らいぶらりぃ
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クリスティーナ&ローラ 来日コンサートツアーin大阪

●日 時1998年6月25日(木)19時開演
●会 場いずみホール
●出 演チェロ:クリスティーナ・レイコ・クーパー
ヴァイオリン:ローラ・フラウチ
ピアノ:ジョン・ノヴァチェク
●曲 目エルガー/愛の挨拶
ファリャ/バレエ音楽「恋は魔術師」より 火祭りの踊り
カサド/愛の言葉
サン=サーシス/序奏とロンド・カプリッチョーソ
ドビュッシー/月の光
ショパン/バラード第1番ト短調Op.23
ビリー・ストレインホーン/A列車で行こう
ドヴォルザーク/「ジプシーの歌」より わが母の教え給いし歌Op.55-4
ショパン/序奏と華麗なポロネーズOp.3
ピアソラ/タンゴ組曲
(アンコール)
New York, New York
Someone Watch Over Me

 この5月にDVDデビューを、そして、ついこの前にCDデビューを果たした、日 系アメリカ人のお二人です。チラシを一目見て、その美しさに見とれて、チケットを 買ってしまったという不届き者は、私です。(^^;)

 舞台に現われたクリスティーナさんとローラさん、前から3列目という好位置の席 でしたので、その美貌を間近に拝見できて、ラッキーでした。(^^)V 舞台の上がとっ ても華やいで見えます。ピアノのジョンさんもハンサムな方だし、譜めくりの方も私 好みの可愛い人だし(こらこら…)、見ているだけでもいいですねぇ。(おいおい …)

 という冗談はさておき、最初はエルガーです。Vcからテーマが始まり、やがて、 Vnへ、そして交互に絡み合うという展開で、初めから聴かせてくれます。何がい いって、単に容姿が美しいだけでなく、そこから作り出される音楽もまた、とっても 美しいんです。クリスティーナさんのVcは、どちらかというと、明るい感じの響 き、ローラさんのVnは、ちょっと控えめな感じの響き、息もぴたりと合っていて、 この曲の可憐さがよく洗われていたと思います。

 2曲目はがらりと変わって、情熱的なファリャです。う〜む、この曲をするには、 ちょっとパワーが足りないかな、と思ってしまいます。やろうとしていること自体は 悪くないのですが、何かが足りないように思うんです。心の底から踊るような躍動感 というか、そんなものがもうちょっと表現されていれば、と思うのは、欲張りでしょ うか…

 続いては、クリスティーナさんのソロで、カサドの曲。その明るく大らかなVcの 音色は、この曲にぴったりですね。まさに「愛の言葉」を高らかに歌いあげる、その 演奏は、好感が持てます。

 そして、今度はローラさんのソロ。サン=サーンスの大曲に挑みます。…何も言え なくなるほど、素晴らしいです。その、音楽に正面から向い合い、堂々とした演奏を 繰り広げる様は、並々ならぬ才能と感性を感じさせます。細かなパッセージで見せる その技術、また、割と長いフレージングで聴かせる歌心、ともに、素晴らしいです ね。感じとしては、アン・アキコ・マイヤースさんに似ているような気もしますが、 どんなもんでしょうか…(^^;)

 前半の最後は、再び、三人で「月の光」。なるほど、大雑把に言えば、原曲の右手 の部分をVnとVcで弾く、という形ですね。二人の作る3度の和音のハーモニーの メロディーが、原曲以上の美しさを出してきます。してやられたり、という気もしま す。(^^;)

 後半の最初は、今まで伴奏に徹してきたジョンさんのピアノ独奏です。彼のピア ノ、伴奏している時から感じていたのですが、なかなか、二人の演奏をナイス・サ ポートしている、というふうで、いいなと思います。そして、その良さは、ソロに なって、はっきりとします。ちょっと独特な一面はありますが、非常に歌心を持った 演奏をしはるんですね。不安そうに始まり、いくつかの対話を経て、やがて、想いが 満ちて、曲が流れ出す、そういう構成を明確に表現しながら、聴く者の心にも訴えか けてくるんですね。思わず、身を乗り出して聴いてしまいましたが、他のピアニスト とはちょっと違う、彼の音楽性には、何か共感できるものがある、と感じました。

 そして、またお二人が登場、いきなり、プログラムにない、ジョンさん作曲の曲を 披露してくれます。(すみません、曲名を忘れました…)結構、技巧的な曲で、三人 とも、凄まじい勢いで演奏していきます。ジョンさんって、こんな曲も書くのねぇ、 とさらに何か共感できるものを感じるのでした… 続いて、リラックスした雰囲気 で、「Take The A Train」。…ちょっと真面目すぎるかしらん、個人的にはもっと ジャジーな感じが出せていればな、と思います。お二人の表情はにこやかで、よかっ たのですけどね。(^^;)

 続いて、またソロの演奏になります。ローラさんのドヴォルザークは、もう最高! でした。フレージングをたっぷりと取って、実にふくよかな響きを出していきます。 しみじみとしたその曲の響きが、会場中にしんしんと響き渡り、しんみりとした音空 間を作り上げていきます。これだけの表現ができるとは、さすが、ですね。ますます 彼女の魅力にひかれていきます。

 替わって、クリスティーナさんのソロで、何と、ショパンです。最初は、え、とい う感じもしたのですが、なかなかどうして、明朗な音で、奇麗な旋律を歌い上げてい くのは、ピアノだけの演奏以上の表情を、曲に持たせています。こんな演奏もできる のねぇ、と改めてこの曲を見直すのでした…

 最後は、待ってました、のピアソラ。特に2曲目の表情がいいです。VnとVc交 互にテーマが現われ、対話をするかのように語り合う、そこには、確かにピソラらし い、秘め樽情熱があったと思います。1曲目等では、ジョンさんが人体パーカッショ ン(つまり、拍手ですね。^^;)をするなどして、三者が激しく絡む音楽は、素晴らし いものだったと思います。

 アンコールは、ニューヨークの曲。うん、やっぱり、この手の曲が、このデュオに は合いますねぇ。最後まで楽しめた演奏会でした。

 なお、私が、会場で彼女らのCDを買って、サイン入りの色紙をGETしたこと は、言うまでもありません。(^^;)v