らいぶらりぃ
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西村由紀江と宮川泰が母の日に贈る
Dear Mother... ハートフル・コンサート

●日 時1998年5月10日(日)15時開演
●会 場京都コンサートホール
●出 演ピアノ:西村由紀江/宮川泰
カウンターテナー:米良美一
ヴァイオリン:長野昭子
●曲 目ドレミの歌
かあさんの歌
「ピアノ・クリニック」コーナー
サティ/ジュ・デ・ヴ
ドヴォルザーク/わが母の教え給いし歌
この道〜浜辺の歌〜叱られて
もののけ姫
星に願いを〜いつか王子様が
サウンド・オブ・ミュージック
西村由紀江オリジナル曲コーナー
宮川泰オリジナル曲コーナー
クラシック名曲メドレー
 グリーグ・ピアノ協奏曲イ短調〜ショパン/幻想即興曲〜モーツァルト/トルコ行進曲〜
 リスト/ハンガリー狂詩曲
(アンコール)
It's a Small World
見上げてごらん、夜の星を

 母の日だからという趣旨で組まれた演奏会、タイトルのとおり、心のこもった温か みに満ちた演奏会でした。

 前半は、西村さんと宮川さんのおしゃべりが中心でした。お2人のお母様にまつわ るお話等をしてはったのですが、宮川さん流の駄洒落がぽんぽんと飛び出すのが、い いですね。(^^;) お2人の演奏で、2台ピアノによる「かあさんの歌」は、なかなか 聴かせてくれましたね。素敵なアレンジでした。

 前半の後半は「ピアノ・クリニック」ということで、会場の中から、我こそはピア ノを弾かん、という人を募って、その人に弾いてもらう、というコーナー。さっと手 を挙げて、舞台の上に立ったのは、音大の学生さん(男性)だそうで。ラフマニノフ をちょっとだけ聴かせてもらいましたが、これが、かなりの腕の方で、西村さん達も 唖然としてはりましたね。一瞬、企みが外れてしまったかに見えましたが(^^;)、気を 取りなおしてもう一人、今度は、可愛いお嬢さんが舞台上へ。ブルグミュラー(でし たっけ…?)の曲を、これまた見事に演奏してはりました。西村さんもおっしゃって ましたけど、表情をちゃんとつけてはるのが、さすがです。京都の人はピアノが上手 い、ということで、休憩になります。(^^;)

 後半は、米良さん、オン・ステージって感じで、米良さんのパワー全開のステージ でした。最初のサティも初めは西村さんのピアノ・ソロだったのですが、2コーラス に入るところから、いきなり米良さんがピアノの後ろから登場してきて、驚かせてく れます。(暗転の間に、そこへ隠れていたんですね。)で、西村さんの座っているイ ス(ベンチ型)に腰を降ろして、2人で息を合せて、楽しそうに歌ってはります。何 か、いい光景ですね。この後も、ドヴォルザークや日本歌曲をしっとりと聴かせてく れます。特に「叱られて」は、ア・カペラで、会場中、し〜んとなっているから、心 の中にまで、しんしんとその美声が響いてくるようでした。が、米良さん、それだけ じゃ止まりません。とにかく、ようしゃべること。西村さんも宮川さんも、あっけに とられるような、司会者ぶり(って、誰がメインで、誰がゲストなんだ…?)でし た。加えて、いきなり黒柳徹子さんのモノまねをしたり、美空ひばりさんの「悲しき 酒」に、松田聖子さんの「スィート・メモリーズ」を歌ったり、果ては「宇宙戦艦ヤ マト」(!)を、しかも、ばりばりのバリトン声(!)で歌ったり、まさに、もう誰 にも止められない状態…(^^;) まじめな曲もちゃんと歌えながら、これだけのことが できるって、米良さんって、まさにエンターテイナーですね。改めてその才能に感服 しました。「もののけ姫」をしっとりと歌って、米良さんのコーナーは終ったのでし た。

 …と、米良さんの印象が強烈に残っているのですが、私が一番、聴きたかったの は、西村さんのオリジナルの曲の演奏。今日は2曲だけ、「優しさ」と「波雲」を聴 かせてくれました。「波雲」は、今度出る新譜に収録されている曲だそうで、発売に 先がけての公開でした。ウィーンの空をイメージして作った曲だそうですが、何かこ う、雲がどこまでも流れていくような、イメージがしました。素敵な曲ですので、ま た新譜も買わなきゃいけませんね。(^^;)

 アンコールの2曲目は、本番が始まってから決めたという、「見上げてごらん、夜 の星を」。米良さんが再び出てきて、実にしっとりと歌い上げていきます。いやぁ、 温もりのある、いい演奏会でした。もう少し西村さんのピアノも聴きたかった気もし ますが…(^^;)