らいぶらりぃ
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ダン・タイ・ソン ピアノリサイタル

●日 時1998年1月31日(土)19時開演
●会 場京都コンサートホール
●出 演ピアノ:ダン・タイ・ソン
●曲 目ドビュッシー/前奏曲集第2巻より
        1.霧
        5.ヒースの草むら
        8.水の精
        6.風変わりなラディーヌ将軍
       12.花火
ショパン/ポロネーズ第1番嬰ハ短調
     ポロネーズ第2番変ホ短調
     ポロネーズ第6番変イ長調「英雄」
プロコフィエフ/「つかの間の幻想」Op.22より
         No.1.3.4.5.6.7.9.10.11.12.14.17.18.19
スクリャービン/ソナタ第3番嬰へ短調
(アンコール)
ショパン/ノクターン(遺作)
ラフマニノフ/プレリュード第2番

 ダン・タイ・ソンさんの今回のツアーは、定番のショパンを離れ、ロシアものに積 極的に取り組んでいこうというものなんだそうです。私も、ダン・タイ・ソンさんと 言えば、まずはショパン、と思っておりましたので、彼の弾くプロコやスクリャービ ンはどんなものか、楽しみにしておりました。

 最初は、ドビュッシー。1曲目の「霧」なんか、とっても繊細なppで、まさに空 気が揺れるのを肌に感じるような、緊張感のある演奏でした。ダン・タイ・ソンさ んって、弾く前に腕を伸ばしてピアノの上(鍵盤じゃなくて)に手をぐっと置いて、 やるぞ!って感じで演奏を始めはるのですが、それがこの繊細さ! あくまでも音の 線を細くして、さらりと清流が流れるかのような演奏には、ごっつい、感じ入りまし た。でも最後の「花火」は、繊細に大胆が加わったような、盛り上がりでした。変に 力むことなく、流れはあくまでも自然なんですね。それでいて花火の華やかさを、ま さに華麗に表現してはったと思います。いい演奏でした。

 お次はショパン。お馴染みの曲を、そうそうこれがダン・タイ・ソンさんなのよ! といわんばかりに(?)、聴かせてくれました。「英雄」ポロネーズは、この前もア ントルモンさんも弾いてはりましたが、個人的にはダン・タイ・ソンさんの方が好き かな。(^^;)

 そして後半は、お待ちかねのロシアものです。プロコフィエフのこの曲は初めて聴 いたのですが、可愛らしい曲ですね。タイトルのとおり、ほんま、あっという間に終 わってしまうような小品を集めた曲集で、軽快な曲やしっとりした曲など、バラエ ティに富んでいて、楽しめました。何曲目だったか、とっても奇麗な曲があって、気 に入ってしまいました…

 最後にメイン・ディッシュの(?)スクリャービンです。1楽章の力強さ、2楽章 の華やかさ、3楽章の美しさ、どれも素敵でした。ダン・タイ・ソンさんのピアノ は、変に力んで歌い過ぎることもなく、とても知的な感じでいて、それでごく自然な 感じに音楽を流していきはるんですよね。それが、この特に3楽章の美しさを引き立 たせていたように思います。2楽章でも、じわ〜っと息の長いクレッシェンドをして くるところがあって、そこなんか、ぞくっとしながら聴いてました。4楽章の、不安 そうな曲想も、十分に表現していて、休符の取り方なんかも絶妙でしたね。右手の休 符のところで、腕をぐるん!と大きくまわすのは、?と思いましたが。(^^;) でも、 それだけ気合十分の演奏で、いやぁ、聴き応えがありましたぁ。

 アンコールにはショパンの遺作ノクターン。自分も弾ける曲を演奏してくれると、 何か嬉しいですね。(^^;) ラフマニノフの前奏曲で華やかに演奏会は終わったのでし た。