らいぶらりぃ
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ピッツバーグ交響楽団(大阪公演)

●日 時1998年5月24日(日)14時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演マリス・ヤンソンス指揮ピッツバーグ交響楽団
ヴァイオリン:ギドン・クレーメル
●曲 目シベリウス/ヴァイオリン協奏曲
マーラー/交響曲第5番
(アンコール)
ピアソラ/Two Tango Etudes
ボッケリーニ/メヌエット

 一昨日の姫路での公演に続き、大阪・シンフォでの公演です。(^^)

 今回の共演はクレーメルさんのみなのですが、シベリウスのコンチェルトは、一昨 日のドッペルにも負けない程の好演だったと思います。この曲は前には、生では、ヘ ルシンキ・フィルwith 千住真理子さんで聴いたことがありますが、やはり、この曲に は、どちらかと言えば、線の細い系統の音のヴァイオリンは似合うのかしら… ク レーメルさんのヴァイオリンから繰り出される名演には、ただ聴きほれるだけでし た。繊細な表現、細やかな音の流れは、フィンランドらしさ、シベリウスらしさを見 事に出していたように思います。また、特に3楽章での生命感あふれる躍動、これに は会場の誰もが息を飲んだのではないでしょうか。技術の確かさもさることながら、 クレーメルさんの持つ魅力の全てが、そこに表れていたと思います。また、拍手に応 えてのアンコールで、ピアソラのエチュードを演奏してくれました。うん、これこ そ、まさにクレーメルさんの持ち味ですね。十分に堪能させていただきました。

 後半は、マーラーの5番。一昨日がベト5の「運命」で、昨日が演奏はシンフォニ カーでチャイ5、と妙に「5番」づいているのですが(^^;)、やはり、このホールで、 これだけのオーケストラを聴くと、その迫力に圧倒されますね。最初のTpの音がと てもクリアで、これが高らかに会場中に響き渡るだけでもじぃ〜んときます。そし て、弦も、木管もその音は非常にクリアで、それらが織り合い、作り出される音楽の 感動的なこと! あのうねうねとした、マーラーの音楽を、明確かつ的確な指示で、 見事にまとめ上げていくヤンソンスさん、そして、それに十分に応えて、説得力に満 ちた演奏を展開するオーケストラ、舞台の上が完全に一体となって、ひとつの大きな 響きを作り出し、その中に我々聴く者をも取り込んでいこうとするかのようです。前 半2つの楽章の荘厳さや不穏さ、3楽章の明るさ(特にトリオのウィンナ・ワルツの 何とエレガントなこと!)、4楽章の美しさ、5楽章の華々しさ、いずれもが見事に 表現されて、聴く者の心の中へと入り込んでくるんですね。注意して聴いていると、 所々、ん?と思うような箇所もあるのですが(^^;)、それは、表現しようと力が入って のこと、そんな細かなことなどは問題にはならないでしょう。ずっと聴いているの は、曲が曲だけにちょっと辛かったのですが、でも、終った後の感動は、その疲れも 吹き飛ばす程のものでした。

 …と、この1週間で、クリーヴランド管とピッツバーグ響という、アメリカの2つ のオーケストラを聴かせていただきました。こんな贅沢をしていて、いいのだろうか …(^^;)