らいぶらりぃ
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大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団第27回定期演奏会

●日 時1998年3月22日(日)18時30分開演
●会 場いずみホール
●出 演当間修一指揮大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団
アンサンブル・シュッツ
オルガン:松原晴美
ソプラノ:倉橋史子/山川美弥子
テノール:若山良雄
バス:長井洋一
●曲 目ブクステフーデ/ああ主よ、あわれなる罪人のわれを
ロッティ/十字架につけられ
カザルス/おお、道行くすべての人よ
バッハ/罪なき神の子羊よ
シュッツ/受難モテット
モーツァルト/ミサ曲ハ短調K.427

 今回のシュッツ合唱団の定期のメインは、ハ短調ミサ。これを生で聴くのも久しぶ りのことです。前に聴いたことがあるのは、どこかの大学合唱団のジョイントコン サートだったかと思いますが、その時は、「Gloria」の冒頭を終えると、どっと疲れ ているのがありありとしていたような、そんな印象が残ってます。(^^;)

 が、今回はそんなことはなく、最後までしっかりと支えを保って、見事に歌い切っ ていました。さすが、ですね。(^^)

 「Kyrie」、この頭の弦の序奏が何とも言えず、好きなのですが(^^;)、アンサンブ ル・シュッツの響きはまさに私好みのものです。そこに乗って、合唱が入ってきま す。力強く、ハリのある響きで、なかなか迫力があります。テナーの響きがいい なぁ、と思いながら聴いてました。そして続いて、ソプラノ独唱で「Christe」、う〜 ん、声はしっかりと出てはるし、悪くはないんだけど、ちょっと私の好みとは違う部 分があるかも… ヴィブラートがかかったりしてるのが、ちょっと気になりました。

 「Gloria」、この曲の中心をなす部分ですね。初めの「Gloria」の迫力はなかなか のものでした。こうまでかっちりとまとまってのffというものも、さすが、と言う べきでしょう。オルガンが裏でごぉっと鳴ってるのが、その迫力をさらに大きくして います。(ここにオルガンがあるって、知らなかった…^^;) 合唱がひとしきり終る と、ソプラノ独唱で「Laudamus te」、先ほどに続いて、倉橋さん。やはり、この部 分のソロには、こういう明るい響きの人が向いてますね。先程と印象がちょっと変 わってしまいました。(^^;) なかなか透明感のある、きれいな響きの声でした。多 少、力で押し気味になる部分が、これ以降の部分に見られたのが、ちょっと残念なの ですが… 「Gratias」を経て、「Domine」のソプラノ二重唱。明るい響きの倉橋さん と、やや線の細いような感のする山川さんのデュオは、これでなかなか味のある演奏 だったように思います。「Qui tollis」、(演奏とは関係ないのですが)大抵のミサ曲っ て、この部分は割と静かな感じで書いてあるとおもうのですが、なんで、この曲のここ は、こう、力強いんでしょうね… 「Jesu Christe」でやっと出てくるテノール独唱、 若山さんの声って、しっかりした支えのある、凛とした響きをしていますね。ソプラノ 2人にもちゃんと合せてはるし、いいなぁと思い、聴きほれてました… そして大詰め の「Cum Sancto Spiritu」のフーガが始まります。普通なら、この辺で疲れがでてきて、 へとへとってなってるようなものなのですが… いや、さにあらず、変わらず力強さを 保ってはります。う〜む、この人たちの体力ってすごいんですねぇ。(@@) 緊張感を ずっと持続させたまま、クライマックスを迎えて、「Gloria」が終ったのでした。ここ まで聴いただけでも十分、って感じがします。(^^;)

 「Credo」の力強い入りも、また、決して力が抜けてしまうことなく、しっかりと 入ってきていて、ますます演奏に対する好感は高まります。淡々としながらも、合唱 で力強く「Credo」を進めてきて、そして、ソプラノ独唱の「Et incarnatus est」が 始まります。この曲中、一番美しい部分ですね。倉橋さんの明るい響きの声が、この 部分を切々とした感じで歌い上げていきます。うん、なかなかいいですねぇ。ちょっ とだけ気になったのは、高音なんかになると、力で押し上げてはるような感じに聴こ えること。そのために音楽の流れがちょっと自然でなくなってしまっている、そんな ふうに感じました。技量はお持ちのことと思いますだけに、ちょっと残念な気がしま した…

 そして「Credo」の後半部分がないまま、「Sanctus」へと突入していきます。で も、ほんと、疲れというものを全く感じさせませんねぇ。特に「Hosanna」のフーガに 入っても全然乱れるようなことなく、かっちりとまとまって、しかもハリのある声で 歌っているのは、すごいことだと思います。合唱がこれだけ、しっかりとした演奏と いうのも、そう耳にできるものではないんじゃないでしょうか。「Benedictus」が終 わってからの「Hosanna」も高らかに歌い上げて、全曲の幕は降りたのでした。い やぁ、感動的な演奏でした。これだけのものを聴くと、もう、何にも言うことはな い、って感じですね。(^^;)

 あ、もちろん、前半のオルガンの曲や合唱曲も素敵な演奏でした。(^^;) それにし ましても、なかなか、中身の濃い演奏会でしたねぇ。