らいぶらりぃ | |||||
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●日 時 | 1998年6月15日(月)19時開演 |
●会 場 | 神戸新聞・松方ホール |
●出 演 | ゲルハルト・ボッセ指揮神戸室内合奏団 |
●曲 目 | ブリテン/フランク・ブリッジの主題による変奏曲Op.10 |
C.P.F.バッハ/6つのシンフォニア第4番イ長調Wq.182-4 | |
グリーグ/組曲「ホルベアの時代より」Op.40 |
一昨日の神戸フィルに続きまして、地元の演奏団体、神戸室内です。こちらは、完
全に、プロの集団ですから、その腕は確かなものなのです。公費で運営している演奏
団体ですから、やはり、これくらいは、できないといけませんね。(^^;) 1曲目は、ブリテン。曲はいかにもブリテンらしさのよく表れたものですね。音と 音がぶつかりあう緊張感が曲全体に渡っていて、そこから生まれる、ぎゅっと凝縮さ れた、内容の濃い音楽。聴くのにもそれなりに体力が要りますね。(^^;) そういう大 曲を、神戸室内の皆さんは見事に演奏しきっていたと思います。最初の主題からも う、緊張感が会場中に漂います。何か、ただならぬ気合のようなものがすごく伝わっ てくるんですね。静けさに満ちた第1変奏の「アダージョ」、がんがんと前に出てく る第2変奏の「行進曲」、しとやかな感じの第3変奏の「ロマンス」。第4変奏は明 るい感じの「イタリア風のアリア」(どこがイタリア風なんや…とちょっと思ってし まいましたが。^^;)で、第5変奏はタイトル通り、どこか古風な感じのする「古典的 なブレー」。第6変奏の「ウィンナ・ワルツ」は、どこか奇妙なワルツ、という感じ もしましたが、第7変奏の「無窮動」は、やはり名前の通り、動きが面白いですね。 そして、第8変奏の「葬送行進曲」の厳かなこと! その厳かさは、第9変奏の「聖 歌」になると、さらに大きくなり、最後の「フーガと終曲」で、クライマックスを迎 えるのでした… というこれだけの曲を、一巻して緊張感を持続させながら、緻密に 練られたアンサンブルで聴かせてくれた、神戸室内の演奏は、さすが、お見事という ものでした。ボッセさんの指揮に団員1人1人がしっかりと食らいついていって、そ の集中力が、あれだけの演奏をさせるのでしょうね。 2曲目は、がらりと変わって、C.P.F.バッハの曲。父親の大バッハの後を継いで、 と言うか、大バッハを凌ぐほどの活動をした人ですね。この曲も、そういう彼の才能 が見事に表れている曲です。軽やかさを全体に出しながら、心地良い響きが伝わって きます。Vnの響きがまた、とてもクリアで、いい感じを出しているんですね。この 団って、女性の団員さんが多いのですが、それが、全体としてのしとやかさ、繊細さ を出していることにつながるのかもしれませんね。バロックらしさを十分に表現して いた演奏だったと思います。 最後は、またまた変わって、グリーグ。と言っても、曲は、ホルベアという18世 紀に活躍したデンマークの詩人の生誕200年を記念してグリーグが作ったもので す。従って、そこにあるのは、「サラバンド」や「ガヴォットとミュゼト」など、非 常に古典的な形式と響きの音楽です。あのグリーグが、こんな曲を…? とも思って しまいます。レスピーギもこんな、古風な感じの曲を書いていたよなぁ、ということ を思い出しながら、聴いていると、4曲目は、「アリア」。このメロディーは、いか にもグリーグらしい美しさに溢れたものですね。曲としても、一番、よくまとまって いるようにも感じます。これだけでもいいような。(^^;)(←こらこら…) ここで も、やはり、しとやかな感じの音が全体を包み込んでいて、会場中がほわっとした空 気で満たされていくようでした。素敵な演奏だったと思います。 最近、神戸室内合奏団は、格段と腕を上げてきているようで、そのことは、演奏会 に行く度にはっきりと感じることができるから、いいですね。次の演奏会もまた、楽 しみです。
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