らいぶらりぃ
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第10回酒蔵吟遊コンサート

鈴木秀美チェロリサイタル

●日 時1998年3月25日(水)19時開演
●会 場酒心館ホール
●出 演チェロ:鈴木秀美
●曲 目バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007
    無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調BWV1009
    無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011

 BCJでお馴染みの鈴木秀美さんのリサイタルです。会場は、何と、酒蔵、です。

 っと、会場のことについて触れると、この酒心館というのは、名前のとおり、お酒 の会社で、「福壽」の蔵元と「酒豪」の蔵元とが協力して再建した会社なのです。言 うまでもなく、震災によって大きな打撃を受けていたのですが、そういう形で復活し たのが、昨年末の頃。まるで、NHKの「甘辛しゃん」の世界ですが(^^;)、でも、実 際、そうなのです。そして、震災の前から酒蔵でコンサートを行ってきているのです ね。単に酒を作って売るだけでなく、酒の「文化」を発信していく、というようなコ ンセプトによるものだそうで、始まった頃は何かと話題にもなっていました。木のぬ くもりのする酒蔵で聴くチェンバロや弦楽器等の音楽は、なかなか評判がよろしかっ たようで、私も一度、来てみたいとは思っていたのです。復活後も、2〜3回くら い、既にコンサートをしていることは知ってはいたのですが、つい、機会に恵まれ ず、ようやっと、来ることができたのです。(ちなみに、我が家からは徒歩10分く らい。一番近いところですね。(^^))

 さて、曲目は、ずらりと並んだバッハの無伴奏チェロ組曲シリーズ。これだけ、並 べて聴くというのも、なかなかのものですね。(^^;) で、鈴木さん、いわゆるバロッ ク・チェロで演奏してはるのです。これがまた、何とも言えない音の深みを出してい て、非常に密度の濃い演奏だったと思います。いずれの曲も舞曲の組曲になっている わけですが、それら1曲1曲が非常に活き活きと、表情豊かに奏でられていくのです。 第3番は、6曲あるチェロ組曲の中でも一番有名な曲なのでしょうが、それにふさわ しく、堂々とした演奏で、緊張感あふれる音色に、じぃっと聴き入っていました。5 番は、何やら変わった調弦をしないといけない曲なのだそうで(そのように、ご自身、 説明されていました)、技術的にも難しい曲なのでしょうね。でも、プレリュードの フーガの部分や終曲の激しさと、アルマンドやサラバンドの特徴的なリズムとの対比 がまた、見事で、演奏に何か凄みのようなものが感じられて、ぐいぐいと引き込まれ ていくのでした。だから、演奏が終った時のほっとした表情が、また、とても素敵で した。

 途中の休憩の時には、利き酒のサービスがついていて、そのお酒のまた、美味しい こと! 癖のない、さらりとした感じの味わいで、これだけ濃い演奏には、こんなお 酒が合うわなぁ、などと思うのでした…(^^;)