らいぶらりぃ
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ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団

●日 時1998年2月15日(日)14時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演ドミトリー・キタエンコ指揮ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:中村紘子
●曲 目グリーグ/ペール・ギュント第1組曲
グリーグ/ピアノ協奏曲イ短調Op.16
チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調Op.74「悲愴」
(アンコール)
タイス/瞑想曲
チャイコフスキー/「くるみ割り人形」より 花のワルツ

 私の好きな(?)北欧モノです。(^^;) 昨年のエーテボリ、一昨年のヘルシンキ・ フィル、とこう、続けて聴くことができるのは、嬉しいですねぇ。

 「ペール・ギュント」、これを聴くのって、ごっつい久しぶりのような気がする…  でも、Flの旋律から始まると途端に、ぐっと身を乗り出して聴き入ってしまいま した。木管の音が、実にクリアに響いてくるんです。Obのあの音は好きだなぁ。そ して、Vn等の弦の音もクリアで、Vnが入ってくるまでのクレッシェンドしてくる とこなんか、まさに朝の陽が昇り、さぁーっと光がさし込んでくるような、そういう 光景を見事に表現していたと思います。弦の響きの素晴らしさは、次の「オーゼの 死」でも見事に発揮されていました。寸分の違いもなく、完全に一体となったアンサ ンブルが、実に緻密に音楽を作っているのです。ppのとこなんか、全く聴こえない くらいまでにしてるし、実に表情豊かな演奏でした。あえて、ひとつ言えば、4曲目 の「山の魔王の宮殿にて」で活躍の金管がちょっと弱いかな…という感じがしまし た。ま、前にあれだけ大勢の弦楽器がいたら、聴こえにくくなるのも当然なのかもし れませんけどね。(^^;)

 2曲目は、中村絋子さんを迎えてのピアノ・コンチェルト。いやぁ、力の入った演 奏でしたねぇ。冒頭のピアノの下降音系からも、何か並々ならぬものを感じたのです が、そのまま一気に最後まで行ってしまった、という感じですね。オケがとにかくよ く鳴っていますから、絋子さんも相当、気合を入れてはったんじゃないでしょうか…  ただ、逆に言うと、力が入り過ぎていて、音楽の自然な流れというものがちょっと 妨げられていたのでは、という気がします。ミス・タッチはともかくとして、何か、 こう、自然に流れてこないような、そんな印象がするんです。一音一音、はっきり と、力強く弾いてはるのですが、フレーズとフレーズの間に、妙な「間」を感じたり して、いつもの紘子さんらしくないぃ…と思いました… あ、でも、決して悪い演奏 だったというわけではないのです。第2楽章はさすがに、オケと一体となって、見事 に歌い上げていましたね。やはり、力まない方がいい、ということでしょうか。

 休憩の後は、「悲愴」。特にppの扱い方の巧妙さを見せられたような気がしま す。冒頭の低弦、ほんとに聴こえないくらいのppで、演奏がいつ始まったのか分か らないくらいの小ささでした。そこからじわぁ〜っとふくらませていって、最終的に は、ffまで持ってくる、これには、背筋がぞくっときましたね。こんなにもppや pを大切に作るから、音楽そのもの表情がとっても豊かになって、それが、このオケ の演奏を格調の高いものにしているのではないか、そんな気がします。第3楽章で も、基本的にイケイケの曲だと思うのですが(^^;)、そのfの中でも、さらにffへと 持っていく時の、持っていき方が、ほんとに上手いです。終楽章での狂おしいまでに 盛り上がるところ、そしてその後の、力尽きるように終わっていくところ、いずれ も、とってもいい表情でした。いい演奏だったと思います。

 長野オリンピックの開催されているこの時期、前回のリレハンメルの開催国の随一 のオケがこうして来日公演をしてくれる、いや、とっても有意義で、喜ばしいことで すねぇ。東京公演ではリレハンメルの時のファンファーレ(オケ編曲版)もあったと か、いいな…(^^;)