らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 1998年5月30日(土)19時開演 |
●会 場 | シンフォニーホール |
●出 演 | ピアノ:マルタ・アルゲリッチ |
指揮&ピアノ:アレクサンドル・ラビノヴィッチ | |
ストリング・オーケストラ響 | |
(ゲスト・コンサートマスター)藤原浜雄 | |
●曲 目 | モーツァルト/ピアノ協奏曲第19番へ長調K.459 |
ラビノヴィッチ/アンカンタシオン(呪文) | |
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第2番変ロ長調Op.19 |
先に聴いたアルゼンチン国立響、東京での公演はアルゲリッチとの共演だったと思
いますが、大阪でも聴きたかったよぉ、と思いながら、そのアルゲリッチさんの来阪
であります。会場は、立ち見も出る程の盛況! 彼女の人気の高さというのをはっき
りと感じます。 最初のモーツァルトは、ラビノヴィッチさんの指揮&ピアノ。う〜む、丹念にまと めているという感じがします。無難な演奏と言うか、いかにもモーツァルトらしい演 奏だったと思います。 が、2曲目は、そのラビノヴィッチさんご自身の作曲された曲です。指揮に気合が 入るというのもうなずけます。そして、待ってました、アルゲリッチさんの登場で す。さっそうとした感じでピアノの前に座ります。曲は、マリンバやグロッケン、 ヴィブラフォン、エレキギターやチャイム等が加わった、弦楽オーケストラ+ピアノ (+チェレスタ)という編成です。う〜む、マリンバ軍団の活躍が目立ちますねぇ。 (^^;) 「呪文」とか、何やら恐ろしげなタイトルがついていますが、そういう難しい ような印象はあまりしませんでした。前半はマリンバ等がとにかく大きな音を出して きて、その迫力に押されっぱなしという感じ。それが徐々に静かになっていくのかし ら… アルゲリッチさんのピアノは、目立ったソロの部分があるというのではなく、 オケ・ピアノとしての位置付けのようで、とても滑らかな感じで、他の楽器と音を合 せていきます。そして、曲は次第に静けさを漂わせ、アルゲリッチさんもチェレスタ の方へと移動します。チェレスタの優しい音色が響くようになると、どの楽器も息を ひそめていくように、静かになっていきます。「動」から「静」へ、というような作 曲の意図が、プログラムには書いてありましたが、難しいことはともかく、とても聴 きやすい曲だと思います。狭い意味で言う「現代音楽」っぽくない、というか。不思 議な、神秘的な印象さえ持ちながらも、耳に馴染みやすい音楽でした。 さて、後半に入ると、いよいよ、アルゲリッチさんの本領発揮です。ベートーヴェ ンの2番コンチェルト、厳格な意味での古典派、ベートーヴェンとは違うんじゃない か、と聴く人もいるのだろうと思います。私は、弾いてはるお姿を、ちょうど正面か ら見るような所(1F後方中央)で聴いていたのですが、確かに、かなり自由奔放、 という印象を受けます。かなりご自分流に崩してはるような部分もあるように聴けま すが、私にはそれがとても素晴らしく思えます。むしろ、丹念に譜面通りに弾くとい うだけでなく、そこからその音楽をどうやって自分のモノとして消化し、それを表現 していくか、そういう音楽家としてのあるべき姿の典型としての、アルゲリッチさん を間近に拝見することができて、感動!でありました。1楽章のカデンツァの部分の 凄さと言ったら! 簡単には言葉で表現できないような、アルゲリッチさん流の音楽 が、そこにはありました。2楽章のとてもロマンティックな響きも美しかったです し、3楽章の、何か熱いものがほとばしるような勢いも凄かった、アルゲリッチ・ワ ールドに会場中が酔いしれたひとときでした。 割れるような拍手に応えて、ベートーヴェンの3楽章を再度、演奏した後、もう1 曲、何と、ラビノヴィッチさんとの連弾を聴くことができるなんて、思いもしなかっ たので、これまた、感動モンであります。いやぁ、やはり生で聴くアルゲリッチさん は、素晴らしいですねぇ。これで、もっと彼女のピアノをたっぷりと聴けたら、さら に良かったのですが…って、それは欲張りですね。(^^;)
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