らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 1998年6月3日(水)18時開演 |
●会 場 | フェスティバルホール |
今年も関混連の日がやってきました。折りしも、シンフォニーホールでは、チッ ク・コリア&オリジンの演奏会もあるという、何とも悩ましい日程で…(^^;)(ちなみ に、昨年もカレーラスのリサイタルと重なっていて、悩んだ覚えがあります…) さ んざん悩んだ挙げ句、結局は関混連を取ったのですけどね。(何と後輩思いな先輩だ …^^;) 以下、各ステージごとに書いていきます。なお、私にしましては、かなり厳 しいことを書いているかと思いますが、自分達の後輩であるからこそ、あえて、苦言 を書かせていただきますことを、ご了承くださいませ。
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I. 同志社学生混声合唱団C.C.D.(指揮:庄司良博/ピアノ:中山幾美子) |
「パッヘルベルのモテット集」(作曲:パッヘルベル) Nun danket alle Gott/Gott ist unser Zuversicht/Magnificat |
すみません、仕事が終ってから来たので、間に合いませんでした。ごめんなさい…
m(__)m 曲自体には結構、興味があったのですが…
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II. 神戸大学混声合唱団アポロン(指揮:山根伸司/ピアノ:安浪京子) |
混声合唱組曲「縄文」より(作曲:荻久保和明/作詩:宗左近) 透明 |
自分の出身の団だと思うと、いろいろと思い入れなどもあったりするので、どうし
ても厳しい耳で聴いてしまいます。読まれる方は、その辺りを差し引いて、お読みい
ただけたら、と思います。 正直言うて、ちょっと期待外れ…の感がするのは拭えません。最近、この10年間 ぐらいは、アポロンって、外国曲がメイン、という感じで、しかも7〜8年くらい前 まではルネサンスのポリフォニー音楽を、それ以降は余り知られていないような珍し い外国曲を、持ってくるような傾向にあったのです。それが今回は、邦人曲で、しか も、荻久保さんの「縄文」! 一体、どうなることやら、という心配は、正直なとこ ろ、聴く前から確かにありました。…が、その心配が的中してしまったんです。…全 然聴こえてこない、一言で片付けてしまえば、そういうことになるでしょう。選曲に もよるのかもしれませんが、それでも、いくら、今回抜粋してきたこの曲がどちらか と言えば、静寂感を漂わせるような曲だからと言っても(中間部を除く)、もっと客 席に向かって聴かせるべきではないのか、と思います。言葉が分からない、というこ ともありますし、一体何をやりたいのかが伝わってこない、というのもあります。そ れよりも、皆が、いかにも自信なさそうに歌っているのが、悲しいです。一体、どれ だけの練習をしてきたの、と聞きたくなるような。それに、中間部なんか、割と激し くなるようなところなのだから、もっともっと出てくるのかと思ったら、全然、前へ 出てこないんですね。指揮者自身、プログラムの中に書いていらっしゃるような、 「縄文人に対する」「弥生人としての罪の意識」という「詩人の思いを少しでも伝え られるような演奏」というには、ちょっと遠いような気がします。歌い込みが十分に できてないのではないかと思います。もっとも、この曲に取り組み始めたばかりのこ の時期だから、そこまで歌い込みが十分にできていない、ということも分かります。 しかし、だからこそ、この12月の定期へ向けて、半年間、みっちりと鍛え上げてい くだけの価値はあると思います。半年後に期待いたしましょう。
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III.関西学院大学混声合唱団エゴラド(指揮:福本義憲/ピアノ:佐藤裕美子) |
混声合唱曲「季節へのまなざし」より(作曲:荻久保和明/作詩:伊藤海彦) 3.みのる/4.ゆめみる |
ここ最近のエゴラドさんって、結構、人数も多かったし、それなりに聴かせてくれ
ていたように思うんです。昨年はちょっと間に合わなかったので、聴けてないのです
が、一昨年の演奏はなかなかよかったなぁ、ということを思い出します。 それが、今年は昔に戻ったかのように、人数も減ってしまわれて、この人数で、 「まなざし」はちょっと辛いものがあるように見えました。声部間のバランスが悪い のが気になります。「みのる」の女声にしても、アルトが響いてくるのはいいのです が、逆に、ソプラノの旋律をもアルトの響きが消してしまっているのが、残念です。 音楽的にも、もっと歌い込める曲だと思うのですが、ちょっともの足りなさを感じま す。テンポの微妙な揺らしも確か、あったと思いますし。(例えば、「ゆめみる」の コーダに入ってからの表情のつけ方など。)…と厳しいことを書いてしまいました が、この曲は、私達もかつて歌ったことがある曲だけに、いろいろと細かなところま で分かってしまうのです… それから、ピアノの佐藤さんは、昨年の3月に、神戸の新人音楽家の演奏会に出て いらっしゃるのを聴いたことがあった(正確には、演奏会のお世話をさせていただい た)方なのですが、その時も、割と丁寧な曲作りをしはる人だなぁ、と思っていたの ですが、今回のピアノは、合唱の人数に合わせてのことなのか、かなり押さえて弾い ていらっしゃるように思いました。本来、もっとピアノパートも歌うべき部分という のは、あるはずなので、その点もちょっともの足りなさを感じてしまいました。(私 自身、かつてこの曲の練習ピアノ伴奏をさせてもらったことがあるだけに、ピアノパ ートについても細かいところまで思い入れがあったりするんです…)
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IV. 関西大学混声合唱団ひびき(指揮:加納洋司/ピアノ:大平佳央理) |
混声合唱とピアノのための組曲「万象」より(作曲:山本純ノ介/作詩:桜井孝一) I 生命の源/III 新しい力/V 蕃熱の大地 |
ひびきさんは、相変わらず、人数が多くって、それなりのパワーがありますね。声
自体は多分、6団中、一番よく前に出てきていたと思います。ただ、その割りに
Sopの響きがちょっと薄いように聴こえたのが、残念です。この曲は、初めて聴い
たのですが、結構、パワーを要求されそうな曲ですね。それだけに、ひびきさんに
は、ぴったり合った選曲だと思います。ただ、その力強さだけを求めすぎて、細かな
表現までがしきれていないように思います。音楽としての流れがひとつになっていな
い、というか。1曲目や、終曲は、ほんとに力で押してくるような部分が多いのです
が、その力強いフレーズ間のつながり、というものを十分にまとめてきれていない、
つまり、曲が途切れがちに聴こえてくるんですね。その辺りがうまくできていれば、
と残念に思いました。
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V. 大阪大学混声合唱団(指揮:山本尚義) |
まどみちおの詩による8つのうた 混声合唱組曲「詩の歌」より(作曲:三善晃/作詩:まどみちお) 1.コスモスの歌/3.いちばんぼし/5.やどかりさん/6.サザンカ/8.かいがらさん |
いかにも三善さんの曲、という雰囲気の出ている曲ですが、この曲を、うまくまと
めあげていたと思います。それに、曲ごとに並ぶフォーメーションが変わるのが、見
ていても楽しいですね。すなわち、1曲目は、各パートがそれぞれ固まって、4つの
グループがばらばらと立っている形、2曲目は、指揮者を頂点として、逆三角形状に
並ぶ形、3曲目は、舞台いっぱいに広がった形で並ぶ形、そして4曲目以降は、普通
のS−A−T−Bで並ぶ形、というふうに並び替えていたんです。なかなか面白い試
みだと思います。あとは、言葉、でしょうか。きれいにまとめてはいるのですが、や
はり、言葉が聞き取れないのです。特に三善さんの曲というのは、言葉を大事した曲
が多いはずですので、この曲もまた、そうだと思うのです。きれいな、可愛らしい歌
詩なのですから、それをもっと語ると、なお、素敵な演奏になったのでは、と思いま
す。
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VI. 立命館大学混声合唱団メディックス(指揮:八幡佳子) |
Sechs Lieder im Freien zu singen Op.59 より(作曲:メンデルスゾーン) |
今年からキャンパスが京都と草津に分かれた立命館大学、そのせいなのでしょう
か、舞台に乗っている人数は、昨年の半分くらいかしらんという、何か、寂しさを感
じてしまったのですが… 演奏の方は、なかなかどうして、熱演だったと思います。
何がよいと言って、指揮者が素晴らしいです。八幡さん、確か、昨年もエルガーの
パートソングを振ってはったと思うのですが、その時も、かなり力のある指揮者だと
感心して聴いていた覚えがあります。今年は、メンデルスゾーン、この曲を完全に自
分のモノとして消化し、それを団員にはっきりと伝えていきながら、明確に音楽を作
り上げていく、この姿勢には、昨年以上に力をつけてきている、ということを実感し
ます。そして、その指揮で歌っている団員さん達の表情の明るいこと! 曲集のタイ
トルのとおり、まさにこれこそ、「自由」!という感じです。(何のこっちゃ…)フ
レーズの繰り返しも単調になることなく、歌詩を引き立たせながら、幅広い表現力で
歌い上げていきます。これだけの演奏ともなると、もはや、人数の少なさなど、問題
ではありますまい。伝えたいことを伝えるための表現手段としての歌・音楽を、どう
やって作り上げるか、この根本的な問題を見事にクリアした演奏だったのでは、と思
います。
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VII.合同演奏(指揮:斉田好男/ピアノ:長田育忠) |
合唱組曲「風の八章」より(作曲:池辺晋一郎/作詩:赤木衛) 風の輪舞/風を捜して/輪廻/ふるさとの/風の終焉2 |
昨年の合同合唱は、木下牧子さんの「邪宗門秘曲」。これの委嘱初演の指揮をした
のが、私達の恩師でもある斉田先生。だから、ということもないのでしょうが、今年
の合同は、斉田先生が、初めて関混連の舞台に立ちます。一体、どんな曲を持ってき
はるのかと、楽しみにしていましたら、何と、池辺さんの曲。池辺さんと言えば、プ
ログラムへ頂いたメッセージの中にも書いていらっしゃいましたが、9年前に、私達
が歌っていた時に、関混連として委嘱初演した、「今はない木々の歌」を作っていた
だいた先生。折しも、あの時はちょうど、天安門事件が起きた時で、指揮の田中信昭
先生が「天安門の若者達に捧げる」と言って、あの曲を初演したのでしたっけ… な
どということを思い出しながら、演奏が始まります。 「風の八章」、この曲は、「今ない木々の歌」等と違って、シンプルで優しい感じ のメロディーの曲ですね。とても爽やかな風がさぁっと吹いてくる、という雰囲気の 曲で、聴いていて、とても気持ちいいです。斉田先生の指揮は、いつものとおり、美 しいハーモニーをたっぷりと聴かせてくれて、学生の皆さんも、それによく応えて 歌っていたと思います。大人数で大きな編成の曲を歌うばかりでなく、大人数による シンプルな曲を歌うことの美しさというものを改めて感じさせられました。「風を捜 して」が女声合唱、「ふるさとの」が男声合唱、他3曲が混声合唱、という曲の選び 方もまた、素敵ですね。長田先生のピアノも安定して力強くて、さすが、合同、と安 心して聴くことができました。いい演奏でした。 これだけの演奏会でありながら、会場のお客さんの入りが、私の知っている限りに おいては、最も少ないような気がしたのが、ちょっと残念ではあります。さて、来年 は30回の記念の年。一体、どうなることやら、と今から楽しみであります。
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