らいぶらりぃ
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1998神戸学院大学Green Festival第131回

仲道郁代ピアノリサイタル
〜ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全曲連続演奏第2回

●日 時1998年7月4日(土)15時開演
●会 場神戸学院大学メモリアルホール
●出 演ピアノ:仲道郁代
●曲 目ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第5番ハ短調Op.10-1
               第6番ヘ長調Op.10-2
               第7番二長調Op.10-3
               第8番ハ短調Op.13「悲愴」
               第9番ホ長調Op.14-1

 あこがれの郁代さんのベートーヴェン・シリーズ、昨年の秋から始まったところで す。が、残念ながら、前回はちょっと行けなかったので、私にとりましては、今回が 初回となります。(しっかし、長谷川陽子さんの3大Bシリーズといい、神戸学院大 学も、素敵なプログラムを組んでくれますなぁ。感謝!であります。)

 今回は5番から9番という、若かりし頃のベートーヴェンの作品が並びます。5番 の力強さや、6番の軽やかさも素敵ですが、やはり、7番がいいですね。特に2楽章 の沈痛な響きと言ったら! 郁代さんの演奏は、いつものとおり、1音1音を大事 に、丁寧に扱っていて、ぱしっ!とするところはぱしっ!として、たっぷりと歌うべ きところはたっぷり歌っていて、相変わらず、聴かせてくれます。そんな演奏で7番 を聴けたのは、今日の一番の収穫とも言えましょう。2楽章とは打って変わる3楽章 の歌い方も素敵でしたし、複雑な内容の4楽章での力強さは、まさに、心の内へと向 かい、自分自身と葛藤するベートーヴェンの姿をよく表わしていたと思います。

 ただ、これらの演奏を聴いて、はっきりと感じたのは、ベートーヴェンって、古典 派だったんだなぁ、ということ。(^^;) んなこと、常識中の常識じゃないか、と言わ れそうですが、常々、ベートーヴェンって、内容的にはロマン派だと思っていた私に とりましては、郁代さんの、音を丁寧に扱いながら、ベートーヴェンのロマンティシ ズムだけでなく、古典派様式の美しさも最大限に表現していくという演奏に、そのこ とを再認識させられたのでした。

 さて、後半は、私も一応は弾ける(というか、音をたどれるくらいですが…)曲が 並びます。8番の「悲愴」、やはり2楽章のロマンティックな主題の歌わせ方が素敵 ですね。それに、1楽章の扱い方も、ただ悲愴感や壮絶感だけを表に出していくので なく、そんな雰囲気に流されず、細かな音の1つも粗末にすることなく、緻密に組み 立てていて、さすが!と思います。ただ、今週の月曜日に小川典子さんの演奏で「熱 情」を聴いたせいか、何かパワーの違いというようなものは感じてしまいましたが… (って、比べるようなことじゃないですねぇ。>すみません)

 そして、9番。そうそう、もう10年以上も前ですが、私もこの曲を、いわゆる3 大ソナタ以外では、一番まともらしく弾けそうな曲と言って、練習していたもので す。今ではすっかり忘れてしまっていたのですが、郁代さんの演奏を聴きながら、譜 面が頭の中によみがえってきて、曲の組み立て方に、うんうんとうなずきながら、耳 を傾けていました。どこか悲愴感の漂う1楽章、怒りとそれをなだめるような感じの 2楽章、そして華やかに流れる3楽章、どこか、さらりとした感じはしたのですが、 素敵な演奏だったと思います。私の演奏なんかとは全然、比べものにならないし。 (←そりゃ、当り前だ)さ、これを機会に、私もこの曲の楽譜を出してきて、ちょっ とさらってみようかしらん…と思ったものの、これは実家に置いてあるので、手元に はないのでした…(^^;)

 次回は、10番から14番ということで、いよいよ、私の一番好きな「月光」が出 てきます。次回もぜひ、行きたいものです。