らいぶらりぃ
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ザ・シンフォニー・ユース・オーケストラ第13回定期演奏会

●日 時1998年4月9日(木)19時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演十束尚宏指揮第13期ザ・シンフォニー・ユース・オーケストラ
●曲 目ドビュッシー/交響組曲「春」
       交響詩「海」
サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調Op.78「オルガン付き」

 年に1回の学生オーケストラの祭典(?)が、今年もやってまいりました。昨年の 「夜の歌」は素晴らしかったなぁ、と思い出しながら、今年は「オルガン」!であり ます。

 さて、今年の出来は…というと、比較するのはよくないと思うのですが、昨年の方 が、いい音を出していたかな、という感じがします。音の粒が粗いというか、緊張感 のないように聴こえる音が聴こえてくるんですね。で、入りが甘かったり、タテの線 がそろってなかったり、ちょっと…という感じは拭いきれませんでした。ドビュッ シーは、そんな印象が強くって、うーむ、と唸ってしまました。「海」なんかでも、 せっかく、ざぁーっと盛り上がってきているようなところなのに、ぷっと外したよう な音が聴こえたりして、ちょっと残念でした。もちろん、全体的には、出るべきとこ ろは、わぁっと出てきて、よく響いているし、決して悪くはない演奏なのです。それ が、つい、細かいとこまで目をやってしまうと、そういうことが気になる、という…  気にしない方がいいのかな。(^^;)

 で、後半の「オルガン」、こちらもなかなかよかったんじゃないでしょうか。そ りゃ確かに、外した音も聴こえてくるのですが、それを補うに足りるほどの熱意が、 多少は感じられたからです。1楽章前半の第1テーマが始まった時、何かリズム感が 悪くって、おいおい…と思ったのですが、それも次第に直ってきて、1楽章前半のク ライマックスになる頃には、すっかり、いい感じでリズムを刻んでいました。そし て、1楽章後半、お待ちかねのオルガンがごぉーっと響きわたります。低音がじわ 〜っと下から響いてくる、この心地好さ、これがたまらないのよねぇ。(^^;) 1昨年 の秋に、ここでこの曲を聴いて以来のオルガンの音色は、とても温かく、自然と、ほ ろっときてしまうのでした… 2楽章も、頭から非常に緊張感を持って演奏してい て、おぉ!っと思いました。こういう姿勢を、最初の曲から見せてほしかったぞ…な どと思ってしまいます。(^^;) そして、その高いテンションを保ったまま、後半に突 入、オルガンの壮重な響きと相まって、見事なクライマックスを築いていました。最 後のテンポが変わるところは、私の好みとは合わなかったけど(^^;)、それでも、満足 のいく演奏でした。これで、後は細かな詰めまできっちりとできていれば、なお完璧 な演奏になったのでしょうね…