らいぶらりぃ
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プラハ放送交響楽団

●日 時1998年5月31日(日)14時開演
●会 場シンフォニーホール
●出 演ウラディミール・ヴァーレク指揮プラハ放送交響楽団
●曲 目シューベルト/交響曲第8番ロ短調D.759「未完成」
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調Op.67「運命」
ドヴォルザーク/交響曲第9番ホ短調Op.95「新世界」
(アンコール)
ドヴォルザーク/スラヴ舞曲第15番
山田耕筰/赤とんぼ

 プログラムを見ただけで、うぅ、と唸ってしまいそうですが(^^;)、別の意味では、この 5月の演奏会のおさらいにもなりそうです。と言うのも、「未完成」はかぶとやま交 響楽団が、「運命」はピッツバーグ響が、「新世界」はクリーヴランド管が、それぞ れ取り上げていたからで、それぞれの時を思い出しながら、比べながら聴いてみる、 というのも、また面白いものです。(って、かぶとやま響と比べるのは、ちょっと酷 ですかね…^^;)

 というわけで、まずは「未完成」。う〜む、音がとってもシャープで、若々しいで すね。やはり、テーマのVcがちょっとだけ、埋もれがちに聴こえてきますが、音楽 自体は、すぱっとした感じでまとめ上げているように思います。ヴァーレクさんの指 揮は、昨年のチェコ・フィルの時と同様、指示も明確ではっきりとしといて、見てい ても気持ちいいですね。(^^)

 お次は「運命」。一言で言えば、ヤンソンスさん&ピッツバーグ響が、ドラマ ティックな感じに仕上げていたのに対し、ヴァーレクさん&プラハ放送響は、音の 若々しさを失うことなく、それでいて、知性的にまとめ上げていたような気がしま す。わぁっと盛り上がるようなところでも、決して理性を失わず、むしろ逆にテンポ を落とすとかして、どこか、冷静さを感じます。例えば、終楽章の最後、一気にテン ポ・アップしていって、終わるのかと思いきや、逆にゆっくりになるんですね。それ で息を整えてから、終結へと突進していく… そんな作り方が新鮮に聴こえました。

 「新世界」は、ドホナーニさん&クリーヴランド管が、職人芸として完璧なアンサ ンブルを聴かせてくれたのに対し、ヴァーレクさん&プラハ放送響は、地元のお国訛 りの入った、本場の曲作りを聴かせてくれたような感じです。それも、昨年のチェ コ・フィルの時と違って、昨年の時は、どうしてここでこういうことを? と思うよ うな作り方をしていたのですが(特に3楽章)、今回は、割と素直な(?)作り方と いうか、私の好みには合うような作り方でした。(^^;) もちろん、テンポもやはり揺 らしてはるのですが、それが不自然でなく、表現効果をより高めるための自然なもの なので、変ではないのですね。問題の3楽章にしても、今回は一定のリズム・テンポ を保ちながら、かっちりとまとめていました。そして、やはり終楽章での盛り上がる ところでも、一旦、息を整えて、という手法を使ってはりますね。段々と、ヴァーレ クさんのやり方が分かってきたような気もします。(って、ほんまかいな。^^;)

 アンコールは一抹の不安も持ちながらも、やっぱり、のスラヴ舞曲。でも、8番で なくて、よかった。だって、アルゼンチン国立響とクリーヴランド管のアンコールも 8番だったんだもん(^^;)、と、15番であったことにほっとしながら、演奏会は終 わったのでした。

 これで、5月は終わり。振り返ってみると、何ともはや、「濃いぃ」1か月でした ねぇ。(@@;)