らいぶらりぃ
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かぶとやま交響楽団第19回定期演奏会

●日 時1998年5月9日(土)19時開演
●会 場伊丹アイフォニックホール
●出 演其浦宏幸・中村晃之指揮かぶとやま交響楽団
●曲 目ショスタコーヴィッチ/バレエ組曲「黄金時代」Op.22a
シューベルト/交響曲第7番ロ短調D.759「未完成」
デッサウ/モーツァルトによる交響的変態(日本初演)

 今年で創立10周年を迎えるかぶとやま交響楽団、今年1回目の演奏会は、本邦初 演ものを持ってきてくれました。その選曲からも、今年にかける彼らの熱意というも のが伝わってくるようです。

 最初はショスタコーヴィッチ。いかにもショスタコーヴィッチらしい音色が響いて きます。音楽の作り方自体は、力強くて、いいのですが、ちょっと気になったのは、 音が少々バラけて聴こえてくること。入りの音がぱしっと聴こえてこなかったりした のが、ちょっと残念な気はしました。

 「未完成」は、さすが、うまくまとめていたと思います。1つだけ、不満に思った のは、1楽章の第2テーマが出てくるところで、肝心のVcの音がいまひとつ、前に 出てきていなかったことです。後ろの木管の音の方がよく聴こえてくるという状態 で、ちょっと…と思いました。あえて、そういう風にしていたのでしょうか…

 しかし、デッサウの演奏は圧巻でした。元になったのは、モーツァルトの弦楽五重 奏曲なのですね。この原曲を、開演前及び休憩時間中に、パートのトップの皆さんの 演奏で聴かせていただきました。こういうサービス(?)があると、曲の理解もしや すくなるから、いいですね。で、肝心のデッサウの曲ですが、このモーツァルトの原 曲の持つ上品さというかエレガントさを失うことなく、それでいて、結構強烈な感じ に(?)編曲してあるように思いました。20世紀にモーツァルトが生きていたら、 こんなふうに曲を書くのだろうか、と思わせるような感じの曲です。メロディ自体は もちろん、原曲と変わらないのですが、その周りの装飾がすごいです。細かなパッ セージでこちょこちょと動いていたりして、それがまた、難しそうなんですね。どの 楽器も必死に食らいついていく様が分かります。ラッパ系がちょっとしんどそうにし ていたように思いますが、健闘していたと思います。が、一番の圧巻は、Timpで す。何と、8台!も並べて、まさに息をつく暇もないくらいに、一生懸命に、飛びつ くように叩いているのが、印象的です。4楽章ではテーマの一部を演奏する!という 妙技まで飛び出して、おぉぉ!と思うのでした。終った後、奏者の紹介の時に、 Timpの彼女の時に一番大きな拍手が起きたのは言うまでもありません。全体を見 ても、とても熱意のあふれた演奏でした。これで、譜面をさらにもっと自分たちのモ ノとしていたら、さらに素敵な演奏になったかとは思いますが、本邦初演にふさわし い、堂々とした演奏だったと思います。

 さて、次回は11月に、いよいよ、いずみホール!へ進出していくようで、ますま す楽しみですね。(^^)