのミ ミは、やがて死の床につくことになる体の弱いヒロイン、という感じからはちょっと 遠いようなとこもありますが(ごめんなさい)、そのふくよかな声は、とっても聴き 応えのあるもので、素敵でした。川上さんのロドルフォも、ハリのある声で、この2 人が互いに愛を歌うシーン、とってもいい感じに仕上がっていたと思います。思わ ず、秋に見たスロヴァキア国立歌劇場の「ボエーム」を思い出しちゃいますなぁ。扉 を開けて、部屋から、外=下手ソデへと出ていくところで、前半の第1部は終わるの でした。

 後半は、「運命の力」から始まります。序曲に続いて、緑川さんの登場。この歌に は、やはり、緑川さんのふくよかな声はあっていますね。いいなぁ。そして、舞台は 「椿姫」に変わります。塩田さんのアリア、衣装を替えて、より華やかなドレスに実 を包んでの「花から花へ」は、まさに華麗! ハリのある声で聴かせてくれて、とっ ても満足。(*^^*) 続いて田中さんの「プロヴァンスの海…」。高校の音楽の授業の 時だかに歌った覚えがある曲だけに、親しみがわきますな。そして、足立さんの「さ よなら…」、これまた、丁寧に、情感がこもっていて、いいですねぇ。舞台はさらに 変わり、「カヴァレリア・ルスティカーナ」。郡さんのサントゥッツァ、なかなか奥 ゆかしいところのあるような感じが出ていて(?)、いいですねぇ。世にも美しい間 奏曲も、シンフォニカーさんが、綺麗に演奏してくれるから、また涙もんです。ほん と、弦の音なんか、とってもクリアな音を出すようになってきましたよねぇ。そし て、今宵一番、華やかな舞台、「リゴレット」。4人の歌手が、それぞれの個性を出 しながら共演してはる、という絵が、また素敵です。郡さんと川上さんのやりとりが よかったけど、ワキの塩田さんの声が、その上に響いてくるというのが、また何とも …(^^;) 最後は「トスカ」。川上さんのカヴァラドッシの名アリア、いやぁ、これだ け切々と、そしてかぁん!と響く声で歌われると、涙が出てきますねぇ。

 …とまぁ、よかった、よかったを連発しているのですが(^^;)、ほんまに、ごっつい 内容の濃い演奏会だったと思います。6人の歌手の皆さんが、それぞれの持ち味をい うものを十二分に発揮されていて、それが舞台の上で見事に花開く、という感じで、 全てが名演だったと思います。塩田さんのハリのある声、足立さんの丁寧なつくりの 声、緑川さんのふくよかな声、郡さんの渋い響きの声、川上さんの安定した響きに、 田中さんのずっしりした響きと、一度にこれだけ楽しめて、入場料5,000円以下 なんて、安すぎますわ。さすが、朝日新聞社さま!ですね。(^^;)

 なお、今回の演奏会では、もともとは本名徹次さんが指揮をする予定だったのです が、前々日に急遽、本名さんがお風邪を召されたということで、金さんにお役がま わってきた、のだそうです。そんな急な話で、これだけ、しっかりと音楽をまとめあ げていた金さんにも、大きな拍手が送られたのは、言うまでもありません。今年は PMFのアシスタント指揮もされるそうなので、今後も期待、ですね。