らいぶらりぃ
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蓮如上人五百回御遠忌記念コンサート〜カンタータ「蓮如」

●日 時1998年4月19日(日)18時開演
●会 場京都コンサートホール
●出 演佐藤功太郎指揮京都市交響楽団
浅井敬壱指揮合唱団京都エコー
ソプラノ:佐藤しのぶ
テノール:若本明志
バリトン:小松英典
オルガン:土橋薫
●曲 目<第一部>仏教讃歌アンソロジー
木村雅信(仲野良一詞)/「蓮如讃歌」
松下眞一(浄土和讃)/「音楽法要」より 「一一のはなのなかよりは」
山田耕筰(川上清吉詞)/「芬陀利華」
松下眞一(高僧和讃)/「音楽法要」より 「無碍光の利益より」/「罪障功徳の体となる」
平井康三郎(岡俊樹詞)/「咲き匂う」
古関裕而(河合恒人詞)/「みめぐみの」
<第二部>
清水脩/「ルンビニの春への前奏曲」
清水脩(土岐善麿詞)/カンタータ(交声曲)「蓮如」

 今年は蓮如上人の五百回の御遠忌の年にあたるのだそうで、本願寺などでは、その 関係の行事もいろいろあるようです。で、その記念行事のひとつが、このコンサー ト。何やら怪しげな(?)雰囲気にひかれて(__;)、行ってきました。

 カンタータ「蓮如」というのは、今から50年前の四百五十回の御遠忌の時に作 曲・初演された曲なのだそうで、その時は朝比奈隆指揮の関西交響楽団が演奏したの だそうですね。だから今回は50年ぶりの演奏になるのだそうです。(しかし、オケ の名前こそ変わったものの、その時の指揮者+オケが、今もなお、がっちりとペアを 組んで現役で活躍している、というのも、何だかすごい話ですねぇ。)

 曲は短い前奏曲から始まります。弦のトレモロの上にチーンと鳴る鐘の音がいいで すね。2曲目はバリトンのソロが声明を唱え出します。小松さんの声の豊かな響き は、なかなか説得力がありますね。第3曲になると、合唱が静かに「げにやただ…」 と入ってきます。京都エコーの演奏を聴くのも久しぶりなのですが、相変わらず、そ の力は安定していますね。言葉がよく分からんぞぉ、とは思いましたが(__;)、響き自 体はぱぁん!とよく鳴っているから、聴いていて心地良いです。曲はやがて盛り上 がっていき、「み法のすがた まのあたり」と、まさに法悦の喜びに満ちて終るので した。そして、お待たせしました、しのぶさんのソプラノ独唱で、第4曲になりま す。ここは、蓮如上人の苦行の姿とかを歌っているのですね。しのぶさんのふくよか な声は、そんな苦行の中に潜む仏の慈悲深さを物語るかのような、そんな感じを与え てくれます。こんな感じの曲って、「ヨハネ受難曲」なんかにもありませんでしたっ け…?(^^;) 第5目はテノールのソロから始まります。若本さんの声も、いつ聴いて もハリがあって、かぁん!と響いてきて、いいですね。そんなんで説法されたら、ほ んま説得力があります。第6曲は「ものを言え」という言葉を中心に合唱が展開して いきます。後半、どっかで聴いたことのあるような日本民謡風のメロディー(何だっ たか、忘れた…)が歌われ、高らかにその教えを歌い上げていきます。続く第7曲 は、蓮如上人ご自身の作になる「白骨の御文章」を、テノール・ソロが淡々と歌い上 げていきます。音が随分と高そう…(^^;) 第8曲は、バリトン・ソロから始まり、や がて三重唱となるのですが、この3人の声がいまひとつ、溶け合っていないように聴 こえたのは、気のせいかしら…そして終曲は、南無阿弥陀仏の念仏をフーガで高ら かに唱えあげていきます。何だか、ミサ曲のアーメン・コーラスのようにも聴こえる ような…(^^;) 最高潮を迎えて、堂々と全曲の幕が降りるのでした。

 演奏会の前半には、仏教のいろいろな讃歌が演奏されました。合唱+オルガンとい う組み合わせもなかなか素敵ですね。どの曲もどこか賛美歌のような響きをしなが ら、それでいて、中身は実は仏教、というのが、また面白いです。言葉なしで音楽だ けを聴いていると、ほんと、これって賛美歌?と言いたくなりますもん。(^^;) 宗教 的な音楽というのは、どの宗教にしても、どこか共通するような部分があるのかしら ん、などと思うのでした…

 しっかし、昼間にモーツァルトの歌劇(演奏会形式)を聴いて、これだけの宗教曲 (しかも仏教!)を聴くのも、結構、疲れますねぇ…(^^;) けど、聴き応えのある演 奏会だったと思います。