らいぶらりぃ
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関西フィルハーモニー管弦楽団第125回定期演奏会

●日 時1998年2月17日(火)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演沼尻竜典指揮関西フィルハーモニー管弦楽団
チェロ:長谷川陽子
●曲 目ショスタコーヴィッチ/チェロ協奏曲第1番Op.107
ブラームス/交響曲第2番ニ長調Op.73

 先月に引き続いて、長谷川陽子さんの登場です。(わーい)

 今回のプログラムは、ショスタコーヴィッチのコンチェルト。この大曲を、見事に 演奏しきっていたと思います。第1楽章では、何か、固さのようなものも感じたので すが、第2楽章! ここで、切々とした想いを歌い上げるところになって、俄然、陽 子さんのチェロが鳴り出したような感じがします。どっちかと言えば、内向的な感じ のする楽章ですよね。ここでの陽子さんの表現は、まさに内へ、内へと向かい、ショ スタコーヴィッチの音楽の内側へと深く入り込んでいくような味わいを出していまし た。昨年に出された「ブラームス/ソナタ集」のCDを聴いても感じることですが、 陽子さんのチェロって、音に厚みがあって、それでたっぷりと歌っていて、音楽に対 して真正面から向い合って、その音楽の神髄に迫ろうという説得力みたいなものがあ りますよね。今回の曲でも、この曲を書いたショスタコーヴィッチの心に迫ろうとい う気概を感じることができたと思います。そして、圧巻は、何と言っても、あの長大 なカデンツァ。相当難しい部分でもあるのでしょうが、それを演奏しきる技術の素晴 らしさはもちろんんとして、その演奏の内容もまた素晴らしいです。単に音を出すだ けでなく、一音一音、その音に込められている作曲家の想いというものを、色濃く表 現していたのではないでしょうか。いやぁ、中身の濃い演奏でした。終ってからの、 演奏しきった満足そうなお顔が印象的です。(^^)

 ただ、ちょっと気になったのは、オケの方。時々、緊張感のないような音が聴こえ てきていたような気がします。陽子さんがあれだけの演奏をしてはるのだから、それ に合せて、もっと慎重に音楽を作らな、あかんやろ… と思ってました。そして、そ のことは、後半のブラームスになって、より顕著に、なってきます。確かに、若々し い、元気のある演奏でした。「青年」ブラームスがこの曲に込めた想いというもの は、こういうものなんやろなぁ、ということを感じさせられました。想いは伝わって くるのですが、一応、プロのオケですから(^^;)、表現と同時に技術でも聴かせていた だかないと。アンサンブルが完全には出来上がっていないのでは?というような感じ がしました。

 でも、沼尻さんの指揮は、とっても分かりやすく、こういうことを考えて作ってい る、ということの分かる指揮だったと思います。今後も期待、ですね。(^o^)